2018.12.15.Sat

HACCP義務化に対応するためのポイント

HACCPとは?

HACCPとは、食品製造工程における衛生・品質管理システムのことです。名称は、以下の頭文字を取った略語です。
Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(重要)、Control(管理)、Point(点)
日本語の場合は、これらを組み合わせて「危害分析重要管理点」と呼ばれます。食品製造現場では従来、抜き取り検査によって安全確認を行うのが主流でした。しかしHACCPでは、食品製造および出荷過程における微生物・異物混入危害を事前に予測・分析することで、被害の発生を回避するという考え方です。この実現のためには、後述する12手順と7原則を遵守しなくてはなりません。なお、HACCPの構想が生まれたのは1960年代のアメリカ。はじめは、宇宙食などの食品の安全性確保が目的です。1973年になり、缶詰食品の製造基準としてアメリカ食品医薬品局(FDA)がHACCPを採用し、普及のきっかけになりました。

HACCPを導入することのメリットとは?

HACCPは非常に合理的な衛生管理方法であり、導入によって多くのメリットを享受できます。「HACCPの普及・導入支援のための実態調査について」(平成26年・厚生労働省)によれば、HACCP導入によって「社員の衛生管理に対する意識が向上した」と回答する企業は7割以上にものぼりました。そのほか、以下のような点をメリットとする回答が寄せられています。

  • 製造に不具合が発生した場合に‘、迅速に対応できるようになった
  • 社外に対して、自社の衛生管理を根拠込みでアピールできるようになった
  • クレームや事故が減少した

また、HACCPが導入されることでそれまで業務フローが改善され、ロス率の低下や生産性が向上した事例もあります。このように、HACCPはあくまでも食品製造工程における衛生・品質管理システムではあるものの、導入によって多くのベネフィットが得られることが分かっています。

HACCP未導入で考えられるデメリット

では、HACCPを導入しないことのデメリットとは何でしょうか? とりわけ意識しておきたいのが、2018年6月13日に公布された改正食品衛生法です。ここでは、HACCP導入が全食品業者に対して義務づけられました。これを無視すれば「3年以下の懲役または300万円以下(法人は1億円以下)の罰金」が課せられる可能性があり、注意が必要です。ただし、デメリットは罰則だけにとどまりません。他社がHACCPを次々と導入するなか、自社だけ対応しないという状況は、消費者や取引先からのイメージや信頼感低下につながります。結果として、その情報が起因となり業績悪化を招く可能性も十分に考えられるでしょう。

HACCPの原則と手順

それでは、より具体的な内容について見ていきましょう。HACCPを導入する際は、以下の12の手順を踏む必要があります。そのうち、手順612は「HACCP7原則」と呼ばれ重要視されています。

危害要因分析のための準備段階

手順1 HACCPチームの編成

手順2 製品についての記述

手順3 意図する用途の特定

手順4 製造工程一覧図の作成

手順5 製造工程一覧図の現場での確認

危害要因分析・HACCPプランの作成

手順6 危害要因の分析(原則1

手順7 重要管理点(CCP)の決定(原則2

手順8 管理基準の設定(原則3)

手順9 モニタリング方法の設定(原則4

手順10 改善措置の設定(原則5

手順11 検証方法の設定(原則6

手順12 記録の保持(原則7

従来の衛生・品質管理においては、最終製品に対して検査を行う手法が用いられていました。しかし上記のとおり、HACCPでは「製造過程における管理の徹底で安全性向上を図る」ことがコンセプトとなっています。

HACCP実行での課題は記録

HACCPの実施は、設備管理や清掃・消毒といった一般衛生管理が前提です。冷蔵庫のチェックや温度チェックなど、基本的な保守管理もここに含まれます。しかし、近年の食品業界では人不足が深刻化している状況です。従業員一人あたりの作業量に限界があるなか、業務が切迫すれば冷蔵庫の温度チェックを徹底し続けるだけでも大変でしょう。また、パートやアルバイトを雇っている場合は、入れ替わりの度に管理方法の周知・徹底を促さなくてはなりません。食品衛生の重要性が叫ばれる今、管理記録業務の効率化は大きな課題と言えるでしょう。

安全とコストのバランスを取るカギは自動化

衛生管理の基本は「作業→記録→保管」のサイクルを繰り返すことにあります。とくに記録部分については、HACCP導入はもちろん、適切な衛生・品質管理を行うためには徹底していかなければなりません。しかし、前項でもご紹介したとおり、現場の負担増が起これば人的コストが膨らむだけでなく、衛生・品質管理のクオリティを低下させる可能性もあります。この解決策のひとつとして挙げられるのが、システムを用いた記録の自動化です。当社のクラウド型統合監視記録ソリューション「ACALA」は、無線技術を用いたセンサおよびベースステーションで、24時間365日、室温や厨房機器等の温湿度を記録・監視。定刻にわざわざ温度計をチェックしに行く必要もありませんし、紙を用いた管理もなくなります。クラウド上に集められたデータはパソコンから確認可能。一元管理ができることは、大幅な作業効率化につながります。

まとめ

ACALAは日々の業務効率向上に寄与します。さらに、リアルタイム監視を実現するため、温度異常が発生した際には即アラートを発砲。人手では難しい連続的な遠隔監視によって、リスク軽減と衛生・品質管理レベルの向上が実現します。初期費用や設置工事、面倒な初期設定なども不要。これからHACCP導入に向けて一般的衛生管理の見直しを行うお客様や、現在の業務過多にお困りのお客様におすすめです。