2023.06.12.Mon

食品製造業におけるIoTの必要性とは?

近年、私たちの生活でもよく使われるようになってきたIoT。スマート工場などではこのデバイスを駆使することで、大きな効率化が図られています。一方、食品製造業では普及スピードが鈍い印象も拭えません。そこでここでは、食品製造業におけるIoTの必要性について考えていきます。

食品製造業におけるIoTの利点

まずはIoTの利用が食品製造業にどのようなメリットをもたらすのかを見ていきましょう。

効率化と生産性向上

食品製造業でのIoT活用は、効率化と生産性向上に寄与します。

昨今、食品製造業における労働力不足は大きな課題のひとつです。そのため、少ない人員で多くの製品を製造しなくてはなりません。ここで役立つのがIoTです。

IoTデバイスやセンサーを用いてリアルタイムのデータ収集・分析を行えば、生産プロセスの最適化や無駄削減が図られます。コスト削減や生産性向上が期待でき、予測メンテナンスや故障検出で設備のダウンタイム短縮も可能。さらに、自動化技術導入により、労働集約的作業から従業員を解放し、付加価値の高い業務に注力できる。競争力強化につながります。

 

安全性向上とリスク管理

食品製造業におけるIoTの導入は、安全性向上とリスク管理も効果的です。

環境条件を監視するセンサーを利用し、品質維持や劣化抑制が可能となる。これは例えば、冷蔵・冷凍庫の温度管理などが挙げられます。常時ネットワークに接続された温度ロガーを設置し、データをクラウドシステムが取得。連続的に計測データを収集することで、リアルタイムな監視が行えます。

IoTデバイスを活用した異物検出や衛生管理の強化は、製品の安全性向上、リコールや廃棄リスクの軽減にもつながります。リアルタイムデータ収集と分析で、プロセス全体の監視や管理が容易になり、潜在的なリスクを早期に特定し、適切な対策を講じられるようになります。

 

品質管理とコンプライアンス

食品製造業でのIoT活用は、品質管理とコンプライアンスの強化にも寄与します。

データ収集・分析により、品質のばらつきや不具合を早期に検出できれば、迅速な対処が可能となるでしょう。製品の品質が一貫して維持されれば、顧客満足度も向上します。

また、IoTによるデータ収集は、法規制や業界基準への遵守状況を証明するための記録となり、監査や認証機関との情報共有も容易になります。温度管理で考えてみると、手書きの温度チェックシートよりも、IoTによって連続的に記録されたデータのほうが、信頼性が高いのは明らかです。そのため、法令遵守の確保や信頼向上が期待できます。

 

トレーサビリティと透明性

食品製造業におけるIoTの活用は、トレーサビリティと透明性の向上にも貢献します。IoTデバイスやセンサーにより、原材料の入荷から製品の出荷までの全工程でデータが収集されると、製品の履歴や原料の出所が追跡可能となり、品質問題やリコール時の迅速な対応が可能となります。

また、これらの情報の透明性が向上し、消費者や関係者への信頼も向上するでしょう。さらに、サプライチェーンの最適化や持続可能への取り組みも促進されると期待できます。

サプライチェーン管理と最適化

食品製造業におけるIoTの活用は、サプライチェーン管理と最適化にも貢献します。IoTデバイスを通じたデータ収集と分析により、在庫管理や原材料の需要予測が正確になり、ロス削減やコスト低減が期待できます。また、サプライチェーン全体の可視化が実現し、効率的な物流や配送ルートの最適化にもつながるでしょう。

 

エネルギー管理と環境への影響

IoT技術の導入は、食品製造業におけるエネルギー管理と環境への影響の軽減にも寄与します。センサーやデバイスの利用は、エネルギー消費量をリアルタイムで監視し、無駄なエネルギー使用を削減することにつながります。

また、データをもとにしたエネルギー効率の改善策を策定することで、SDGsなど、持続可能への取り組みが強化されます。これにより、環境負荷の低減と企業の社会的責任を果たすことにつながります。

 

食品製造業におけるIoTの普及状況は?

