2023.08.21.Mon

ERPとは?食品製造業に必要なシステム

食品製造業をはじめとするさまざまな分野で注目が集まるERP(Enterprise Resource Planning)。しかし、概要に加えて具体的なメリットのイメージが湧かないという方もいらっしゃいます。そこで今回は、ERPの大枠から、そのシステムの必要性などを解説します。

食品製造業のERPとは?

ERPは、日本語に訳すと企業資源計画になります。プランニングとはなっていますが、実際は企業全体の資源を適切に管理するためのシステムを指します。企業にとっての“資源”とは、人材、物資、資金、情報などのこと。これを一元管理し、無駄をなくしたうえで最適な経営戦略を立案できます。ERPは、その手助けとなるツールです。
さらに、ERPは在庫や物流管理におけるロット管理、原価計算、在庫引当管理などの業務もサポートしてくれます。現代の食品業界では、消費者のニーズが頻繁に変化し、新商品を含む複雑な商品流通が行われています。企業は常に変動する市場の動向を素早く把握し、その情報に基づく適切な経営戦略を立てることが必要です。ERPは販売計画や売れ行きのデータを一元的に管理し、これらの情報から需要のリアルタイム予測を可能にします。これにより、企業は変動する市場環境に対応する経営戦略を迅速に策定できるようになります。

食品製造業ならではの事情を踏まえた選定が大切

食品製造業の事業者がERPを選定する際は、業界特有の要件についてチェックする必要があります。まず、安全で質の高い製品を提供するために、徹底した品質保証や衛生管理が食品事業には求められます。また、製品には賞味期限があります。ロットごとに賞味期限を設定した上で品質の保証を行わなければならないため、トレーサビリティ(製品の履歴追跡)に対応したシステムも必要です。ERPを選ぶ際には、こうした業界ならではの事情に対応できるシステムである必要があります。

ERP導入のメリット

 

食品製造業界を含む多種多様な業界で、ERP導入は進んでいます。この勢いの裏には、ERPが持つさまざまなメリットがあります。代表的なものをピックアップして、以下でご紹介します。

一元管理による業務効率向上

ERPが持つ最大のメリットは、一元管理システムによる業務効率化で、食品製造業にある特有の問題解消も可能です。
情報の一元化により、重複登録や業務ごとの情報抽出が不要となり、全社の業績把握や分析が容易になるため、スムーズな意思決定が可能です。また、業務間の情報共有が円滑になれば、人的リソースの節約も達成できます。加えて、古いシステムからERPへの移行は業務プロセスを一新し、全体の業務効率を大幅に向上させます。

 

コスト削減

前述のとおり、ERPは組織内のさまざまな業務システムを一元管理できるのがポイントです。個々の業務ごとに別々のシステムが存在していた場合、それぞれのシステムのメンテナンスや管理に時間と人手を要します。しかし、ERPを導入することにより、これらすべてを一つのシステムで一元管理できるようになるため、管理工数が大幅に削減できます。
また、ERPはパッケージ化されたシステムであり、企業がゼロからシステムを開発する(スクラッチ開発する)必要がないため、開発費用を削減することが可能です。また、パッケージ化されたERPにはあらかじめ機能が組み込まれています。自社の業務に合わせたカスタマイズが必要な場合でも、その範囲がスクラッチ開発に比べて小さい場合が多いため、開発費用とメンテナンス費用を抑えられます。

 

食品業界独自に商習慣にも対応可能

ERPは、食品業界の独自の商習慣にも対応できます。具体的には、以下のような機能が利用できるケースが多い傾向にあります。

  • 不定貫在庫による荷姿の変化
  • 賞味期限の管理
  • 品質管理のためのトレーサビリティ
  • 在庫引当数の管理

近年ではクラウド型のERPも増えており、低コストで導入できるというメリットもあります。要件が合致すれば、独自の商習慣に対応しながらも、経営の効率化とコスト削減を実現できます。

 

業務の属人化解消

ERPは一元的なデータ管理を可能にし、業務標準化による属人化解消、権限の委譲と代理、知識の蓄積と共有といったメリットが得られます。具体的には、新人教育が容易になったり、担当者が不在でも他のスタッフがその業務を代行したり、事業の安定性向上と強化につながるでしょう。とくに、食品業界は属人化の傾向が強い傾向にあるため、これらのメリットは大きいと言えます。

リアルタイムな状況管理

食品製造業は、原材料の在庫管理、生産ラインの動向、賞味期限や品質管理、出荷スケジュール等、多くの異なる要素を同時に把握し、監視しなければなりません。ERPですべての業務データを一元管理できると、これらの要素をリアルタイムで随時確認でき、以下のようなメリットを得られます。

  • 早期問題発見と対応
  • 効率的な生産管理
  • 品質管理の強化
  • 精確な販売・出荷計画

このように、ERPの導入は食品製造業における業務の効率化、生産性の向上、そして問題解決のスピードアップに大いに寄与します。

 

統合的な業績把握

ERPの導入は、業績の総合的な把握を可能にし、経営者がより迅速かつ適切な経営判断を行うことをサポートします。これは結果的に、業績の改善や経営効率の向上にもつながります。具体的なメリットとしては以下が挙げられます。

  • 迅速な経営判断
  • 効果的なPDCAサイクルの運用
  • 業績管理の効率化
  • 問題解決の促進

ERPのデメリットは?

ERPは導入後のコストカットにつながるといったメリットを持ちますが、一方で少なくない初期コストがかかる場合も少なくありません。なかでも注意すべきは、導入時の労力です。
多くの食品製造業では、多数の製品を取り扱っており、かつ必要となる機能の広範です。選定に時間がかかりますし、カスタマイズが必要になればその分の開発コストもかかってしまいます。さらに、本格的に稼働する前には従業員に対しての研修も必要になるため、関係部署が多ければ多い分だけ手間がかかります。

システム化の第一歩は温度管理から

「ERPを含むシステム導入で自社のDXを進めたいが、コスト面がネックとなっている」
こうしたお悩みがある場合は、まずは手軽でありながら効果が出やすい分野から着手するのがおすすめです。自動温度管理システムは、その意味で最適なソリューションと言えるでしょう。
当社がご提供する「ACALA MESH」は、冷蔵・冷凍庫や室内等の温度管理において、IoT技術を使うことで自動記録・管理するクラウド型システムです。単純でありながらも正確性・連続性が求められる温度記録・管理は、デジタルが得意とする分野でもあります。初期費用はゼロ。サブスクリプション型でのご提供となっているため、コスト面での懸念も低減できます。バッテリー駆動の無線センサを利用するため、導入時の配線工事や電源工事も必要ありません。
なお、今後ERPを導入するという場合でも、温度管理は別分野の自動化技術ですから、入れ替えが必要になるわけではありません。「ACALA MESH」であれば、必要に応じてERPシステムとの連携も可能です。自社にDXの種を植え、徐々に花を開かせていく第一歩として、ぜひ当社のシステムをご検討ください。

まとめ

ERPは非常に優れたシステムであり、導入によって大きな効果をもたらします。一方で、コスト的なデメリットなどもあるため、慎重な判断が求められるでしょう。今回ご紹介した当社の「ACALA MESH」も含め、ぜひご検討ください。