2022.05.12.Thu

HACCPの7原則12手順とは

HACCPは、製造の各工程で予想される危害要因を分析し、重要管理点を活用して危害の除去・低減をする食品衛生管理手法です。HACCPを構築するためには、「7原則12手順」に従って作業を進めます。こちらでは、HACCPの7原則12手順について解説します。

7原則12手順とは

7原則12手順は、HACCPの基本的な構成要素です。前半の5手順は原則のための前準備にあたります。また、手順6〜12からは原則1〜7に該当します。以下はその一覧です。

手順1:HACCPチームの編成

手順2:製品説明書の作成

手順3:意図する用途や想定される消費者の確認

手順4:フローダイアグラムの作成

手順5:フローダイアグラムに沿って現場で確認

手順6(原則1):ハザード分析

手順7(原則2):CCPの設定

手順8(原則3):管理基準(許容限界)の設定

手順9(原則4):モニタリング方法の設定

手順10(原則5):改善措置の設定

手順11(原則6):検証方法の設定

手順12(原則7):文書化と記録の保持

【準備】5手順

ここからはそれぞれの手順を詳しく解説していきましょう。まずは準備段階となる5手順までです。

手順1:HACCPチームの編成

工場内におけるHACCP推進の役割を担ったチームを「HACCPチーム」と呼びます。各所におけるリスクを見つけ、改善や対応方法を決定し、現場の作業員へ周知・指導を行います。なお、HACCPチーム結成の目的とは手順6原則1にある「危害要因分析」の確実な実現です。そのためには、多様なメンバーを集め、それぞれの視点から危害要因に関する情報を集めることが求められます。

>HACCPチームの編成・決定は導入の第一歩

 

手順2:製品説明書の作成

事業者が製造する製品の説明書を作成します。名称や原材料はもちろん、添加物や加工処理法、消費期限・賞味期限など、詳細な情報を網羅する必要があります。製品説明書はこの後の危害分析を行う際にも役立ちます。なお、確認すべきは自社だけでなく、製造元や消費者、流通業者なども含まれます。製造する製品が多い場合には時間と労力がかかりますが、間違いなく実施しましょう。

>HACCPの製品説明書を作成する手順について

 

手順3:意図する用途や想定される消費者の確認

製品製造の一連工程およびすべての作業内容が記載されたフローダイアグラム(製造工程一覧図)を作成します。原材料の受入から出荷まで、すべての作業を可視化することにより、製品製造で必要な原材料や作業がひと目で分かるようになります。製造工程一覧図は、危害要因分析の基準にもなる重要な書類です。ここに誤りがあると分析結果に影響がでるほか、事故・トラブル発生時の原因究明を困難にします。そのため、必ず現場で目視確認をし、担当者にヒアリングを行いながら、間違いのない表を完成させることが大切です。

 

手順4:フローダイアグラムの作成

製品製造の一連工程およびすべての作業内容が記載されたフローダイアグラム(製造工程一覧図)を作成します。原材料の受入から出荷まで、すべての作業を可視化することにより、製品製造で必要な原材料や作業がひと目で分かるようになります。製造工程一覧図は、危害要因分析の基準にもなる重要な書類です。ここに誤りがあると分析結果に影響がでるほか、事故・トラブル発生時の原因究明を困難にします。そのため、必ず現場で目視確認をし、担当者にヒアリングを行いながら、間違いのない表を完成させることが大切です。

>製造工程一覧図の作成と現場確認

手順5:フローダイアグラムに沿って現場で確認

フローダイアグラム(製造工程一覧図)が完成した後は、実際の現場でその手順が正しく運用されているかを確認する必要があります。前述のとおり、この後に危害分析が行われることを考えれば、実情との乖離はなくしていかなくてはなりません。異なる内容があれば適宜図の修正を行いましょう。また、将来的に工程に変更がある可能性もあるため、アップデートも継続する必要があります。

 

7原則(6〜12手順)

 

次に、HACCPの本番とも言える7原則(6〜12手順)の概要を見ていきましょう。

原則1(手順6):ハザード分析

手順5までの準備手順が完了したら、次はいよいよハザード(危害要因)分析に移ります。HACCPにおけるHA(危害要因分析)に当たる工程であり、もっとも重要ともいえるでしょう。

そもそも危害とは、飲食が原因となり引き起こされる健康被害のことです。危害の重篤度や発生のしやすさは事案ごとに異なります。情報を整理しながら、各製品の各工程にどのような危害要因があるのかを明確にしていきましょう。

>haccpにおける危害分析(危害要因分析)とは?

 

原則2(手順7):CCPの設定

重要管理点とは、HACCPの衛生管理手法において、食品からリスクを除去するために特に重要となるポイントのことです。HACCPのCCPの部分にあたり、HA(危害要因分析)と並んで重要な工程です。なお、管理点を決める際には現実の製造効率なども踏まえなくてはなりません。たとえば一般衛生管理における従業員の手洗いや消毒は衛生上大切なポイントですが、すべての作業をチェックすることは非現実的です。

このように、CCPを決定する際には、複数の管理点のなかから大幅にリスクが低減できるポイントを定め、かつ作業工程全体の効率を落とさないことを前提に決定することが重要になります。

>​​haccpにおける重要管理点(ccp)とは?

 

原則3(手順8):管理基準(許容限界)の設定

危害分析と重要管理点の決定が完了した後は、管理基準(許容限界)を設定します。これは、製品の安全確保におけるボーダーラインとしての役割があり、基準から外れた製品については安全性が確保されていないと判断されます。なお、管理基準(許容限界)と合わせて、運用限界(OL)を定めることも必要です。

>haccpにおける管理基準(許容限界-運用限界)の設定

原則4(手順9):モニタリング方法の設定

管理基準(許容限界・運用限界)がコントロールできているかの監視・確認を行うのがモニタリングです。ポイントになるのは「何を」「いつ」「誰が」監視するのかを定めることです。監視対象のさまざまな情報をリアルタイムで判断でき、かつ誰が担当するのを明確にすることが大切です。

 

原則5(手順10):改善措置の設定

モニタリングを行った結果、管理基準が達成できていない箇所があった場合には、是正措置を講じる必要があります。そのためには、事前に改善措置の設定について取り決めておきましょう。トラブル発生時に遅れが生じないよう、実施するべき処置について詳しく記載します。

 

原則6(手順11):検証方法の設定

HACCPの有効性の検証とプランの修正等の評価・検討を行う工程です。作成→運用→検証→改善を繰り返しながら、より優れたHACCPプランの作成を目指します。

>改善措置だけで終わらないために!haccpの検証方法

 

まとめ

7原則12手順はHACCPを構成する基本的な要素であり、これに従うことで食品衛生レベルを高めることができます。項目は多く感じますが、内容はシンプルなものが多いので、一つひとつを確実に実践していきましょう。