2023.08.14.Mon

食品製造業の働き方改革

人材不足等が常に課題として残る食品製造業。解決には働き方改革が必要だと分かってはいるものの、実際にどのような取り組みを行えばよいかでお悩みの方も多いでしょう。そこで今回は、食品製造業における働き方改革についての解説を行います。

働き方改革とは?

まずは、働き方改革の概要についておさらいします。
働き方改革とは、従業員の生産性を高め、ワークライフバランスを改善するために行われる一連の施策・方針のことです。実現のための例としては、以下のような方法が考えられます。

  • 過度な長時間労働の削減
  • テレワークやフレックスタイムといった柔軟な働き方の導入
  • 休暇制度の改善
  • 多様な雇用形態の確立(パートタイム、非正規雇用など) など

働き方改革の目的は、従業員の満足度と幸福感の向上、ストレス軽減、仕事とプライベート両方のより良い結果の達成にあります。また、生産性の向上と同時に、雇用の機会均等、女性や高齢者の労働力参加の拡大、働きやすい環境の実現など、社会全体の課題解決にも寄与します。

人材不足の食品製造業には働き方改革が必要

食品製造業界には慢性的な労働力不足という課題が横たわっています。生産年齢人口が減少する見込みである昨今は、今後さらにこの問題が深刻化すると考えられており、働き方改革の必要性が年々増している状況です。そこで求められるのが、生産性の向上と業務効率化です。
食品製造業にとって、作業効率は製品品質に大きな影響を与えます。働く環境が快適であることは、スタッフのスキル向上や優れた製品創出にも直結するでしょう。さらに、食品製造業の作業現場は、オフィスワークと比較して、体力的および精神的に従業員に重荷を与える特徴があります。品質への期待や納期への責任感も、従業員にプレッシャーを与える要素となりえるでしょう。
労働環境の向上を実現するためにも、製造業の生産性を高める働き方改革は必須と言えます。

働き方改革の整備に向けた準備

次に、具体的な働き方改革実施へ向けた準備について見ていきましょう。ポイントは、細やかな現状把握です。

労働時間の把握と見直し

まずは従来の働き方を再評価し、改めて見直す機会を持ちましょう。
たとえば、各員がどの業務を担えるかを視覚的に示し、さらにその業務に要する適切な時間や、特定の個人に依存している業務が存在しないかを確認してください。これは問題点を明確にし、業務の棚卸しや均衡化、また業務の担当偏りの修正に繋がる重要なタスクです。

教育環境の整備

スキルの向上とリスク管理の観点から、企業は適切な教育環境を整える必要があります。しかしながら、多くの人を一か所に集めて教育することは、生産ラインの停止などを引き起こすため、実施が難しいのが実情です。
そこで採り入れたいのがe-ラーニングなどの教育システムです。多様な講義を個々に受けることができ、すべての社員に平等に学習の機会を提供できます。
上記はあくまでも一例ですが、現在の教育環境について着目し、改善できないかを“考えること自体が準備”に当たります。教育は食の安全を確保する上でも欠かせない項目なので、しっかりと取り組みたい分野です。

定型業務の効率化

定型業務(ルーティンワーク)についても内容を確認し、見直しを行いましょう。
上流から下流まで、運用やルールなど、見直せる点がないかを確認してください。なかには、以前の変更で不要になったはずなのに、慣習として残ってしまっている無駄な作業があるかもしれません。
ただし、運用やルールの見直しだけでは解決が難しい分野も実際には多く存在します。この場合は、新たにシステムやツールの開発・導入が必要かなども含めて検討しましょう。

食品製造業における働き方改革のアイデア

 

現状把握が完了した後は、それに基づいた改善を実施します。方法はさまざまですが、具体的なアイデア例を以下にご紹介します。

ペーパーレス化の実現

食品製造業においても、ペーパーレス化の必要性は高まっています。一方、なかなか取り組みが進んでいないのが現状でしょう。
ペーパーレス化、つまり紙の使用を削減して業務効率を向上させる取り組みは、一見するとオフィスワーク向けのように思われがちです。しかし、食品製造業でもレシピや工程図、衛生管理記録など、さまざまで大量の書類が使われています。特にHACCPが義務化されたことで、書類は増える傾向にあるでしょう。
これらの情報をデジタル化できれば、製造現場のスペースを有効活用するだけでなく、情報検索の効率性も向上し、作業の効率化に大いに貢献します。

クラウドを活用したデータベースの構築

クラウドコンピューティングの積極的な活用は、食品製造業でもおすすめです。
原材料情報、品質管理データなどの多岐にわたる情報データベースを作り、どこからでもアクセス可能な状況を整備することは、大きな業務効率化につながります。たとえば、新商品の企画開発、内部の審議、顧客との打ち合わせなど。いつでもどこからでも、ネット環境さえあればアクセスできるクラウドデータベースが、さまざまな場面で活躍します。

IoTを活用した機器の監視

食品製造ライン等の監視は、すでに多くの工場で実施されています。しかし、異なる設備ではデータ形式が異なりますし、古い設備ではデータの取得が難しいという課題もあるでしょう。結果として、工場全体の把握には限界がありました。
こうした問題を解決できるのがIoTです。たとえば工場内をワイヤレス化し、必要な機器にセンサを装着してIoT環境を構築することで、すべての機器の稼働状況を監視し、データ比較ができるようになります。
稼働率などが「可視化」されれば、予防的な保守業務を行うなど、さまざまな対策を計画できるようになります。これはマネジメントサイド、現場サイドにかかわらず、トータルで見た際の大きな業務効率化をもたらします。

自動温度管理・記録システム「ACALA」が働き方改革を支援

食品製造業における働き方改革のひとつとして、当社では自動温度管理・記録システム「ACALA」の導入をおすすめいたします。
働き方改革の肝となる業務効率化は、小さな改善等の積み重ねによって実現できます。そのため、まずは取り組みやすい分野から施策を着手し、改善数を増やしていくことが重要です。
そこで着目したいのが温度記録です。温度記録はHACCPにおける管理項目として最も重要な要素の1つです。たとえば冷蔵・冷凍庫の温度チェックを人力で行っている場合は、以下のような課題が考えられます。

  • 定期的にチェックを行うために人員が工場内を歩き回っている
  • 誤記や漏れなどが発生した場合の確認・修正などに時間がかかっている
  • 紙を使った管理表のデータをパソコンで転記するのが手間だ
  • Excelでデータを管理しているが、データの加工が毎度発生する
  • 夜間に問題が発生しても、すぐに検知できない管理体制である

上記はあくまでも一例であり、実際にはこのほかにもさまざまな手間や労力、コストがかかっています。
当社の「ACALA」であれば、計測された温度の記録が自動で行われ、クラウドサーバーに蓄積されます。冷蔵庫で温度異常が発生した場合は、電話やメールによる異常通知を受け取ることができるのでHACCP運用にも最適です。データ分析も専用のプラットフォームが用意されているため、加工等は不要。食品業界に最適化されたユーザーインターフェースで、温度管理状況がリアルタイムで確認できます。

まとめ

働き方改革の方法はさまざまですが、近年はシステムによる自動化がトレンドです。とはいえ、大型のシステム導入にはコストも労力もかかるでしょう。この場合は、当社の「ACALA」のように、取り組みやすく効果の出やすい分野から着手することをおすすめいたします。