HACCP導入の効果・メリット
衛生管理の徹底は、すべての食品に関わる事業者にとって義務とも言えます。そこで役立つHACCPですが、実際に導入した場合には、どのような効果・メリットが得られるのでしょうか。HACCPが必要になった背景と共にご紹介します。
HACCPが求められるようになった背景
近年になってHACCP義務化への動きが加速したのには理由があります。食品衛生が時代と共に強く叫ばれるようになったことに加え、国内情勢の変化がその一因でしょう。以下から、HACCPが求められるようになった背景をご紹介します。
- PL法の施工
- 食中毒の多発
- FTA・TPPの影響
- 東京オリンピックの影響
95年に施工されたPL法。この法令により、消費者は製造者に対して、製造物責任を追及しやすくなりました。対象となったのは人口加工物であったため、とくに食品加工業者は大きなリスクを背負うことになりました。その結果、HACCPなどの衛生管理システムの必要性が増したと考えられます。
1990年代頃から多発するようになった、O-157やサルモネラ菌に起因する食中毒。1996年にはO-157感染患者9,000人以上を出すなど、メディアでも大きく取り上げられました。こうした事件によって、消費者はもちろん、食品に関わる企業にとって、食品加工業者に安全面・品質面を求めるのは当たり前のこととなりました。
HACCPが義務化に向けて動き出した要因としては、FTA(自由貿易協定)やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)などの影響が考えられます。将来的に関税障壁が撤廃される事態となれば、輸入食品が国内へ大量に渡ってくると考えられるでしょう。この際には、今以上に消費者から食の安全性が求められるはずです。
2020年に東京オリンピックが開催されれば、多くの国々の中区が日本に向けられることとなります。国としては、「食品安全対策が徹底されている日本」をアピールしたいはずです。HACCP義務化が進められたのには、こうした思惑も関わっていると考えられます。
HACCP導入によって得られる効果・変化
以下からは、HACCPを導入することで事業者にどのような効果や変化が起こるのかを見ていきましょう。直接的なものから副次的なものまで、合わせてご紹介します。
- 食品の事故リスクを低減
- 衛生管理・意識の向上
- ブランドイメージ向上
- 食品販売業者からの評価
- トータルコストの削減
- 【メリット例】温度記録の自動化
HACCP導入による最大のメリットは食品事故のリスク低減です。
事業における衛生管理レベルが向上すれば、食品由来の疾患(食中毒等)を回避できるようになります。食品を扱う事業者にとって、これは何よりの導入効果と言えるでしょう。
HACCP導入によってどのように衛生管理レベルが向上されるのかを考えていきます。
HACCPの土台は、手洗いや清掃、調理器具の消毒といった一般衛生管理。いずれも、食品の製造や加工に携わる企業であれば当たり前に実施していることです。しかし、HACCP導入のタイミングでこれらの見直しを図り、作業手順を書式化すれば、基本部分での衛生管理レベル向上につながります。
また、手順見直しに際して、従業員の衛生管理に対する意識も向上します。衛生管理の手順も書式化されているので、スムーズに内容を把握できるでしょう。
HACCPの導入は、企業のブランドイメージ向上にも役立ちます。
衛生管理に正面から取り組んでいる姿勢を示すことは、対企業はもちろん、対消費者に対しても信頼度アップにつながります。食の安全性が叫ばれる時代だからこそ、ぜひアピールしておきたいポイントと言えるでしょう。
対企業において、HACCP導入によるイメージアップが有効であるデータがあります。
日本政策金融公庫が発行する「平成 26 年下半期食品産業動向調査」の結果を見てみましょう。ここでは、食品販売業者(小売・問屋・流通)511社に対して「契約の際、HACCP導入を参考にしているかどうか」という旨のアンケートが行われました。その結果が以下です。
このように、実に65.4%の企業は食品の仕入れにおいて、HACCP導入を考慮していることが分かります。
HACCPの導入は作業手順を見直す良い機会です。衛生管理レベルを上げるだけでなく、これまで見過ごしていたムダを潰していければ、生産性の向上にもつながるでしょう。
また、品質の向上によって顧客からのクレームが減れば、その対応にかかる人件費も削減されます。結果として、トータルコストの削減が実現できます。
コスト面のメリットについて、具体例を挙げてご紹介します。
たとえば冷蔵・冷凍庫の温度管理を自動化できるシステムを導入した場合。スタッフが定期巡回し、温度計をチェックするといった手間がなくなります。また、こうしたデータのデジタル化も容易になるでしょう。これまで冷蔵・冷凍庫の温度管理に使っていた時間が削減できれば、その分コアな作業に集中できるようになり、生産性向上につながります。
まとめ
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