 

それでは、実際に食品製造業におけるIoTの普及状況はどの程度のものかを見ていきましょう。

富士電機株式会社が2021年11月に公開した「食品製造業におけるIoT/ITの利用動向調査」では、「IoT/ITを利用した、生産性の向上や業務効率化等を目的とした取り組み」という設問への回答結果が公表されています。

結果を見てみると、IoT/ITの活用について、企業の間で意識の高まりは十分に見受けられます。一方、その取り組み状況はまだ十分とは言えない状態です。

具体的には、全体の36.8%の企業が「現在取り組んでいる」と回答し、さらに21.3%が「今後取り組む予定がある」と答えています。一方で、「必要性は感じているが、取り組んでいない」という企業が18.6%、「取り組んでいない」を選択した企業が全体の16.6%となりました。

調査結果はまた、企業の規模とIoT/ITの利活用の取り組みとの間に明確な関連性を示しています。大企業では、特にIoT/ITの活用が進んでいる傾向が見られました。具体的には、5,000人以上の従業員を抱える企業の66.7%が「現在取り組んでいる」と回答しました。これに対して、従業員数が100人未満の小規模企業では、その比率は18.8%に留まり、大企業と小規模企業の間で約48%もの差が開いています。

これらの調査結果からは、企業の規模が大きいほど、IoT/ITの活用が進んでいるという結論を導くことができます。しかし、同時に、特に中小企業におけるIoT/ITの活用の必要性とその取り組みの現状との間のギャップが大きいことも明らかにされました。

IoT導入に向けてのポイント

 

IoTを実際に導入する際にはどのようなポイントがあるのかについて、おおまかな内容を見ていきましょう。

データ収集と分析の戦略

食品製造業でIoTを導入する際には、データ収集と分析の戦略が重要です。目的や目標を明確にし、適切なIoTデバイスやセンサーを選択。その上で、データ収集の方法や分析手法を検討しましょう。また、分析結果を活用し、意思決定や業務改善につなげるためのフレームワークを構築することが大切です。

社内文化の変革と教育

IoT技術を効果的に活用するには、社内文化の変革と教育が必要です。従業員にIoT技術の理解を深めさせ、新たな取り組みやデータ活用に対する意識を高めていきましょう。

コストとROIの検討

IoT導入に伴うコストとROI(投資対効果)の検討も、もちろん重要です。導入費用や維持費用を評価し、期待される効果や収益を検討して、効果的な投資ができるようにしましょう。

【実例】IoTによる自動温度管理

当社では、IoTデバイスを活用した自動温度管理・記録システム「ACALA」をご提供しています。本システムをご利用いただいているお客様の事例をご紹介します。

 

タカラ食品工業株式会社

サラダ、弁当、惣菜といった製品を製造し、コンビニやデパートの地下食品売り場等で提供されているタカラ食品工業株式会社様。ACALAを導入したことで、冷蔵・冷凍庫内の温度管理などに関する記録を手作業で行う必要がなくなり、業務の効率化を実現しました。さらに、ACALAの利用により、記録されるデータの信頼性と保存性が大幅に向上。これにより、クライアントからの監査対応もより円滑に進行するようになりました。

また、以前は人間が行っていた帳票記録作業がACALAにより自動化され、冷蔵・冷凍庫内の管理が格段に効率的になりました。結果、データの信頼性と整合性が高まり、お客様からの監査にも迅速に対応できるようになったとのことです。

まとめ

食品製造業におけるIoTの普及は、少しずつですが前身している状況です。まだまだ中小企業には広がりが遅いものの、導入自体の検討に入るべきタイミングが来ているのは間違いありません。その第一歩としては、ぜひ当社の「ACALA」による自動温度管理・記録をご検討ください。