遠隔で温度管理を実現!メリットと導入のハードル
食品事業者をはじめ、温度管理は多くの事業者にとって欠かすことのできない業務のひとつです。しかし、現場に張り付いて温度監視をするのは現実的ではありません。かといって、おざなりにすると大きな事故にもつながります。そこでおすすめなのが遠隔による温度管理です。今回は、遠隔監視システムを実現するためのポイントや、導入ハードルなどについて解説します。
遠隔による温度管理とは?
遠隔監視とは、社内だけでなく、場所や時間を問わずに現状の温度管理が行える環境のことを指します。仕組みとしては、はじめに温度ロガーが測定データをサーバへ定期的に送信。サーバに蓄積されたデータを、パソコンやスマホなどを用いて確認します。
なお、遠隔監視を行う場合に必要となるサーバには大きく「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つがあります。
オンプレミス型サーバによる遠隔監視
オンプレミス環境で自社サーバを運用し、そこに各クライアント(PCなど)がアクセスして遠隔監視をする方法です。システム事業者に開発を委託するという形式もありますが、ここでは自社でシステムを構築する前提でお話します。
導入のためには、温度ロガーが計測したデータを吸い上げ、サーバに送信するシステムが必要になります。主にネットワーク機器となりますが、具体的にはルータなどのハードウェア、専用のプログラムなどのソフトウェアです。
サーバにはデータベースを構築する必要があります。ここに温度ロガーから送信されたデータが蓄積されます。また、生データだけだと管理・分析ができないため、これらを整理し可視化するためのソフトウェアも必要です。
その他、外部アクセスのためにはVPNやVDIといった環境を整える必要もあります。そして何より、自社でシステムを構築する場合には、こうしたハード・ソフトに関して高い技術力を持った人材が求められます。
必ず実施すべきセキュリティ対策
外部からアクセスをするためには、自社サーバの公開が必要です。この際に併せて行う必要があるのがセキュリティ対策です。情報漏えいやデータ改ざんなどのセキュリティ事故はあってはなりません。その防止のためには、ある程度のコストも考える必要があります。
サーバの導入・運用コストにも注意
サーバやネットワーク機器などの物理的な資産は、調達に初期費用がかかります。グレードにもよりますが、一定の水準を満たすためには少なくない費用がかかると考えておきましょう。また、システムの運用・保守についてもコストとして計算をしましょう。自社で行う場合には、その分の人件費も捻出する必要があります。
クラウド型サーバによる遠隔監視
クラウドベースのサーバに設置されたアプリケーションにアクセスし、利用するタイプのシステムです。なお、オンプレミス型サーバをクラウド化することで同様の使い方も可能になりますが、ここでは事業者提供のWebサービスを利用するSaaS型で解説を行います。
コストメリットと優れたセキュリティ
クラウド型サーバの大きなメリットとして、コストが上げられます。物理的な資産の調達や開発などがなければ、導入時の費用はオンプレミス型に比べて安価となります。ランニングコストはかかるものの、これはオンプレミスの場合でも運用・保守にかかる人件費と比較すれば、そこまで負担にはならないでしょう。
また、セキュリティに関して不安視されるケースも多いですが、実際にはベンダーがかなりの金額をかけて対策をしています。そのため、自社で対策をするよりも高度なセキュア環境が整っていると言えるでしょう。
専用プラットフォームなら使い勝手◎
温度管理ソリューションを謳うサービスのなかには、専用のプラットフォームが用意されている場合があります。温度管理に必要となる機能があらかじめ揃っているため、開発などの手間もなく、導入後すぐに利用可能。また、分析等が行える場合もあります。
遠隔監視のメリットとは?
