2023.09.26.Tue

冷凍食品製造業の許可とは?食品の冷凍又は冷蔵業から何が変わった?

冷凍食品の製造・販売を行う上では、対象の商品に合わせた許可を事前に得る必要があります。ただし、この許可は2021年の食品衛生法の改正によって変更されているため、注意も必要です。以下から、冷凍食品に関する営業許可の概要や、取得に向けて必要となる費用、条件などについて詳しく解説します。

冷凍食品に関する営業許可

以前の冷凍食品は、「食品の冷凍又は冷蔵業」というひとつの営業許可で賄われていました。しかし、2021年6月1日に食品衛生法が改正され、以下の3つに区分されることになりました。それぞれ、概要について見ていきましょう。

冷凍食品製造業の営業許可

以前までの「食品の冷凍又は冷蔵業」を踏襲しているのが「冷凍食品製造業の営業許可」です。これは、食品添加物などの規格基準に従った食品を製造する際に求められる営業許可です。

上記では回りくどい言い方になっていますが、端的に言えば冷凍のそうざいを製造する際には、この許可が必要ということです。なお、そうざいとは、以下のような食品です。

  • 煮物
  • 焼き物
  • 揚げ物
  • 蒸し物

上記単体や、米・パンと組み合わせた食品および半加工品が冷凍食品製造業に当たります。たとえば、メンチカツなどを冷凍品として製造する場合には許可が必要です。

複合型冷凍食品製造業の営業許可

複合型冷凍食品製造業とは、冷凍食品の製造に加え、食肉処理業、菓子製造業、水産製品製造業、麺類製造業といった食品を製造する業者のことです。冷凍食品以外にも食品製造をする場合には、該当しないかを確認しましょう。

なお、以前まではこれらの製造には追加の営業許可が必要でした。しかし、食品衛生法の改正によって「複合型冷凍食品製造業の許可」が作られ、追加許可の取得が不要になりました。

ただし、追加許可を不要とするためには、「HACCPに基づく衛生管理」の実施が必須条件となっています。とはいえ、HACCPはすべての食品事業者に対して義務化されているため、基本的に条件はクリアできるでしょう。

このように、食品衛生法の改正によって許可制度が明快となり、手続きの手間が大幅に減ったと言えるでしょう。

冷凍・冷蔵倉庫業の届出

厳密に言えば「許可」ではありませんが、「冷凍・冷蔵倉庫業の届出」も「冷凍食品製造業の営業許可」の派生です。

上記の2つが食品の“製造”を行う業者であるに対し、冷凍・冷蔵倉庫業が扱うのは販売や管理、輸送になります。冷凍食品の運送を行うような場合には、事前の届け出が必要、という意味です。

なお、届け出時には施設整備や更新手続きなど、許可申請時に必要となる書類等は不要です。食品衛生法が改正されたおかげで、冷凍事業への参入ハードルが低くなったと言えるでしょう。

冷凍食品の製造・販売に関する許可・届け出について

次に、それぞれの許可と届け出に関する費用と申請先について見ていきましょう。以下は東京都の費用です。

必要許可 費用 申請先
冷凍食品製造業
複合型冷凍食品製造業
25,200円
35,200円
所轄の保健所および、食品衛生申請等システム

※上記に加えて、新規に事業をはじめる場合には、食品衛生責任者資格も必要になります。

冷凍食品を取り扱う場合は、いずれかの許可が必要になるケースが多いです。不明な場合は、製造する食品について担当者に伝えれば、「冷凍食品製造業」と「複合型冷凍製造業」のどちらを取得すべきか教えてもらえます。まずは保健所に相談をしてみましょう。

許可が不要な場合とは?

なお、すべての冷凍食品の製造でこれらの許可が必要であるとは言い切れません。たとえば、以下のような条件であれば、営業許可のみでも製造・販売が可能となる場合があります。

  • 対象食品が、そうざいのカテゴリに含まれていない
  • 製造する冷凍食品に食品や添加物等の規格基準が定められていない

ただし、細かな基準についてはご自身で調べても確信が持てないかもしれません。この場合は、所感の保健所などに確認をしておくとよいでしょう。

冷凍食品製造業の許可を得るには?

 

ここからは冷凍食品製造業の許可に絞ってお話を進めていきます。同許可を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

食品衛生責任者資格の取得

まずは基本ともなる資格である食品衛生責任者です。食品衛生法に基づき、食品関連の営業を行う場合には食品衛生責任者の資格が必要となります。

資格取得のためには、養成講習(約6時間)を受講し、終了証を取得した後、保健所に届け出ます。なお、既存の資格(調理師、製菓衛生士、栄養士など)を持っている場合は、養成講習を受ける必要はありません。

地域ごとの基準に沿った施設整備

各都道府県は、厚生労働省の基準を参考に施設基準を定めています。施設基準には、共通基準と特定基準の2種類があります。

共通基準はすべての施設に適用されるもので、施設の広さや設備に関する基準が設けられます。一方特定基準は特定の業種に設けられる基準で、冷凍食品製造業等に特有の基準が存在します。

営業許可を得る場合には、上記の定めに従って整備を行わなくてはありません。

HACCPに基づいた衛生管理

2021年6月1日の改正食品衛生法で、HACCPに沿った衛生管理が制度化されました。食品に関わる事業者は、原則としてすべてHACCPへの取り組みが必要になります。

なお、HACCPとは全工程の中から、危害要因を低減する工程を特定し、管理する手法のことです。従来は抜き打ちでの検査で安全性を確保していましたが、HACCPを採り入れることで、複数の工程での衛生状況管理することになります。

この際、重要となるのが温度管理です。たとえば冷蔵・冷凍庫での食品保管や、調理場の室温調整など、温度管理が必要なシーンは多岐にわたります。HACCPに定められた手順のなかにも、温度の測定・記録が必要とされており、その重要性が伺えます。

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まとめ

冷凍食品製造業の許可は、冷凍食品の製造・販売を行う上で必要になるケースの多い手続きです。今回ご紹介した内容を参考に、取得が求められるかについて確認をしましょう。合わせて温度管理についてもしっかりと対策を行ってください。