高信頼の接続を実現するSmartMesh IPのメリット
SmartMesh IPは、業界標準のインダストリアル用ワイヤレスプロトコルです。自動温度管理・記録システムなど、信頼性が重要しされる無線ネットワークを構築する際には、ぜひとも採用したい技術のひとつ。そこで今回は、SmartMesh IPの特徴についてご紹介します。
SmartMesh IP誕生の経緯
従来、工場内で使用されるワイヤレスネットワークの無線規格と言えば「WirelessHART」でした。その信頼性が高く評価され、デファクトスタンダードとしてさまざまな工場に導入されています。しかし、この無線規格は工場内での使用が前提となっていたため、ほかのシチュエーションへの転用が難しいという弱点を抱えていました。
そこで、工場で求められる信頼性はそのまま、幅広い用途に活用できる無線ネットワーク製品として登場したのが「SmartMesh IP」です。いずれも2.4GHz帯を使って動作する通信規格ですが、SmartMesh IPはWirelessHARTと異なり、「6LoWPAN」というプロトコルを採用することで、インターネット(IPv6)と無線センサーのスムーズな通信を実現しています。
SmartMesh IPを自動温度管理・記録に使うメリット
SmartMesh IPは高い信頼性と省電力性を持つ通信規格です。以下から、その特徴や強みを解説します。
● メッシュネットワークによる“切れない”無線
SmartMesh IPには、メッシュ型トポロジーが採用されています。トポロジーとはネットワーク構成を表す用語で、前述のメッシュ型だけでなく、スター型やリング型など、構造がいくつかの種類に分かれています。
メッシュ型トポロジーは、通信が途切れにくいという点にメリットがあります。たとえばスター型の場合。これは、中心に置かれた「ハブ」と呼ばれる機器とセンサノードとが独立した線で結ばれています。自由度の高い配線や、一部のセンサノードに不具合があった場合でも、ほかの機器に影響がおよばないという点がある一方、万が一ハブにトラブルが発生した場合はすべての通信が途絶えてしまうというリスクを抱えています。
それに対し、メッシュ型トポロジーはセンサノードが1つ以上の線で結ばれ、名称が示す通りメッシュ状(網状)の構造をつくりだします。万が一、ネットワークに不具合が発生したとしても別の通信路によって通信が維持。さらに、自動で自己修復が行われるため、通信が途切れにくいのが特徴です。
食品工場で温度管理・記録を実施する場合、連続データの取得が必須です。メッシュ型トポロジーを採用したSmartMesh IPであれば、途切れることのない通信で信頼性の高いデータ蓄積が実現できます。
● 精密時刻同期による省電力化
SmartMesh IP同様、低消費電力や複数台接続に優れる通信規格として、ZigBeeがあります。オフィスや家庭で、少数のセンサ装置を接続するのに用いられており、実は身近なテクノロジーのひとつです。しかし、ZigBeeは同期性においてSmartMesh IPに劣るという弱点があります。
ZigBeeには「IEEE802.15.4」というネットワーク規格が用いられています。一方、SmartMesh IPが採用しているネットワーク規格は「IEEE802.15.4e」です。両者の違いのひとつが、“時計の概念”。ZigBeeのノードにはそもそも時計がなく、各ノードは非同期で動作します。一方、SmartMesh IPの各ノードには正確な時計があり、共通の時刻を共有します。
時計を持つことの恩恵は、信頼性と省電力性です。すべてのセンサが同時刻に低電力モードから通常モードへ復帰し、その後スリープすれば、通常モードでの起動時間が最小限に抑えられます。その結果、電力を大幅に抑えられ、センサの電池寿命も延びるのです。
● 周波数ホッピングによる接続信頼性の確保
ワイヤレス通信において、混線は少なくないトラブルです。それを避けるために、SmartMesh IPには、周波数ホッピングという技術が用いられています。これは、一定の時間軸・ルールに基づいて2.4GHz帯の15チャンネルを通信が行き来するというもの。これにより、ほかのワイヤレス通信や反社による干渉を防げます。なお、現在一般的に普及しているBluetoothにも同様の技術が用いられています。
SmartMesh IP 採用の自動温度管理・記録システムなら「ACALA」
当社がご提供するクラウド型統合監視記録ソリューション「ACALA MESH」は、無線ネットワーク規格にSmartMesh IPを採用しています。上記でご紹介したメリットを持つ製品であるため、食品工場内に高信頼なネットワークを構築できます。
なお、高度なテクノロジーを用いていますが、ユーザーが複雑な設定をする必要はまったくありません。ワイヤレスロガーをはじめとした装置が到着したら、それを測定箇所に設置するだけで、すぐに自動温度管理・記録ができる設定が施されています。クラウドプラットフォームもその日から使用可能。それでいて、初期費用は0円。月額使用料のみで運用いただける点が魅力です。
まとめ
工場内で高信頼なワイヤレスネットワークを構築するのであれば、現在はSmartMesh IPが有効な手段のひとつです。しかし、自社でいちから構築するには高い技術力が求められるでしょう。ACALA MESHであれば、ワンパッケージかつ技術者不要でSmartMesh IPのメリットを生かしたシステムを構築できます。自動温度管理・記録システムをお探しの方は、ぜひACALA MESH導入をご検討ください。