続いて、遠隔監視システム導入によるメリットについても見ていきましょう。
24時間365日どこからでもアクセスOK
遠隔監視を利用すれば、たとえ会社が休業日であったとして、対象の温度状況が24時間365日確認できます。スタッフがいない夜間などの状況も把握できるのはとても便利。また、場所も選ばないので、マネージャーが出先や自宅から温度状況を確認する、といった使い方もできます。
スマートフォンからでも遠隔監視が可能
多くの遠隔監視システムは、スマートフォンにも対応しています。アクセス方法にはいくつか種類がありますが、ブラウザを用いるのが一般的です。たとえば電車の中など、パソコンを開きにくいようなシチュエーションでも、スマートフォンであれば開きやすいでしょう。より手軽に、温度状況の確認が行えます。
同時アクセスにより複数人でも使える
アクセス権限の設定次第ではありますが、多くのシステムはサーバへの同時ログインが可能です。そのため、現場スタッフと上長が離れた場所からそれぞれ現場の温度を確認する、といった使い方も可能。複数人でデータを閲覧しながら会議を行うなどの用途も実現できます。
施設内・複数拠点の温度状況を一括で管理
たとえば工場内に複数の温度管理ポイントを置いている場合です。遠隔監視システムであれば、それらを一括で確認・管理できます。さらに、拠点が全国に複数あるといった場合に、同様に一括での確認・管理が可能。俯瞰した状態で、現状把握が行えます。
リアルタイム監視だから異変に気づきやすい
温度ロガーが連続的にデータをサーバに送信できる仕組みであれば、リアルタイムによる温度監視が可能になります。2時間間隔での監視の場合、計測の間にどのような温度変化が起こったか分かりません。一方、短い頻度のデータが蓄積されていれば、細かな温度の推移はもちろん、現在の状況についても確認が取れます。
緊急時のアラートを受け取れる
監視対象の温度が閾値を超えるなど、トラブルが発生した場合には、サーバがその情報を元に緊急アラートを発報できます。メール等でアラートを受け取った管理者は、プラットフォーム上からすぐに現状を確認。スピーディーな対応が可能です。また、停電などによる急激な温度上昇なども検知できるため、幅広いトラブルへの対策になるでしょう。
働き方改革支援にもおすすめ
近年、日本でも導入が進むテレワーク。遠隔監視システムは、この働き方の支援にもつながります。前述のとおり、24時間365日、場所を問わずに監視が行えるため、自宅にいながらでも現状のチェックが行えます。
遠隔による温度管理システムの選び方
豊富なメリットを持つ遠隔監視。しかし、具体的にどのシステムを導入すればよいのでしょうか? 具体的なポイントについて解説します。
初期費用とランニングコスト
一部のサービスには、初期費用がかかります。この場合は、ランニングコストとの兼ね合いを見ながら、コストパフォーマンスに優れているのはどちらなのか、などを検討しましょう。ただし、実際には機能面の充実やオプションなど、比較ポイントは複数考えられます。
パッケージ内容の確認
遠隔監視システムをパッケージで提供しているサービスは、手間がかからず導入も早いのでおすすめです。一方、必要な機器のみを貸し出すといったモデルもあります。この場合、自社に機器等があれば初期費用を抑えられるでしょう。しかし、互換性のトラブルなどが起こる可能性もあるため、注意が必要です。
データロガー等機器の提供方式
たとえば温度測定とデータ送信に用いられるデータロガーには、レンタル方式と買取方式があります。買取方式の場合、故障が発生した際には自社で対応をしなくてはなりません。また、保証期間がくる度に買い替えも求められ、コストがかさみます。一方、レンタル方式であれば、故障時にセンサの無償交換をしてくれるなど、メリットも大きいと言えるでしょう。
プラットフォームの機能と使い勝手
一口にプラットフォームと言っても、サービスごとに備わっている機能は大きく異なります。温度管理・記録に特化しているといっても、自社に必要な機能がなければ別途開発などが必要になるでしょう。導入時には、実際の使い勝手について事前に確認をしてください。
オプションで選べるセンサ等はあるか?
温度計測には、対象に合わせたセンサ選びも重要です。そのため、サービス提供会社が、
空間の温度計測だけでなく、湿度センサや水温センサ、食品中心温度センサなど、
オプションとして豊富な温度センサの提供に対応できるかなども選定基準のひとつになり得るでしょう。
遠隔の温度管理ならACALA MESH
当社では、遠隔による温度記録・管理が可能なソリューション「ACALA MESH」をご提供しております。クラウドベースのサービスとなり、温度管理・記録に最適化されたプラットフォームをご用意。遠隔監視からアラート発報、さらには分析に至るまでご活用いただけます。
また、必要となる機器についてはパッケージとしてご提供できますので、スピーディーな導入が可能。さらに、初期費用はかからず、利用料金のみでご使用いただけます。
そのほかにも、データロガーのレンタルや豊富にとり揃えた各種センサなど、温度管理・記録に必要なメニューをとり揃えております。遠隔監視システム導入をご検討の方は、ぜひ当社までご相談ください。
まとめ
遠隔監視システムは、温度管理・記録を行う上で非常に役立つソリューションです。とくにクラウド型はコスト面に優れており、かつ使い勝手も良いのでおすすめです。温度管理・記録システムをご検討中の方は、ぜひ遠隔監視ができるものをご検討ください。