食品製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
近年、食品製造業でもその必要性が問われてきているDX。しかし、具体的にどのようなメリットがあるのか、どんな内容かを把握していない方も多いでしょう。ここからは、食品製造業の方向けにDXについて解説します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DXをかみ砕いて説明するなら、「デジタル技術を使ってビジネスや組織の運営を根本的に改善すること」です。
この言葉には、新しい技術を使って仕事の方法を変え、より良いサービスを提供したり、新しいビジネスのチャンスを見つけたりすることが含まれます。なお、単に技術を導入するだけでなく、全員が新しいスキルを学び、新しい働き方を採用する必要がある大規模な変化が、DXには求められます。
食品製造業におけるDXの必要性
食品製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、競争力を維持し向上させるために必要不可欠と言われています。
消費者のニーズや法規制の変化、新興企業の台頭など。市場環境の急激な変化に対応するためには、業務プロセスや技術の変革が求められます。その点、DXに取り組むことで、生産効率や品質管理の向上、サプライチェーンの最適化、スマートファクトリーの実現が可能となり、企業の持続的成長に寄与します。
今後も競争力を維持するためには、食品製造業におけるDXの取り組みは欠かせない領域に達したとも言えるでしょう。
食品製造業におけるDXの目的と利点
それでは、具体的にDXが食品製造業にどのようなメリットを与えるのか、ポイントを簡単に見ていきましょう。
生産効率の向上
IoTデバイスやAI技術を活用して、生産プロセスを自動化・最適化し、労働力や時間の削減が可能となります。
品質管理の向上
センサーやビッグデータ分析を用いて、製品の品質をリアルタイムで監視し、品質問題の早期発見・対策が実現します。
サプライチェーン管理の最適化
データ分析やAIを用いて、需要予測の精度向上や在庫管理の効率化が可能となり、リードタイムの短縮やコスト削減が実現します。
スマートファクトリーの実現
産業用ロボットやIoTデバイス、AI技術を組み合わせた自律的な生産システムを構築し、柔軟で効率的な生産体制が確立されます。
イノベーションの促進
データ収集や分析、クラウドコンピューティングを活用し、新たなビジネスモデルやサービスの創出が可能となります。
食品製造業で取り組むべきDX(デジタルトランスフォーメーション)の分野
食品製造業がDXに取り組む際には、幅広い分野にその技術を応用できます。以下は、その代表例です。
生産管理の効率化
生産管理の効率化は、IoTデバイスやAI技術を活用して、生産プロセスの自動化や最適化を図ることが求められます。これにより、労働力の削減や生産時間の短縮が実現し、コスト削減や生産性の向上が可能となります。また、データ分析を通じて、無駄のない生産計画やリソースの最適配分が行えるようになり、全体の生産効率向上にも期待が持てます。
品質管理の向上
品質管理の向上は、センサーやビッグデータ分析を用いて、製品の品質をリアルタイムで監視することで実現します。これにより、品質問題の早期発見や対策が明確になり、リコールや顧客満足度の低下を防げます。また、生産過程での品質データを収集・分析し、継続的な改善活動に活用することで、製品品質の向上が期待できます。
サプライチェーン管理の最適化
サプライチェーン管理の最適化は、データ分析やAIを用いて、需要予測の精度向上や在庫管理の効率化を図ることが重要です。リードタイムの短縮やコスト削減が実現し、供給体制の強化が可能となります。また、サプライヤーや物流業者との連携を強化し、サプライチェーン全体の可視化やリスク管理が向上します。
スマートファクトリーの実現
スマートファクトリーの実現は、産業用ロボットやIoTデバイス、AI技術を組み合わせた自律的な生産システムを構築することが重要な要素になります。これにより、柔軟で効率的な生産体制が確立し、新製品の迅速な投入や市場変化への対応力が向上します。さらに、環境負荷の低減や省エネルギー化が実現し、SDGsへの取り組み強化にもつながります。
食品製造業におけるDXの阻害要因は?
