2021.11.16.Tue

HACCPの証明と改善に向けた記録と保存方法

HACCP「(手順12)【原則7】記録と保存方法の設定」は、衛生管理の証明や、トラブル発生時の原因究明などに必要なポイントです。以下では、記録と保存方法の設定について詳しくご紹介します。

記録と保存方法の設定とは?

HACCPにおいて、記録と保存は大きなポイントです。

記録を取り、保存をしておくことは、HACCPによる衛生管理を実践した証拠になります。万が一、製造した食品等に問題が見つかった場合でも、どの時点で管理に問題があったのかを明確化できます。また、各機関や取引先から温度管理・記録のレポート提出を求められた際にも、適切な管理を行っているエビデンスになり得るでしょう。

一方、記録と保存ができていなければ、上記のようなシチュエーションで大きなマイナスになります。トラブルの原因究明が難しくなるだけでなく、取引の停止を迫られるケースも考えられるでしょう。HACCP導入の際には、記録と保存方法の設定についてきちんと向き合うことが重要です。

記録の対象とは?

HACCPではさまざまな対象への記録が求められます。たとえば「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の場合は、事前に衛生管理計画を作成します。作業はこの計画に基づき行われますが、この際に「いつ」「どのように」といった行動の記録を各行程で行うことが必要です。たとえば食品の納入時には、外観や臭いなどをチェックし、問題がなかったことを記録していきます。

さらに、問題がある際の対応についても記録が必要です。納入された食材に問題があったのなら、それを返品したのか、加熱して安全性を確保したのかなどを記しておきましょう。

また、厨房の室温や冷蔵・冷凍庫の温度記録も対象です。温度は食品に対して大きな影響を与える要素のひとつ。定期的な確認と記録は、食の安全を確保するのに欠かせません。

記録時のポイント・注意点

記録で重要となるのが信頼性です。必要なタイミングで適切な手法による記録を行うことが、HACCPでは求められます。以下は、記録時のポイントと注意点です。

改ざんができない記録を心がける

記録に重要なのは信頼性です。そのため、改ざんが可能な方法は避けましょう。たとえば、鉛筆による手書きの記録は、修正が簡単なためおすすめできません。記入跡が残るボールペンなどの使用が推奨されます。

なお、ボールペンを使った記入でミスがあった場合にも、安易な修正は避けましょう。ルールに則った修正方法を定め、それに従って訂正等を行うことで、信頼性を確保できます。具体的には、訂正には二重線と日付、訂正者の氏名を記載するといった方法があります。

ただし、こうしたアナログな手法はミスも起こりやすく、改ざんも不可能ではありません。そのため、全体的な信頼性は決して高いとは言えません。より厳密な記録と保存を実施するのであれば、IoT等を活用したシステムを導入し、自動化を行うのがおすすめです。

データは取得と記録を同時に行う

記録時にありがちな間違いとして、「予測・記憶による記載」があります。たとえば「トイレの清掃を後でやろうと考えていて、とりあえず記録表に実施記録を付けた」といったケースです。トイレに何の問題もなく、適切に清掃が行えれば良いと考えがちですが、これはミスの元です。また、記録を付け忘れてしまった場合も同様です。記憶に頼った記録もミスの原因になり得ます。

こうしたトラブルを避けるためには、行動と記録を紐付け、同時に実施することが大切です。とくに温度などは常に変わり続ける要素です。予測や記憶で行えるものではないと意識しましょう。

 

不備があった場合も記録をする

人が作業をする限り、ヒューマンエラーは起こりえます。ミスを0にすることはできません。だからこそ、記録の不備が発見された場合は、あらかじめ決められた措置を実施することが大切です。かつ、どのような措置を行ったのかの記録も必要になります。

 

第三者による点検を行う

現場スタッフがきちんと記録を付けているかを確認する際には、第三者によるチェックが重要です。この際には、記録が疎かになっている点を確認するだけでなく、記録の手順などについても注目しましょう。「記録作業自体は行われているが、誤った記録方法が続いていた」では、データの信頼性が下がります。

