2019.11.25.Mon

改正食品衛生法のポイントは?HACCPとの関係について

2018年に改正された食品衛生法では、HACCPの制度化をはじめとした大幅な制度の見直しが行われました。しかし、なぜ改正されたのか? 何が変わったのか? について詳しく理解していないという方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、改正食品衛生法を把握するためのポイントを解説します。

食品衛生法改正の背景

1947年に定められた食品衛生法は、その後2003年の抜本的改正を経て、2018年に更なる大改正が行われました。実に15年ぶりとなる改正には、以下のような背景があります。
 

  • 食中毒や異物混入などの食品事故発生
  • 健康食品による被害
  • 世の中の変化によって加工食品や中食ニーズの増加
  • 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催

 

改正のポイント7つ

それでは、食品衛生法改正の大きなポイントについても見ていきましょう。以下の7つが、大きく変更される部分です。

● 広域的な食中毒事案への対策強化

食中毒の感染源を早期発見し、その対応に注力することを目的として、国と地方自治体が情報共有・連携を強化する施策です。大きな改正ポイントのひとつではありますが、事業者にとってはあまり関係ありません。国が食品衛生に対して本気を出している、といったイメージで受け止めておきましょう。
 

● HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化

食品衛生法改正のもっとも大きな柱ともなるのがHACCPの制度化です。すべての食品事業者に対し、これまでの一般衛生管理だけでなく、HACCPに基づく衛生管理の実施が求められます。なお、制度は2020年6月までに施行されますが、その後1年間は経過措置が設けられています。そのため、最低でも2021年6月までを期限に、HACCPに沿った衛生管理の導入を目指しましょう。
 

● 特別の注意を必要とする成分等を含む健康被害情報の収集

従来、健康被害情報の収集は制度として定められていませんでした。その事態を鑑み、「特別の注意を必要とする成分」を厚生労働省が定め、万が一その成分を含んだ食品で健康被害が出た場合は、行政へ被害情報を届け出ることが制度化されています。かみ砕いて説明すると、政府が指定する成分を含んだ食品を食べた消費者に健康被害が出た場合は、行政に対して詳細な報告が必要になるということ。主に製造者・販売者に関係する制度で、2020年6月までに施行されます。

● 国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備

器具・容器包装における原材料をして指定する制度です。これまで、容器の製造・販売事業者および、食品製造・販売事業者が用いる器具・容器包装には、「使ってはいけない成分」(ネガティブリスト)が定められていました。しかし、この運用では海外で使用が禁止されている材料の使用に制限がかけられなかったのです。今回の改正では「使っていい成分」(ポジティブリスト)を指定する運用がなされる予定です。なお、2020年6月までに施行されます。
 

● 営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設

従来の営業許可業種は、飲食店営業や食肉販売業といった34種が定められています。今回の改正でHACCPが制度化されたことに伴い、営業許可制度の見直しが実施され、現在未許可でも営業が可能な業種にも、届け出制が創設されます。また、現在の営業許可業種についても見直しが行われます。
 

● 食品リコール情報の報告制度の創設

たとえば食品製造業者が何らかの問題を引き起こし、製品の自主改正を行った場合。従来の決まりでは、その情報公開をする義務がありませんでした。そのため、自治体が条例をつくり、それぞれに取り組んでいた状況です。今回の改正によって、事業者が食品を自主回収する際には、自治体への報告が必要になる仕組みが創設されます。なお、2021年6月までに施行されます。

● その他(輸入・輸出関係)

食品輸入の際に、HACCPによる衛生管理の証明書添付が必要になる制度です。従来の「輸入時」のみの検査ではなく、製造過程のチェックも行おう、というのが主な考え方です。また、食品輸出にあたっても、国・自治体における衛生証明書の発行といった事務手続きが必要になります。

もっとも大きな改正はHACCPの制度化

上記のなかで、すべての食品等事業者にインパクトがあるのがHACCPです。食品製造等における全過程において、管理体制変更が求められる可能性があります。
また、HACCPの制度化に伴って「営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設」や、輸入・輸出に関する制度が施工されるといった側面もあります。2018年の食品衛生法改正における主題はHACCP制度化と言っても過言ではなく、食品に関連する事業者は必ず確認しておかなくてはなりません。

まとめ

当社がご提供するクラウド型統合温湿度監視記録ソリューション「ACALA MESH」は、HACCP導入をご検討されている食品事業者様におすすめのシステムです。ワイヤレスの自動温度管理・記録機能を備えており、正確な温度データの測定をお約束。設置は簡単、初期費用も0円、監視・分析に活用するプラットフォームも標準でご提供いたします。食品衛生法改正に伴うHACCPの制度化に対応する際には、ぜひ当社までご相談ください。