2021.11.22.Mon

改善措置だけで終わらないために!HACCPの検証方法の設定

HACCPプランは一度作って終わりではありません。現状、改善措置が必要な事態が引き起こされているのなら、検証による見直しが必要です。こちらでは、HACCPにおける「検証方法の設置」について解説します。

改善措置を不要にするための検証方法

衛生管理を行うなかで、CL(許容限界)やOL(運用限界)から外れた工程があれば、改善措置の実施と記録が必要です。しかし、そもそもCL・OLから外れるという状況はあってはなりません。改善措置は、あくまでも緊急事態に対する措置とも言えるのです。

そこで重要になるのがHACCPの検証です。CL・OLから外れるような事態を起こさないよう、常に改善を繰り返すことこそ、HACCP導入の意義とも言えるでしょう

検証方法の設定とは?

「(手順11)【原則6】検証方法の設定」とは、HACCPの有効性を検証し、プランの修正等を評価・検討する工程のことです。PDCAサイクルのように、以下の工程を繰り返しながら、より優れたHACCPプランをつくっていきます。
1. 作成
2. 運用
3. 検証
4. 改善

内部検証と外部検証

HACCPにおける検証方法の基本は、施設自身が行う内部検証です。しかし、検証には客観性が求められるケースも少なくありません。この場合には、施設関係者以外の第三者が検証作業を行うこともあります。第三者検証は、たとえば保健所等の行政が、製品の安全性保証についてチェックを行うような場面です。

検証の具体的な内容

それでは、HACCPにおける具体的な検証の内容を見ていきましょう。

1.HACCPプランどおりに現場が動いているか?

まずはHACCPプランが正しく守られているのかという基本的な確認作業からはじめましょう。計画書等に記載された手順どおりに作業が行われているのかを、現場に足を運んで確認します。

また、記録票を閲覧し、記入漏れがないかなども確認してください。記入漏れがある場合は、なぜこうしたミスが発生しているのかを考えることが重要です。

 

2.HACCP上の計画・指示等が現場の業務と合致しているか?

前項の結果、HACCPプランどおりに動いていない作業があると判明したとします。この際、単に現場スタッフを叱責したり、注意を促したりするのはおすすめできません。重要なのは、先だって立てたHACCPの計画・指示に不備や無理があるのではないかと疑うことです。
冒頭でも述べたとおり、HACCPは継続的な改善が必要です。机上で立てた計画や指示内容が、現場の業務と合致していないという事態は往々にして起こりえます。この場合は、何がボトルネックとなっているのか? どうすれば作業が滞りなく行えるか? などを現場のスタッフと一緒になり考えていくことが大切です。

 

3.CCP(重要管理点)が適切だったか?

計画・指示に問題がない場合は、CCP(重要管理点)の管理基準自体に問題がないかについても確認していきます。
HACCPプランを決める際には、科学的根拠に基づいたCLが設定されます。しかし、必ずしも効果が得られているかは最終製品やCCP直後の抜き取り検査(微生物検査)などをしてみないと分かりません。
重要管理点(CCP)の管理基準や方法に問題がないかを立証しつつ、問題がある場合はCL・OLの見直しが必要です。

 

4.モニタリング用機器が適切に保守管理・運用されているか?

適切なCCPを設定しているにも拘わらず問題が起こる場合には、モニタリング用機器の保守管理と運用を疑う必要があります。

まずは保守管理について。たとえば温度計は、はじめに校正をしたとしても、経年等によって計測に狂いが発生する場合があります。そのままでは正確な数値が示されず、食品の安全に悪影響を及ぼすことも。定期的な再校正が重要です。

また、モニタリング用機器が正しく使われていないという可能性もあります。CCPが適切であっても、これでは効果がありません。機器を現場スタッフがどのように扱っているか、正しく設置されているかなどを確認しましょう。

温度計校正はお金と時間がかかる?温度計の校正を専門業者へ依頼すると、高額な費用がかかります。加えて、校正に2ヵ月程度の期間を要する場合も。この間は、校正済みの温度計を別途用意しなくてはならないため、余計に費用がかかります。
弊社では、温度管理システムACALA MESHをご利用のお客様向けに、こうした問題を解決する「ユーザ校正サービス」をご用意しました。こちらはお客様ご自身で温度計の校正が行えるシステムであり、短期間かつリーズナブルな価格を実現。温度計の校正でお悩みの方は、ぜひ導入をご検討ください。

>ユーザ校正サービスの詳細はこちら

 

5.苦情・違反などの記録が残されているか?

消費者から寄せられた違反などの記録は、食品事業者が衛生管理を改善する上で重要なヒントです。しかし、こうした履歴は現場スタッフにとって後ろめたいものでもあるでしょう。窓口で対応しただけで共有・記録がされていない可能性も考えられます。

検証を行う際には、これらのネガティブな情報がきちんと記録・保管されているかを確認します。また、記録・保管の必要性について現場へ周知し、自分事化してもらう取り組みも忘れてはいけません。

検証を行うタイミング

続いて、検証を行うタイミングについて解説します。

定期的な検証

検証は定期的な実施が望まれます。たとえば年に1回のようにルールを決め、確実に行いましょう。
ただし、すべての検証が同じスパンである必要はありません。期間が1年以上でも問題ない箇所もあるでしょう。一方、より細かく検証を行うべき項目も考えられます。それぞれの内容を加味した上で、強度のあるルールづくりを目指しましょう。

何かしらの変更があったとき

たとえば原材料の産地が変わったり、製造工程やシステムに変更が加わったりした場合には、下流の業務に何らかの影響が考えられます。その他、包装最終製品の配送システムや消費者に変化があったケースでも、上流工程の見直しが必要になるでしょう。このように、何かしらの変更があったときは、検証を行うタイミングです。

HACCPプランの欠陥等が見つかったとき

定期検証等でHACCPプランに欠陥や、欠陥が出る可能性が見つかった場合には、さらなる検証が求められます。HACCPの手順はすべてつながっています。そのため1箇所に変更が必要になれば、それ以外の項目についても見直しが必要です。

新たな危害要因や情報が得られたとき

たとえば同一の食品や食品群に、新たな危害要因が判明した場合には、全体の見直しが必要です。また、危害要因だけでなく、製品の安全性に関する新情報が出た場合には、それを踏まえた検証も求められます。

適切な検証は正しい計測・記録から

適切な検証は日常的に取得されたデータを元に行うため、計測・記録が重要です。しかし、温度記録等については手間も多く、繁忙時には抜け・漏れが発生するケースも少なくありません。そこでおすすめなのが、弊社のACALAシリーズです。

遠隔監視と自動温度記録ならACALAシリーズ

冷蔵・冷凍庫等の温度の記録・管理なら、クラウド型統合温湿度監視記録ソリューション「ACALA MESH」の導入をご検討ください。無線型の温度計兼ロガーを設置するだけで、自動的に定期記録・管理が行えます。
加工食品の中心温度測定であれば、NFC内蔵のハンディタイプ芯温計「ACALA FT」がおすすめです。計測した温度データを無線で送信。調理中の記録作業を簡便化できます。
なお、いずれも送信されたデータはクラウドサーバに記録・蓄積されます。専用のプラットフォームが用意されているため、分析も簡単。HACCPプランの検証にも大いに役立ちます。

まとめ

改善措置を定めることは大切ですが、それは本来起こってはならない状況です。事態を改善するためには、HACCPプランを適切に検証し、見直しながら改善を続けることが大切です。