HACCPにおける危害分析(危害要因分析)とは?
HACCP導入の際、はじめに行う工程のひとつが「危害分析(危害要因分析)」です。こちらでは、危害分析(危害要因分析)の概要ややり方などの基礎知識をご紹介します。
危害分析(危害要因分析)とは
食品の原材料や製造加工工程には、ハザード(危害)が潜みます。それぞれの発生のしやすさや、発生後に引き起こされるであろう健康被害の規模などは異なります。危害分析は、こうした製品に残存する可能性を持つ危害要因を洗い出す作業です。
なお、HACCPは「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」という単語の頭文字を合わせた言葉です。このうちの「HA」をつなげて呼ぶと、「危害分析」となります。
危害分析(危害要因分析)のやり方
1.製品の特徴をまとめる
まずは製造・加工する対象の特徴についてまとめていきます。原材料には何が使われているか?レシピは?など。製品の概要が分かる仕様書(説明書)を作るイメージです。
2.製品の消費方法(誰に・どこで・どのように)を明確にする
製品の消費方法を明文化します。ポイントは、誰に、どこで、どのようにといったシチュエーションを考慮することです。そのまま食べられるのか、一度加熱されるのかなど、具体的な消費方法を記載してください。
3.仕入から出荷までの製品の工程図を作成する
製品の原材料がどのように仕入れられ、どのような製造・加工がされており、最終的にどのような手段で出荷されるのか。その詳細および道筋を記した製造工程図を作成します。
4.工程図と実際の動きを照合する
机上で作られた工程図が、必ずしも実際の動きと同じとは限りません。現場に足を運び、照らし合わせながら確認をしていきましょう。
5.工程図を見ながらリスクを列挙する
ここからようやく、本格的な危害分析がはじまります。手順としては、工程図を見ながら想定される危害要因を把握し、その起こりやすさや危害の程度を確認します。最後に、危害要因をどうすればコントロールできるかを考え、その方法を明確にします
危害分析(危害要因分析)の必要性
そもそも、危害分析(危害要因分析)はHACCP導入における12手順[7原則]のなかで示された、手順1〜および、手順6に当たります。ここで整理された情報が、重要管理点を決める材料になります。
手順1:HACCPのチーム編成
手順2:製品説明書の作成
手順3:意図する用途及び対象となる消費者の確認
手順4:製造工程一覧図の作成
手順5:製造工程一覧図の現場確認
手順6[原則1]:危害要因分析の実施
手順7[原則2]:重要管理点(CCP)の決定
手順8[原則3]:管理基準(CL)の設定
手順9[原則4]:モニタリング方法の設定
手順10[原則5]:改善措置の設定
手順11[原則6]:検証方法の設定
手順12[原則7]:記録と保存方法の設定
2021年6月には、原則としてすべての食品事業者がHACCPを導入する必要があります。そのためには、危害分析(危害要因分析)は欠かせません。
また、分析によって得られた情報を事業所全体で把握すれば、衛生管理やリスクヘッジに役立つのは間違いありません。全社的な衛生意識向上にもつながるでしょう。
加えて、食品の製造・加工工程で何らかのトラブルが発生した場合には、早急な対応が取れるようになります。万が一の際にも、被害を最小限に抑えられるでしょう。
危害分析(危害要因分析)実施時のポイント
前述のとおり、危害分析(危害要因分析)で整理された情報は、その後の重要管理点決定に大きな影響を与えます。抜けや漏れがあった場合、本来ピックアップされるべき重要管理点の見過ごしにもつながるでしょう。
こうしたミスを防ぐためには、すべての部署の担当者が一堂に会し、それぞれの視点から危害分析を行うことが重要です。仕入れから加工・製造、出荷に至るまでの各工程でどのようなリスクがあるかをしっかり確認してください。
また、会議のみでリスクを判断するのは危険です。机上だけでは実際のリスクを見逃してしまいかねません。ある程度まで絞り込みができたら、あとは現場に足を運び、実際の動きと照合することが大切です。
危害分析(危害要因分析)の後は?
前項でも触れたとおり、危害分析(危害要因分析)はHACCP導入手順の一部かつ途中です。この後は、重要管理点の決定や管理基準の設定などの手順に進む必要があります。
重要管理点(CCP)については、「HACCPにおける重要管理点(CCP)とは?」で詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
温度のモニタリングから記録・保存はACALA FTで自動管理
「HACCP導入のための7原則12手順」のなかには、「記録と保存方法の設定」が含まれます。このなかには、加熱後や冷却後の食材中心温度測定などが含まれます。
こうした際に便利なのが、当社がご提供するACALA FTです。紙への記入といったアナログな方法は「手間がかかる」「データが改ざんできてしまう」「衛生面で心配がある」といったデメリットがあります。一方、ACALA FTなら無線を使った自動温度記録となるため、手間なくスピーディーな対応が可能。さらに、データ改ざんが不可能となっているため、より確実な温度管理・記録が実現できます。HACCP導入および、業務効率化をお考えの方は、ぜひご検討ください。
まとめ
危害分析(危害要因分析)はHACCPにおける最初の段階です。ここで確実な対応ができていないと、その後の施策が失敗に終わってしまいます。危害分析(危害要因分析)の必要性を今一度意識し、慎重に手順を進めていってください。