食品製造業の生産性は低い?理由と改善方法も合わせてご紹介
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「食品製造業は生産性が低い」
実は、データを見た場合にもこの主張は誤りとは言えず、実際に生産性向上を課題としている食品製造業者は少なくありません。そこで今回は、食品製造業の生産性が低い理由や、改善のためのアイデアなどを解説します。
食品製造業の労働生産性は平均以下?
2020年度、食品製造業の従業員1人当たりの労働生産性は672万円でした。これは製造業全体の平均(1073万円)の約6割しかなく、製造業内での生産性は低い部類にあたります。さらに、日本の2020年の1時間当たり労働生産性はOECD加盟38カ国中23位、1人当たりでは28位と、1970年以降で最も低いランクに位置しています。
このように、世界的に見ても労働生産性が低いとされる日本において、さらに下位に位置する食品製造業の労働生産性は、常に事業者にとって大きな課題として認識されています。
日本の食品製造業の生産性の課題とその背景
前述のとおり、日本の食品製造業は他の先進国に比べて生産性が低い状況です。その原因については、歴史的・経済的背景が影響していると考えられています。代表的な要因について簡単に解説します。
国内市場への依存
戦後、日本の人口と経済は急成長を遂げました。このため、食品製造業は国内市場だけをターゲットにしても十分に利益を上げられる状況が続いていたのです。しかし、2004年を境に日本の総人口は減少傾向に転じます。高齢化が進むなか、1人あたりの消費量も低下しており、食品の需要は徐々に減少しました。
こうした状況においても、日本の食品製造業は内需に依存を続けていたため、生産性の劇的な改善が求められなかったと言えます。徐々にマーケットは縮小しているにもかかわらず、現状維持を続けていたことが、現状を作ったと言えるでしょう。
生産性向上の遅れ
日本の主要な製造業は、大企業が最終製品を作り、中小企業が部品を供給する構造を持っています。たとえば、自動車や電機産業の大企業は、技術や品質管理のノウハウを中小企業に伝えてきたという歴史があります。つまり、下請けの零細企業であっても、大企業が編み出したノウハウの恩恵に授かれたのです。
一方、食品製造業はこうしたノウハウ伝達の流れが希薄な業界です。各企業が独立して生産を行っているため、最新技術や生産性向上のノウハウが編み出されたとしても、それが共有されにくい状況だったのです。結果、日本の食品製造業全体としての生産性向上が遅れてしまったと考えられます。
伝統的な職人文化
食品製造業は古くからの伝統を持ち、職人の技と経験を重視する文化が根付いています。この伝統を尊重する姿勢が、日本の食品の品質や味を支えていることは紛れもない事実です。
一方で、職人文化が新しい技術や効率的な生産方法の導入を遅らせているという現状も、実際には散見されます。昔ながらの製法の良い部分は守りながらも、改善できる工程については工夫を凝らし、生産性を高める努力が求められています。
学問の領域の違い
日本には、食品製造業の生産性を科学的に研究する専門家が少ない、という問題があります。
食品製造は主に農学の領域で研究され、経営工学や経済学の研究者からは少し距離があると言われています。このため、食品製造業における生産性向上の研究や取り組みが進みにくい背景があるのです。
人手の必要性が高い食品製造
生産性の低さを、より現場目線でも考えてみましょう。
ここでポイントとなるのは、食品製造業は人手を必要とする工程が多すぎる、という点が挙げられます。実際に、それが原因で自動化・省人化が他の業界に比べて進んでいない背景もあります。
人手に頼った作業は、生産性の向上を阻むだけでなく、さらに低下させる要因も持っている。具体的な例を見てみましょう。
人手不足・人材不足
食品工場には、多くの工程での人員配置が必要となります。しかし、食品製造業にとって人手不足は非常に深刻な状況です。設備があるのに、人的リソースが確保できないと、生産ラインの停止や品質の低下が生じてしまう可能性があります。これは言い換えると、人手に頼った工程が多いことが原因とも言えるでしょう。
作業ミスの発生
人的エラーはどの製造業においても起こりえる問題です。しかし、その頻度は人手を必要とする箇所が多ければ多い程、高くなります。
食品製造業では多くの人力による工程が存在するため、ミスが発生する可能性が高くなります。結果として、食品の品質や安全性に影響する問題を引き起こす要因になりえます。
材料調達や在庫管理ミス
食品製造においては、適切な材料調達と在庫管理が重要です。ここでミスが発生すると、製造自体が停止してしまう恐れがあります。そのため、本来であればデータドリブンな管理が求められますが、多くの現場では発注担当者の経験に頼った発注等が行われています。
なお、在庫管理の意味では賞味期限や消費期限も重要です。廃棄ロスが発生すれば、それは企業にとって大きな損失です。全体で見れば、生産性を落とす結果にもなるでしょう。
連携・コミュニケーション不足
部門間の連携が不十分な場合、生産に関わるトラブルが発生しやすくなります。スタッフ同士が口頭で意思疎通を図る場面も必要ではありますが、データを基にしたより精度の高いコミュニケーションのためには、それに適したツールが求められるでしょう。各部門の連携が強化されれば、生産性向上にもつながります。
生産性向上のポイントは?
食品製造業は伝統的な産業として認識されることが多いが、その生産性を向上させるためには革新的なアプローチが求められます。以下は、そのためのアイデア例です。
最新技術の導入
食品製造業は新しい技術を学ぶとともに、積極的にこれを取り入れることが生産性向上に不可欠と言えます。具体的には、ロボット、AI、IoTなどの先進技術の導入などが挙げられます。
実際に、農林水産省は導入支援や技術レクチャーのためのシステムインテグレーターとのつながりをサポートしています。補助金制度なども用意されているため、チャレンジする環境も整いつつあります。
問題意識を持つ人材の育成
生産性の向上は、根本部分における問題の解決がカギとなります。そこで求められるのが、問題点を発見し、それを解決する能力を持った人材の育成です。
現場の声を聞き、付加価値を生み出す作業とそうでない作業を区別し、ムダを排除する視点を従業員に持たせていくことで、企業全体が生産性向上に取り組めるようになります。
経営者の意識改革
経営者や上層部自身が新しい技術や知識に対する積極的な学びの姿勢を見せることで、従業員のモチベーション向上が期待できます。さらに、組織内での意見交換や、専門のチームを設けるなどの取り組みも効果的です。
なお、中小企業では、組織改革の取り組みに負担が伴うこともあるため、外部の専門家やアドバイザーの意見を取り入れることも考慮しましょう。
最新技術導入の第一歩はACALAシリーズがおすすめ
前段では、食品製造業が生産性を向上するには、IoTなどを活用したシステムの導入が効果的であることをお伝えしてきました。しかし実際には、コストやリソースの関係で、新システム導入を見送る事業者も少なくありません。こうしたハードルを考慮し、可能な限り導入障壁を低くしたのが、当社提供の自動温度管理システム「ACALA シリーズ」です。
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まとめ
食品製造業にとって生産性は重要な要素です。今回の内容を踏まえ、ぜひ対策を検討してください。また、その際にはぜひ当社のACALAシリーズ導入についても、選択肢のひとつとしてお考えいただければと思います。