2023.06.26.Mon

食品製造業の食品ロス問題!原因と改善に向けた対策は?

食品製造業において、食品ロスは常に考えるべき大きなテーマのひとつです。環境への負荷や自社経済への影響など、頭を悩ませる問題は多岐に渡ります。ここでは、そんな食品ロス問題について、原因と改善策を考えていきます。

食品ロスとは何か

まずは食品製造業における食品ロストの定義から確認しておきましょう。これは、単に食品を廃棄するものではありません。正しくは、生産・流通・消費段階で、本来食べられるはずの食品が何らかの理由によって廃棄せざるを得ない状況になることです。

もっとも多いケースは賞味期限切れです。サプライチェーンの途中で期限が切れると、その製品はもう販売できません。その他にも、外観に問題が見つかったり、あまりにも需要が少なくて売れ残ってしまったりといったケースも、廃棄処分の理由です。

食品ロスがもたらす問題

食品ロスは資源の無駄遣い、環境問題、経済的損失、社会的不平などといった複数の面で影響を及ぼし、その解決が求められています。

第一に、食品生産には莫大なエネルギー、水、土地という資源が必要です。これらが無駄にされると、自然環境への影響は計り知れません。その過程では温室効果ガスが排出され、水質汚染も起こりえます。

第二に、食品ロスは経済的損失も引き起こします。食品が生産され、流通し、そして消費されるまでの一連の過程でかかった費用が無駄になってしまうことは、ビジネスにおいても大きな損失です。

第三に、食品ロスは社会的な影響も持っています。貧困層への食糧供給を妨げ、食糧の不平等を引き起こし、世界的な食糧不安につながる可能性があります。

食品製造業での食品ロスの原因

 

次に、食品製造業でなぜ食品ロスが起こっているのか、その原因についても考えてみましょう。

生産ラインにおける問題

食品製造において、生産ラインにおける問題が食品ロスを引き起こすケースは少なくありません。たとえば、不良品の発生や機械の故障、生産ラインのスケジュール管理の問題、労働者の過剰な手動作業などは、製品廃棄のよくある原因になり得ます。

食品の保存や流通に関する問題

保存や流通に関する問題は、廃棄を引き起こします。保管環境が適切でないために食品の品質が劣化する、配送中の事故によって商品が破損する、輸送中の温度管理が不適切で品質が低下するなど、さまざまなシチュエーションが考えられます。

消費者ニーズに応えるための過剰生産

食品製造業者は、需要に対して十分に生産することが求められます。しかし、消費者ニーズに応えるために過剰に生産することがあるため、食品ロスの原因となることも。たとえば、季節商品の需要がピークに達していないときに過剰に生産する、販売予測が甘く過剰に生産する、顧客の注文量の見積もりが誤っていたことで過剰に生産するなどが挙げられます。

食品製造業での食品ロスの問題

前述のとおり、食品ロスにはさまざまな問題がありますが、食品製造業にとっては具体的にどのような影響があるのでしょうか?その代表例を考えてみましょう。

資源の無駄遣い

食品ロスは、生産や流通に必要な資源をムダにする可能性があります。食品の生産には、水や土地、エネルギーなど多大な資源が必要であり、その生産過程で使用された資源がロスになってしまうことは、環境や経済に悪影響を与えていることとイコールです。

環境への負荷

食品ロスは環境に大きな負荷を与える原因になることがあります。廃棄された食品を埋立地に捨てた場合はメタンガスが発生し、焼却された場合には、二酸化炭素や窒素酸化物などの有害物質を排出します。また、食品の生産に必要なエネルギーや水資源の無駄遣いが、温暖化や水不足などの環境問題につながっているとの指摘もあります。

経済的損失

食品ロスは、生産・流通・消費にかかるコストを増大させ、経済的な損失をもたらします。食品ロスに伴うコストとしては、生産・流通・販売する際にかかる費用や税金の無駄遣いによる損失、消費者に対する補償費用などがあります。また、廃棄された食品は、本来必要な食料を提供することができるはずなのに無駄にされてしまうため、経済的な損失だけでなく、社会的な問題にもつながります。

食品ロス削減のための取り組み

 

食品製造業が食品ロスを抑えるためにできることを、いくつか考えていきます。

製造工程の改善

製造工程の改善は、食品ロスを減らせる可能性を持っています。いくつかのアイデアを考えてみましょう。

 

生産ラインの自動化

自動化は労働者の負担を軽減し、作業の精度を向上できます。手作業によるミスを減らすだけでなく、人間の労働者が直面する可能性のある危険な状況を避けることも可能。さらに、自動化は製品の一貫した品質を保つためにも役立つでしょう。これにより、品質基準を満たさない製品、つまり不良品が減少し、それによる食品ロスも低減します。

 

生産ラインの設計やスケジュール管理の見直し

製造量を適切にコントロールし、過剰生産を避けることが可能となります。市場の需要を見極め、生産計画をそれに合わせることで、必要以上の製品が生産されるのを防ぎます。

余剰食品の再利用

すべての食品が消費されることは難しいですが、未使用の食品を再利用することで、食品ロスは減らせます。たとえば、賞味期限が迫った未使用の食品を食品銀行に寄付する、余剰食品を動物飼料や堆肥にリサイクルするなどの方法があります。

 

在庫管理の改善

食品ロスの大きな原因のひとつとして、在庫管理の問題があります。在庫過剰による品質劣化や賞味期限切れ、在庫不足による生産停滞は、全て食品ロスを増大させる可能性があるのです。

在庫過剰は、商品の品質が劣化する原因となります。とくに食品業界では、新鮮さと品質が商品価値の重要な部分を占めているため、在庫が過剰になると品質が低下し、結果として食品ロスが発生します。また、賞味期限が切れると、その商品は販売できなくなり、廃棄せざるを得ない状況になることがあります。

一方、在庫不足も問題です。在庫が足りなくなると、生産ラインが停止する可能性があり、結果として製造効率が低下し、ロスが発生することもあります。

これらの問題を解決するためには、生産計画と販売実績を密接に調整し、在庫管理を改善することが求められます。適切な在庫管理を行うことで、在庫過剰や在庫不足を防ぎ、生産と販売がスムーズに行われるようになります。

 

消費者教育の促進

消費者教育の促進は、食品ロス削減における重要な役割を果たします。具体的には、消費者自身の行動や選択が食品ロスにどのように影響するかを理解することで、日常の食品選択や消費行動を改善することが可能となります。

まず、賞味期限や消費期限についての理解を深めることが重要です。これらの期限は食品の品質を示す指標であり、適切に理解し、これに基づいて食品を選ぶことで、賞味期限切れによる食品ロスを防げます。

次に、余剰食品の活用方法についての啓発も有効です。余剰食品を廃棄するのではなく、他の料理や保存方法を通じて再利用することで、食品ロスを削減できます。

さらに、食品ロスを抑える料理の作り方について教育することも効果的です。具体的には、必要な分量だけ調理する、食材のすべてを活用するなどの方法があります。

まとめ

食品ロス問題の根は深く、範囲も多岐に渡ります。そのため、改善のためには細かな見直しが重要です。

なお、食品ロス問題には、製造段階での材料のロスを減らす、という考え方もあります。こうした改善のためには、自動温度管理・記録システムといったソリューションの活用もおすすめです。

当社では、クラウドベースの自動温度管理・記録システム「ACALA」をご提供しています。食品ロス以外にも、冷蔵・冷凍庫内や室内に関わる温度のリアルタイム監視が可能であり、蓄積したデータは専用のプラットフォームで分析できます。導入に興味をお持ちの方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。