飲食業界×IoT!活用事例から見る“これから”
人材不足が叫ばれる飲食業界において、働き方改革はさらなる問題の深刻化につながると見られています。この問題の根源のひとつは「スタッフへの高負荷」と言えるでしょう。その解決のために、近年はさまざまなIoT機器が飲食業界でも活用されています。
なぜ飲食店でIoT?省人化が必要な理由
帝国データバンクが行った「人手不足に対する企業の動向調査(2018年10月)」によると、非正社員の人手不足を感じている飲食店は84.4%。他業種を大きく引き離しているだけでなく、前年に比べて3.9ポイント増という傾向にあります。また、正社員についても対前年比9.2%増となっており、以前から叫ばれていた飲食店の人手不足が、未だ解決に至っていないことが分かりました。人手不足が生まれる要因はいくつか考えられます。そのなかでも、繁忙による長時間労働のイメージが求人応募を遠ざけている点と、実際に働く人に大きな負担がかかっている点は、飲食業界における大きな課題と言えるでしょう。こうした状況では、本来目指すべきホスピタリティの提供も難しくなり、スタッフのモチベーションも上がらないという負の連鎖につながります。
● 働き方改革がさらなる人手不足を生む?
2018年6月29日に可決、成立した「働き方改革関連法」では、「残業時間の上限規制」「同一労働同一賃金」といった取り組みが実施される予定です。現在、年間で720時間以上の残業が行われていたり、アルバイトを重要な地位に据えていたりする店舗にとっては、リソース面でもコスト面でも、大きなインパクトが予想されるでしょう。この問題を解決するシンプルな方法は、業務改善にあります。とはいえ、すでにオペレーションも煮詰め、最適化を繰り返してきたという企業にとっては、これ以上何をすべきかが見えてこないかもしれません。そこで注目したいのがIoT。現状をドラスティックに解決できる可能性を秘めています。
飲食店でのIoT活用事例
IoTのイメージと言えば、スマート家電をはじめとしたコンシューマ製品や、工場などで用いられる業務用機器を想像される方が多いでしょう。しかし、技術の発展と共に今ではさまざまな分野での活用がはじまっています。以下では、そんなIoTが実際に使われている事例をいくつか簡単にご紹介します。
● 倒すだけで要件がリストバンドに伝わるブロック
カフェやレストランでは、ゲストが会計やおかわりを頼む際、都度ウエイターを呼ばなくてはなりません。ウエイター側の視点から見ると、この行動は“行って帰ってくる”を繰り返すことになり、あまり効率が良いと言えませんでした。この問題を解決することを目的として、テーブル上におけるブロック形のIoTデバイスが登場しています。「水」と書かれた面に倒すと、ゲストの要件がスタッフの装着するリストバンドに伝わるという仕組みです。簡単な要件であれば、このIoTデバイスひとつで済んでしまうこともあり、業務効率化につながります。
● 監視カメラで効率的なウエイターサービスの提供
レストランにおけるウエイターの役割は多岐にわたります。なかでも、ゲストの食事進行状況を把握し、適切なタイミングで行う給仕というのは非常にレベルが高く、一部のベテランにしかできませんでした。しかし、現在は監視カメラの映像を組み合わせることで、各テーブルの状況を把握し、的確な給仕タイミングを推し量れる技術がすでに実用化されています。この技術はレストランだけでなく、ホテルや旅館などでも活用できるということで、注目を集めています。
● 冷蔵・冷凍庫の温度計をセンサで自動管理
飲食店の厨房は、食べ物を扱う以上徹底した衛生管理が求められます。そのなかでも、冷蔵・冷凍庫の温度管理は食材の品質・安全性保持をするうえで欠かせません。実際に、定期的なチェックをスタッフのオペレーションに組み込んでいる店舗も多いでしょう。しかし、こうした手作業によるチェックは、店舗の混雑具合などによって実施の徹底が難しくなりがちです。こうしたなか、温度・湿度センサを用いたIoT技術が、チェック作業の自動化を実現しています。スタッフがわざわざ温度計を確認しなくても、情報がすべてサーバー上に集り、一覧化できるため管理コストが低減。さらに、トラブル発生時には異常検知アラートが管理者の元へ届くといった使い方も可能です。
コミュニケーションと衛生管理がカギに
このように、IoTの活用は担当する業務によってもさまざまです。たとえばホールスタッフの場合ですと、ゲストとのコミュニケーションの間にIoTを置くことで、省人化が進みます。スタッフの手間が減れば、浮いたリソースをよりよい接客サービスの提供に注げるでしょう。労務軽減だけでなく、サービス品質の向上にもつながります。また、厨房の場合には昨今改正された食品衛生法により、HACCP関連の負荷が高まるとみられています。衛生・品質管理の重要度が増すなか、人力でHACCPへの対応を行うのは大変。結果として、さらなる人手不足を招く可能性も考えられます。前項でご紹介した温度計センサによる自動化といったIoT活用は、こうした状況における強い味方とも言えるでしょう。
温度管理自動化ならACALA
最後に、当社の「ACALA」についてご案内させてください。同製品は、無線センサを用いた温度記録と品質管理を実現するクラウド型統合監視記録ソリューションです。導入いただくことで、今回ご紹介した冷蔵庫・冷凍庫の温度監視にも対応できます。これまでにレストランといった飲食店で多数の実績があり、なかには複数施設合計で1,000個にもおよぶセンサを導入いただいたお客様もいらっしゃいます。温度管理の自動化は労務軽減だけでなく、機器の故障リスク対策、ペーパーレス化といったメリットがあります。そして何より、今後さらに飲食店へと求められる衛生管理レベルの向上にもつながります。さらに現在、調理後の食材の中心温度を測定・記録するシステムを開発しており、近日中にリリース予定(2019年2月現在)です。お客様のニーズを伺いながら、IoTの導入に向けたご提案を差し上げますので、まずは一度お問い合わせください。