温度管理は自分でもできる?自作を含むシステム構築のポイント
「自分で温度管理システムを構築したい」とお考えの方に向け、今回は段階別の温度管理システム構築に関するポイントをまとめました。結論から言うと、自作の温度管理システムは実現可能です。ただし、いくつか問題点もあるため、それを踏まえながら構築について検討してみましょう。
【LEVEL.1】温度管理に必要なもの
まずはもっともシンプルな温度管理の方法から見てみましょう。ここでは、定時になったらスタッフが冷蔵庫や室内の温度を目視で確認します。その結果を温度管理表に付けていき、記録として残していくやり方です。
必要となるものも少なく、ほとんどコストはかかりません。むしろ、この程度の温度管理もできていない状態は、食品を取り扱う会社として非常に危険です。今日からでも構わないので、以下のものを用意してすぐに温度管理をはじめてください。
温度計
まずは対象の温度を測定する計器となる温度計を用意します。よく見るガラスの温度計でも構いませんが、視認性の意味だとデジタル表示のもののほうがおすすめです。なお、冷蔵庫にははじめから庫内温度の表示窓があるものもあります。この場合は、それを使ってください。
温度管理(記録)表
温度をチェックした際、その数値を書き込むための表です。必要となる項目例としては、「温度」「時間」「記録者」「備考」などです。なお、冷凍庫の場合には霜取り中に「dF」と表示されるものがあります。こうしたイレギュラーについては、欄外に説明を入れておくと親切です。
なお、温度管理表には決まったテンプレートはありません。Excelなどを使い、ご自身で自由に作りましょう。
最低限の機器だけで温度管理を行う問題点
目視でのチェックと手作業での記録・管理は、最低限の温度管理です。正しく実行できれば温度管理自体は可能ですが、人が行っている分、必ずミスも発生します。また、現場が忙しくなると、温度チェックが後回しにされるケースも少なくありません。結果、データとしての精度が下がり、管理不足になってしまうこともあるため注意が必要です。
【LEVEL.2】デジタルデータを使った温度管理に必要なもの
続いては、デジタルデータで温度を記録し管理していく方法です。導入することでスタッフの労力が低減できるほか、データの信頼性も大幅に高まります。必要となる機器の量やコストは上がりますが、ぜひともチャレンジしたい仕組みです。
温度ロガー
温度計にロガー機能が付いた機器を、温度ロガーと呼びます。ロガーとはデータを格納する機器全般のことであり、一定間隔で計測データが本体のメモリに記録されていきます。端的に言うなら、「温度が自動で記録されていく温度計」というイメージです。
単なる温度計の場合、目視チェック+管理表への記載が必要ですが、温度ロガーがあればこうした手間は要りません。また、記録の頻度も高まるため、データに連続性が加わり、信頼度も高まります。自動温度管理を行う上では欠かせない機器と言えるでしょう。
パソコンとソフトウェア
温度ロガーからデータを吸い出し、それを管理するためにはパソコンと専用のソフトウェアが必要です。とくにソフトウェアに関しては重要で、Excelなどの場合はデータの加工を行わなくては分析に進めません。温度管理専用のソフトウェアを購入したり、ときには開発したりできれば理想的です。
リアルタイム性の欠如が課題
上記の温度管理方法は、すべて手作業で行う方法に比べると手間がなく、データの信頼性を向上できるというメリットがあります。しかし、データの吸い出しのために温度ロガーのもとへ足を運んだり、本体を取り外したりという手間が発生します。また、温度ロガーからデータを吸い出すタイミングでインターバルが生まれるため、リアルタイム性に欠けるという点もデメリットです。
温度管理は現状の温度を把握できることも重要です。異変をすぐに察知できれば、早急にトラブル対応ができます。一方、閾値の逸脱に後から気付くという状況だと、被害が拡大するおそれがあるのです。
【LEVEL.3】自作システムでの温度管理に必要なもの
最後はかなり高度な温度管理システムを自作する方法です。ポイントは、温度ロガーとサーバを、ネットワークを介して常時接続し、データ取得の頻度を上げるという点にあります。
ネットワークに常時接続可能な温度ロガー
Wi-Fiや携帯通信、有線LANなどのインターフェースを持つ温度ロガーを用意します。これによってネットワークへと常時接続が行えるようになり、短い間隔でのデータ取得も可能になります。つまり、現状の温度をリアルタイムで監視できるようになる、ということです。
ソフトウェアと組み合わせれば、閾値を逸脱した際にアラートを発報することも可能になるため、トラブルによる被害を最小限に抑えられます。また、複数箇所の今の温度を一度に見渡すこともでき、管理性が飛躍的に高まります。
ネットワーク機器
温度ロガーと通信をするためには、いくつかのネットワーク機器を用意する必要があります。具体的にはルータやゲートウェイなどです。とくに無線式の温度ロガーを利用する場合には、ネットワークの設計が重要になります。混線や断線が起こってデータの取得ができなくなると、せっかくのリアルタイム性が失われてしまうため、接続方式などは慎重に吟味しなくてはなりません。
サーバ
リアルタイムにデータを取得し蓄積するためには、データを受け取るサーバを用意します。24時間365日の連続稼働が基本で、かつ内部に温度管理用のソフトウェアをインストールしておく、といった使い方が考えられます。
自作でのシステム構築における高いハードル
自動温度管理システムを構築できれば、大部分の手間がなくなり、かつ管理のレベルも高まります。一方、自分で作る温度管理システムとしてはかなり高度である分、その構築には高いハードルがあることを覚悟しなくてはなりません。とくに、ネットワークやサーバに関する知見というのはエンジニアの領域です。社内に専門家が在籍しているのであれば別ですが、そうでない場合は外部に開発を委託せざるを得なくなります。
コストパフォーマンスを重視するのならACALA MESH
LEVEL.1〜2であれば自作は十分に可能です。しかしHACCP義務化によって、データの信頼性やトレーサビリティの重要度は以前にも増して高まりました。食品事業者であれば、LEVEL.3のシステムを構築するのが最善です。しかし、高度なシステムには多額のイニシャル・ランニングコストがかかります。とくに、外部へ開発を依頼した場合にはかなりの出費となるでしょう。
こうしたお悩みをお持ちの方におすすめなのが、当社がご提供するACALA MESHです。温度管理に必要な機器がワンパッケージとなっているので、届いたその日から利用可能です。さらに、費用は月額制となっているため、初期費用は0円でお使いいただけます。自作では難しい高度なシステムを安価に導入しつつ、それでいてデータの信頼性担保と人件費削減といった効果を実現できます。
まとめ
温度管理自体はLEVEL.1の方法でも実行可能です。むしろ、この方法で温度管理をしている事業者も決して少なくはありません。しかし規模にかかわらず、近年は食品事業者に対して衛生管理の徹底が叫ばれています。この背景を踏まえると、自作であったとしても、高いレベルでの温度管理実現が求められると言えるでしょう。「自分で構築するのはハードルが高い」「高度化するにつれて増えるコストが気になる」という方は、ぜひ当社のACALA MESHをご検討ください。