GFSI承認認証とは?HACCPとの関係についても解説
HACCPと直接的な関係はありませんが、食品衛生に関わる規格に、GFSI承認認証があります。食品安全の推進を行うGFSIによって承認された規格はGFSI承認認証と呼ばれ、国際規格として取り扱われるようになります。今回は、そんなGFSIについて、HACCPとの関係性も踏まえながら分かりやすく解説します。また、GFSI承認認証の例もいくつかご紹介していますので、食品安全マネジメント規格の取得をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
HACCP認証の種類
HACCP認証には、自治体HACCPや業界HACCP、FSSC、JFSなどさまざまな種類が存在します。分類の際には、主に認証する組織がどこなのかが重要です。
業界HACCPや自治体HACCPは、国が主導となり認証を行います。そのため、基準はその国や地域が定めたものになります。
一方、FSSCやJEFなどは民間の団体が主導の認証です。この団体こそが、GFSI(Global Food Safety Initiative:世界食品安全イニシアチブ)です。
GFSI承認企画に含まれるHACCP
FSSC22000等をはじめとするGFSI規格には、HACCPシステムが基礎として盛り込まれています。そのため、認証を受ければその時点で、HACCPが導入できていると見なされることになります。
なお、GFSI規格にはHACCPだけでなく、その他の食品衛生管理や製造マネジメントシステムが含まれているものも存在します。それを踏まえると、HACCPよりの高いレベルでの食品衛生・製造管理を行いたいという企業におすすめと言えるでしょう。
GFSIとは?
GFSIについてより詳しく見ていきましょう。
設立は2000年のベルギー。非営利組織として誕生し、現在は70カ国約400社が参加しています。日本からも約80社の小売業や製造業が参加しています。たとえばマクドナルドやコカ・コーラ、イオンなどの有名企業も、GFSI参加企業のひとつです。
GFSIの活動内容は、以下の4つです。
- 食品の安全性向上とリスク軽減のために、従来の食品安全マネジメント・スキームの間の収束と等価性を図る
- 業務重複を減らし効率化を進め、食品安全システム全体のコスト的効率を向上する
- 一貫した食品安全システムの構築に向け、食品安全の遂行機能を向上する
- 食品関連の各ステークホルダーへ、コラボレーション・知識の共有・相互ネットワーク作りができるような国際的な場の提供
GFSIの承認スキームは上記のなかの「食品の安全性向上とリスク軽減のために、従来の食品安全マネジメント・スキームの間の収束と等価性を図る」に該当する活動です。
GFSI承認スキーム
GFSIが定めた食品安全に関するマネジメントや生産工程管理(GAP、GMP)、HACCPについての要求事項との同等性が認められたスキーム(食品安全規格など)のことを、GFSI認証スキームと呼びます。
GFSIは、以下の内容を含めたガイダンス・ドキュメントを公表しています。
(1)ベンチマーキング(同等性の確認)手順
(2)スキーム(食品安全規格)の管理
(3)食品安全などについての要求事項
たとえば新たにスキームを作り、それをGFSI承認スキームとしたい場合には、上記のガイダンス・ドキュメントと比較し、その内容に同等性があるか確認・評価が行われます。同等性ありと認められれば、そのスキームはGFSI承認スキームになります。
なお、GFSIによるガイダンス・ドキュメントは更新が繰り返されており、かつ重大な食品事故などが発生した後には、その対策に向けた要求事項の追加などが行われています。こうした改訂が行われた場合は、そのスキーム(食品安全規格など)を取得している企業も、追加要求事項を踏まえた対策が必要です。
GFSI認定のシステム
GFSI承認スキームにはいくつもの種類があります。以下はそのうちの代表的なものです。
- BRC
- CANADA GAP
- FSSC22000
- Global Aquaculture Alliance
- Global Gap
- GRMS
- IFS
- Primus GFS
- SQF
- JFS-C
上記のうち、日本に馴染みが深いFSSC22000とSQFについて簡単に説明します。
FSSC22000
SSC22000は、ISO 22000を追加要求事項で補強した食品安全マネジメントに関する規格です。CIAA(EU食品・飲食産業連合)からの支援を受け、食品安全認証財団が開発しました。GFSIによるベンチマーク規格のひとつとしても承認されています。HACCPはもちろん、ISO 22000以上に確実な食品安全の実現を目指した規格と言えるでしょう。
SQF
SQFはオーストラリアの政府機関が策定したスキームです。Safe Quality Food(安全で高品質な食品)の略で、GFSI承認のHACCPに基づいた国際認証規格として世界的な信頼を得ています。特徴は3レベル別のモジュール化された産業分野別要求事項です。レベル3では食品安全だけでなく、品質管理の仕組みについても要求事項に加えられています。
日本初のGFSI承認スキーム「JFS」
JFMS(一般社団法人食品安全マネジメント協会)が策定したJFSは、日本で誕生した国際規格です。日本の食品衛生ノウハウを世界に発信すると共に、国内における食品市場と世界市場を近づけることを目的にしています。JFSにはA〜Cまでの3種類が存在し、それぞれ内容も異なります。
HACCPを導入できるJFS-AとB
JFS-Aは「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に相当します。小規模事業者にも取り組みやすく、はじめて国際規格を取り入れようとお考えの企業様にとってもハードルは低いと言えるでしょう。一方、JFS-BはHACCP12手順の実施といった内容に区分され、内容としてはISO22000に相当します。
なお、JFS-AおよびBの認証を取得すれば、HACCPの導入は完了になります。逆に、HACCPを導入しただけでは、JFS-AまたはBの認証は取得できません。これは、JFS規格にはHACCPの内容以外に、さまざまな管理が要求事項として設定されているからです。
GFSI承認を受けているのはJFS-C
JFSはHACCPの衛生管理手法に基づいた危害要因の低減・除去方法を基礎にしています。これはA〜Cまで共通です。
一方、AとBについてはGFSI承認を受けていない点に注意が必要です。GFSI承認を受けているのはJFS-Cのみです。
なお、JFS-Cは同じくGFSI承認を受けているFSSC22000に相当します。JFS-BがISO22000相当であることを考えると、JFS-Bを追加要求事項で補強した規格であることが分かります。
まとめ
GFSI承認を受けるには、GFSIが公表するガイダンス・ドキュメントと比較し、厳密な審査を受ける必要があります。そのため、GFSI承認規格を取得できれば、高いレベルの国際的な食品安全が確立できると言えるでしょう。
HACCPはあくまでも義務化されたシステムであり、現在は日本のすべての食品事業者が導入すべきものとなりました。対外的な信頼感を高め、グローバルな取引なども視野にいれているのであれば、ぜひ今回ご紹介したようなGFSI承認規格の取得を目指してみましょう。