多くの面で食品製造業に良い影響を与えると想像ができるDX。しかし、実際にDXを実施できている企業は決して多くはありません。
富士電機株が2021年に行った食品製造業向けのアンケートの結果によると、DXに現在取り組んでいると回答した企業はわずか13.6%でした。従業員規模が増えればこの数値は大きくなるものの、他の業種に比べても決してスピード感があるとは言えません。
その上で、何が食品製造業におけるDXの普及を妨げているのでしょうか? 同調査で行われた「DXを推進する上での問題・課題」では、次のような結果が示されています。
- もっとも多い回答は「推進できる人材不足」(4%)
- 次点は「予算の確保・制約」で(3%)「知識・ノウハウの不足」(34.3%)
- 従業員規模別における100人~499人では「知識・ノウハウの不足」が全体比較でやや高い
この結果から見てわかるとおり、食品製造業におけるDX普及の阻害用は予算と人材にあるようです。
すぐに取り組めるデジタルトランスフォーメーション施策
「職場に詳しい人がいないから……」
「最新技術には莫大な予算がかかりそう……」
DXと聞いて、こうした印象を持たれる方の多いでしょう。しかし実際には、かなり取り組みやすいDXも多く登場しています。
IoTデバイスの導入
IoTデバイスの導入とは、センサーやネットワーク機器を活用して、製品や設備の状態をリアルタイムで監視し、データを収集することです。
製品品質の向上や生産プロセスの最適化が可能となり、さらにIoTデバイスから得られたデータをAI技術で解析し、予知保全や製品改良などに活用することで、生産性の向上やコスト削減にもつながります。
こうして言葉だけを聞くと敷居が高く見えますが、IoTは私たちの生活のなかでもすでに活躍しています。たとえば家電量販店などで販売されている「スマート家電」はその代表例でしょう。すでに家庭にも進出している技術なので、食品製造業でも十分にその効果を発揮してくれます。
クラウドコンピューティングの活用
クラウドコンピューティングは、ざっくり説明するなら、社内設置のサーバーではなく、遠隔地に設置されたクラウドサーバーとインターネットを介してデータ通信を行い、サーバーとして利用する技術のことです。活用することで、製品品質や生産プロセスのデータを一元管理し、リアルタイムで共有できます。また、クラウド上でのデータ分析やAIモデルの構築、ビッグデータ解析なども可能となり、効率的な意思決定が行えるようになります。その他、クラウドサービスの利用により、コスト削減や運用の合理化が実現し、業務効率の向上が期待できます。
こちらの技術も、説明だけを見ると難しく感じるかもしれませんが、実際には私たちも日常的に利用しているものです。たとえばGoogleドライブやDropboxといったファイルストレージサービスも、このクラウドコンピューティングのひとつです。
DXの第一歩は自動温度管理システムがおすすめ
IoTデバイスとクラウドコンピューティングを組み合わせることで、温度管理・記録の自動化・クラウド化をしたのが、当社がご提供する「ACALA」です。
DXへの取り組みにはなりますが、導入のハードルは決して高くはありません。お客様がすることは、届いた温度ロガーを計測する箇所に設置する程度。それ以外のセッティングについては、すでに当社が済ませてあるため、設備が到着したその日から温度管理・記録の自動化が行えます。
また、料金はサブスクリプション形式となるため、初期費用はゼロ。高価な機材を購入するなど、イニシャルコストで悩むこともありません。DXの第一歩に踏み出したいとお考えの食品製造業の皆様を、しっかりとサポートいたします。
まとめ
食品製造業でのDXは、今後さらに重要性を増すと考えられています。イメージが先行し、難しいものと捉えられがちですが、DXのなかには今回ご紹介したような、ハードルが低いものも多く存在しています。ぜひ今回の記事を参考に、DXへの取り組みについてご検討ください。