2022.11.23.Wed

温度測定の種類とは?管理のポイントについて

温度測定の方法や機器には、さまざまな種類があります。適した方法を用いることが、精度の高い温度測定のポイントなので、正しく把握しておきましょう。また、温度計には管理が必要です。とくに校正については、ある程度の頻度で行わなくては計測結果に大きな悪影響を与えてしまいます。今回は、温度測定の種類や管理のポイントについてお伝えします。

温度測定の機器と種類

温度測定機器と一口に言っても、ガラス温度計や熱電対、サーミスタ測温体など、その種類はさまざま。物理的特性を感知して温度を測定するのは共通していますが、その感知の仕組みも機器によって異なります。そのため、適している場面もそれぞれに違いがあります。以下からは、代表的な温度測定機器の種類について解説します。

測温抵抗体

金属の電気抵抗は、温度にほぼ比例します。その特性を利用しているのが測温抵抗体です。電気抵抗の値から温度を計測に表示します。非常に高い精度が期待できる点も特徴であり、工業分野などで主に利用されています。

 

アルコール温度計

圧力式温度計の一種です。アルコールだけでなく、水銀や灯油などが感温液として使われています。体温計や寒暖計など、広く一般に普及しています。一方、精度を求められる制御用機器などにはほぼ使われていません。

 

熱電対

熱電体は、起電力を利用し温度を測定するセンサーです。異なる2種類の金属同士を接続し、その接点間に生じる温度差を利用しています。温度測定範囲が広く、コストも安いのが特徴。そのため、工業用温度センサーとしても普及しています。

 

白金測温抵抗体

測温抵抗体と同様、金属の電気抵抗と温度変化の関係性を利用しています。そのため、分類としては測温抵抗体に入ります。なお、使われる測温素子は、温度誤差が小さく、経時変化が少ない白金です。また、互換性にも優れるといった利点もあり、幅広い用途に利用可能。とくに、精度が求められる測定・制御に向いています。

バイメタル温度計

2枚の熱膨張率が異なる金属板を貼り合わせ、熱が加わった際の反り方から温度を計測します。仕組みとしては、一方の金属板が固定されている状態で温度変化が起こると、熱膨張率の違いが起こり、どちらかへ反るといったものです。このように、構造がいたってシンプルなので、故障がほとんどありません。近年は減りましたが、過去には工業用温度計をして広く普及していました。

 

放射温度計

物質が放射する赤外線には、それぞれ異なる強度があります。その値を測定することで、温度を測るのが放射温度計です。大きな特徴は非接触式であること。そのため、遠隔による測定も可能です。具体的には、超高温域など、接触式の温度計では測定ができない場所などに適しています。

 

圧力温度計(熱膨張式温度計)

液体および気体は、温度変化によって体積を膨張・収縮します。この仕組みを活用しているのが圧力温度計です。電力不要で測定が可能となるため、監視用の温度計として利用されています。一方、精度の面から制御用に使われることはありません

 

サーミスタ測温体

酸化物の電気抵抗変化を元に温度を測定する、測温抵抗体の一種です。温度上昇に併せて抵抗値が減るNTCサーミスタが主に用いられます。温度感度がよく、家電や自動車、OA機器等など、さまざまな温度測定に用いられています。

 

測定器の管理・校正

 

使い方にもよりますが、測定器には経年劣化が発生します。故障などはもちろん、計測自体はできるものの、その値がブレてしまうといった事態も。この状態では、正しく温度管理が行えません。そこで必要になるのが交換や校正です。

定期的に新品と交換

確実に精度を維持したいのであれば、もっとも有効となるのは定期的な測定機の交換です。買い替えの度にコストがかかるものの、故障した測定機の修理は低下以上の価格になる場合も多いため、そこまで大きな差はありません。

なお、交換の頻度についてはメーカーの保証期間を参考にしてください。機器にもよりますが、おおよそ1~3年で保証が切れるケースが多いようです。機器の管理時に、保証期間切れが迫ってきていたら新品への買い替えを検討する、といった流れをルーティン化しましょう。

社内で校正を実施

新品への交換が難しい場合には、取り急ぎとはなりますが、社内で測定機の校正を行う、といった方法もあります。具体的な手順については「HACCPに欠かせない温度計の校正」でご確認ください。

標準温度計の利用

自社で校正を実施する場合には、校正された標準温度計を用意するのが一般的です。他の方法に比べると、精度が高いため信頼が置けます。一方、標準温度計は購入にある程度のコストがかかりますし、外部校正費用も毎年かかります。もちろん、業務には使えないので、自社校正以外の間は、精度が狂わないように保管しなくてはなりません。

なお、外部校正は温度計メーカーへの依頼となり、数万円程度が必要です。場合によっては、新品購入よりも高額となります。

温度測定器のお悩みはタイムマシーンまで

このように、温度測定器の交換・校正は費用面での負担がかかるため、導入時にはその点を考慮した計画が必要です。一方、あまりに高額なコスト捻出が難しいとお悩みの方も多いでしょう。そこで当社では、費用を安く抑えられる温度校正サービスおよび、温度ロガーのレンタルを行っております。

恒温槽制御システムを用いた温度校正サービス

温度センサーの校正は、高度な技術力と整備された環境が求められます。そのため、事業者様ご自身で実施する場合には、精度が低くなる可能性があります。

当社では、恒温槽制御システムを用いたより厳密な温度公正サービスをご用意しております。医療現場レベルまで追求可能となっておりますので、精度にこだわるお客様には最適です。また、この場合は校正証書の発行についても併せて請け負います。

食品関連の温度センサー校正については、精度的に言えばそこまで高度なものは求められません。しかし、費用面から実施が困難である、との声もよく聞かれます。こうしたお悩みをお持ちのお客様には、校正証書付きの温度センサーの貸与を行っております。こちらの温度センサーを使い、簡易的な校正を自社内で行っていただければ、校正にかかる費用を大幅に削減できるので、ぜひご活用ください。

温度ロガーのレンタルで購入費用を節約

ACALAシリーズは、温度ロガーをレンタル方式で提供しています。

前述のとおり、温度ロガーを含む計測器には定期的な交換・校正が必要です。スケジュール通りに実施できれば問題ありませんが、実際の故障はいつ起こるか分かりません。その度に、突発的な費用が発生してしまいます。

一方、ACALAシリーズでのレンタルであれば、故障時には交換が可能です。初期費用はかからず、必要となるのはランニングコストのみ。定期交換・校正が必要なことを考えると、結果として費用を抑えられる可能性があります。

まとめ

温度測定にはさまざまな種類があり、それぞれ求められる機能や特性のものを選ぶことが大切です。なお、自社で選定するのが難しいといった場合には、パッケージされたソリューションの利用もおすすめです。

当社では、温度管理・記録システム「ACALA」シリーズをご提供しております。温度ロガーはもちろん、無線ネットワーク機器やクラウドベースのプラットフォームに至るまで、温度測定に必要とされる機器・システムを一貫してご用意可能です。温度管理・記録システムの利用をご検討中の方は、ぜひご検討ください。