2022.12.07.Wed

IoTを利用した温度管理システム

IoTを使った温度管理システムは、食品の衛生管理に役立つソリューションです。導入することで、現場の業務負荷低減や、トラブル等の防止に活用できます。こちらでは、IoT温度管理システムの概要や、導入に向けた基礎知識について解説します。

IoT温度センサを利用した管理システムとは?

IoT(アイオーティー)とは、さまざまなモノを、ネットワークを通じてインターネットに接続し、相互の情報交換を可能にした仕組みのことです。たとえば、食品工場の室温を計測する温度計がIoT化すると、データ取得やサーバへの蓄積が自動化できます。近年、上記のようなIoT温度センサを用いた管理システムは大きな業務改善につながるとし、DXの流れもあって注目が集まっています。

IoT温度センサが使われている場所は?

すでにIoTは多くの場所で活用されています。食品事業分野においては、温度センサが有名です。活用例について、いくつか見ていきましょう。

冷蔵・冷凍庫の温度管理

食品製造の分野においては、厳しい衛生・品質管理が求められます。とくに近年はHACCPがすべての食品事業者に対して原則義務付けとなったこともあり、取り組みに対する重要性が高まっていると言えるでしょう。温度管理もそのうちのひとつであり、冷蔵・冷凍庫の庫内温度については適切な記録と管理が求められます。

IoT温度センサを用いた管理は、これまでの人力による目視チェックを自動化。作業コストの大幅な低減に寄与します。また、正確かつチェック頻度が圧倒的に増えることでデータが連続的になり、信頼度の向上にもつながります。

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空調管理

室温の管理にもIoT温度センサは活用されています。エアコン自体にも温度調節機能はついているのが一般的ですが、これらのセンサは筐体に搭載されているのがネックです。

規模の大きな工場などの場合は、どうしても室温のムラが出てしまいます。同じ空間でも場所によって温度が5〜10℃ほど違ってくることもあります。また、厨房であれば加熱調理などを行う付近の温度が上昇。エアコンがその温度を基準に室温調整をしてしまうと、無駄な運転が増えてしまうといった結果にもなりえます。

IoT温度センサであれば、設置場所を複数かつ自由に選べるため、管理が必要となる場所単位での計測が可能。それぞれの状況を個別にモニターしながら、適切な室温調整が行えます。結果として、空調代の節約にもつながるでしょう。また、空調機器の故障やトラブルがあった際には異常検知がされるため、早期発見・解決に役立ちます。

IoT温度管理システムの構成

IoTは近年に登場した概念であり仕組みとなるため、その構成が分かりにくいかもしれません。しかし中身を見てみると、組み合わせ自体は非常にシンプルです。以下は、一般的なIoT温度センサの構成です。

  • 入力デバイス
  • マイコンボード
  • 出力デバイス

ここでいう入力デバイスとは、温度ロガーのことです。温度計が計測した値をデータとしてマイコンボードに取り込みます。そこからWi-FiやBluetooth、モバイル通信、USB、LANなどのインターフェースを介し、データがルータなどのネットワーク機器へ運ばれ、最終的にはパソコンやサーバに蓄えられます。

このように、IoTの場合はとくにデータの出力部分がネットワーク接続されることで自動化される、という点が大きなポイントです。わざわざ現場まで足を運び、設置された温度ロガーからデータを取り出すといった手間がないのは、とても便利です。

IoT温度センサについて

IoT温度センサにはさまざまな種類があります。以下、代表的なものを簡単にご紹介します。

 

接触式 測温抵抗体 金属の抵抗値を利用し、電流値から温度を算出する。さまざまな金属が使われており、600℃から-200℃まで測定可能。
サーミスタ 半導体やセラミックを用いた温度センサ。抵抗変化によって温度を算出する。-50℃から150℃程度まで測定可能だが、特定の温度における感度が低い。
熱電対 2種類の異なる金属導線を接続した構造を持つ素子を利用。測温抵抗体に近しい温度領域がカバーできるほか、比較的安価なのが特徴。
IC温度センサ さまざまなサーミスタや基準電圧源、アンプなどから作られる素子。広い温度域において一定の電流変化を示せる。
非接触式 赤外線のエネルギーを測定することで、離れた場所から温度計測ができるセンサ。1500℃などの高温でも測定が可能。

IoT温度センサを選ぶ際のポイント

上記のとおり、温度センサにはいくつもの種類があり、かつそれぞれ得意分野は異なります。そのため、選定をする際には以下の点について確認を行いましょう。

  • 耐用温度域
  • 要求精度
  • 価格

食品事業の分野においては、要求精度に関するチェックは非常に重要です。また、複数箇所に設置することなども踏まえると、コスト面についても考えなくてはなりません。

IoT温度管理システムの導入方法

 

IoT温度管理システムを導入する際には、必要な機能が揃っているかについて確認しましょう。合わせて、導入時の注意点についても解説します。

 

求められる主な機能とは?

IoT温度管理システムには、温度データの自動集計や遠隔管理、基準値逸脱のアラート、分析レポートなどの機能が求められます。それぞれの概要や効果について見ていきましょう。

 

温度計測・データ自動収集

まずは最低限の機能として、温度計測とデータの自動収集が行えるかを確認しましょう。IoT温度管理システム導入のメリットは、作業効率の向上や人的ミスの防止などです。そのためには、倉庫や冷温庫などの室温データを自動で収集できることが必要になります。

 

遠隔監視

クラウド上に集積されたデータを分かりやすく表示し、遠隔でも監視できるような機能があると、管理上の効率アップにつながります。そのため、システムがクラウドベースで作られており、かつ専用のプラットフォームなどが提供されているものを選ぶのがおすすめです。

 

基準値逸脱のアラート

とくに食品製造などの場合、安全と品質の維持のためには、異常温度の検知機能が求められます。設定した閾値を超える温度を検知した場合に、アラーム・通知が出る機能があれば、早急な対応が可能になります。

分析レポート

IoT温度管理システムに蓄積されたデータは、分析することでさまざまな改善に役立てられます。たとえば、温度の推移を可視化することで、管理体制の見直しなどが行えます。また、異常発生時などに原因を究明する際にも欠かせません。

 

導入時の注意点

さまざまな効果・メリットのあるIoT温度管理システムですが、導入時にはいくつかの注意点があります。

たとえば、既存設備のままで導入可能かについては大きな問題のひとつ。工場や厨房のレイアウトを大幅に変更するようなシステムの場合、より大きな初期投資が必要になります。

また、どこまでカスタマイズができるかや、イニシャル・ランニングを含めたコストについても必ず確認してください。

 

まとめ

当社では、IoT温度センサ(温度ロガー)を活用した温度管理・記録システム「ACALA」シリーズをご提供しております。合わせて、ネットワーク機器やクラウドベースのプラットフォームをワンパッケージでご用意可能。導入のハードルが低く、かつ効果の高いソリューションとして多くのお客様にご満足いただいております。温度管理・記録についてお悩みの方は、ぜひご検討ください。