 

記録機器の点検を行う

正確な記録のためには、記録機器の点検や校正が欠かせません。故障や不具合があれば、早めの修理や調整を行いましょう。
なお、温度計の校正についてはコストと時間がかかる分野です。正しく校正された温度計で計測を行わなくては、信頼性の高いデータは記録できません。一方で、専門業者へ校正を依頼すると、高額な費用だけでなく、校正証書の取得に数カ月の時間を要してしまう場合もあります。
そこで弊社では、温度管理システムACALA MESHをご利用のお客様向けに短期間かつリーズナブルな価格で機器校正が行える「ユーザ校正サービス」をご用意しています。温度管理・記録に、ぜひご活用ください。
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保存時のポイント・注意点

適切な記録によって蓄積されたデータは、適切に保存されてこそ意味を持ちます。以下は、データ保存時のポイントや注意点です。

記録関連書類の保管期間は?

前提として、HACCPでは記録書の保管期限が設けられていません。極論を言えば、記録したそばから破棄してもよいことになります。しかし、それでは記録を行う意味がありませんし、トラブル発生時に困ります。

あくまで参考ではありますが、紙による記録書の保管は1年間程度が目安です。原材料受入記録など、毎日のように記録を行う書類については1ヵ月程度の保管でもよいでしょう。

一方、クレーム対応や従業員の教育記録などは今後見直す可能性もあります。必要に応じて、2〜5年程度の保管期間を設けてください。

ペーパーレス化・情報一元化がおすすめ

紙に記録されたデータは、それ自体に問題があるわけではありません。しかし、保管スペース等のコストが生じる点が懸念です。また、データを分析する際には、途方もない労力がかかるでしょう。

こうした問題を解決するには、記録・管理業務のシステム化がおすすめです。すべてをペーパーレス化できれば、保管スペースや転記作業などで困ることもありません。情報も一元化されるため、データの活用も期待できます。

IoTとの組み合わせで記録・保存をスムーズに連携

記録を行う機器をIoT化し、インターネット上に置かれた管理票へデータを直接送信できるようにすれば、さまざまな記録作業を自動化でき、前述のペーパーレス化にもつながります。

例としては、無線タイプの温度ロガーが記録した情報をクラウドサーバーへ送信するようなシステムが挙げられます。目視で行っていた冷蔵・冷凍庫の温度記録が自動化されるので、スタッフの業務負荷軽減にもつながるでしょう。

記録と保存に関わる課題解決ならACALA

HACCP導入によって記録と保存に関わる業務負荷が増えた、というお悩みは少なくありません。そこで活用いただきたいのが、弊社の温度管理システムです。

冷蔵・冷凍庫の温度記録・管理ならACALA MESH

クラウド型統合温湿度監視記録ソリューション「ACALA MESH」は、冷蔵・冷凍庫等の温度記録・遠隔監視・温度管理に最適なシステムです。無線型の温度計兼ロガーを計測箇所に設置するだけで、自動的に定期温度計測・記録が完了。データはクラウドサーバーに保存され、専用のプラットフォームを使った分析も可能です。

食品の中心温度測定ならACALA FT

食品の加工時には、加熱後や冷却後の中心温度の計測が行われます。ACALA FTであれば、この際の記録業務負荷を軽減可能。ハンディタイプの芯温計にNFC通信機能が搭載されているため、ワイヤレスでデータを転送できます。調理中に、わざわざ記録票へ中心温度を記入するといった手間がありません。また、データはクラウドサーバーに蓄積されるため、保存・分析にも便利です。

まとめ

HACCPにおいて、記録と保存は最重要とも言えるポイントです。弊社のACALAシリーズをご活用いただければ、作業効率化や正確性の担保が容易に行えます。HACCP導入後の記録・保存でお困りの方は、ぜひ導入をご検討ください。