2024.07.10.Wed

飲食店のワイン保管における温度管理の重要性

ワインを最高の状態でお客様へ提供するためには、適切な管理が求められます。今回は、ワイン保管のポイントと、そのなかの温度管理の重要性について解説します。

ワインをおいしく楽しむための温度とは?

ワインは温度によって味わいに大きな変化が起こります。適温でない場合、せっかくの風味が損なわれてしまう場合も。また、赤ワイン、白ワイン、スパークリングワインなど、それぞれに最適な温度が存在するため、温度管理が非常に重要です。

ワインごとの飲み頃温度

ワインにはその種類に応じた「飲み頃温度」があります。

たとえば赤ワインは、多くの人が「常温で飲む」と考えがちです。しかし実際には、冷蔵庫の野菜室で軽く冷やすことで、適度に渋みが抑えられ、より滑らかな味わいが楽しめるようになります。これは、一般的な屋内の「常温」が、赤ワインにとっては少し暑すぎるからです。飲む直前に野菜室から取り出し、少し温度を上げるのがおすすめの飲み方です。

一方、スパークリングワインは冷たい5℃~8℃程度で楽しむのが一般的です。ただし、この温度はあくまでも“飲み頃”であり、保管温度とは別です。ここまで低い温度で長期保管をすると、ワインが低温劣化する可能性があります。すぐに飲む場合を除いて、適温とは言えません。

ワインの適切な保管方法

前述のような“飲み頃”ではなく、ワインを熟成させ、味や香りを引き出すためには、適切な保管が必要です。

ワインは非常に繊細な飲み物です。そのため、品質は保管方法によって大きく左右されてしまいます。適切な環境で保管されたワインは、時間と共にその味わいを深めますが、不適切な条件下では品質が損なわれます。以下で、ワインを適切に保管するための重要なポイントをご紹介します。

冷暗所での保管

ワインは光に非常に敏感です。特に、直射日光や強い人工光はワインの品質を劣化させる原因となることがあります。これは、光がワインの化学反応を促進するからです。特に白ワインの場合は、味や色に悪影響を及ぼします。そのため、ワインは暗い場所で保管することが理想的です。具体的には、光の当たらないワインセラーやキャビネットが適しています。

安定した温度の維持

温度変化はワインの品質劣化に繋がり、特に高温はワインを早く老化させる原因となります。温度を安定させるためには、ワインセラーの使用が推奨されますが、それが難しい場合は温度変化の少ない場所を選ぶべきです。

最適な湿度環境

ワインの保管に適した湿度は65~80%です。この湿度の維持は、特にコルク栓を使用しているボトルにとって重要になります。

湿度が低すぎるとコルクが乾燥し、空気がボトル内に侵入してワインが酸化する原因となります。適切な湿度を維持するためには、湿度調整機能が備わったワインセラーや、湿度を保つための水容器を設置することが有効です。

振動のない場所での保管

振動はワインにとって天敵です。ワインが揺れると熟成過程に悪影響を及ぼし、化学変化を引き起こして風味や香りを損なう可能性があります。そのため、保管時は振動が起こらない場所で保管することが望ましいといえます。冷蔵庫や洗濯機の近くなど、日常的に振動が発生する場所は避けましょう。

匂い移りの防止

ワインはそのコルク栓を通して周囲の匂いを吸収しやすいため、強い匂いのする物質のそばには置かないようにしましょう。特に薬品や塗料、強い香りの野菜などは避けるべきです。これらの物質からの匂い移りは、ワインの風味を損ない、その独自の香りを台無しにしてしまう可能性があります。

ワイン熟成における温度管理の重要性

 

前項でも触れた通り、ワインの熟成を行う際には温度管理が重要です。以下から、その重要性についてより詳しく解説します。

適切な保存温度

ワインの適切な保存温度は13~15℃とされています。長期にわたる保管であっても、時間とともにその潜在的な風味と複雑さが最大限に引き出せる環境です。一方、温度が高すぎるとワインは過剰に速く熟成し、その結果、味や香りが損なわれる可能性があります。逆に、温度が低すぎると熟成プロセスが遅れ、ワインの味のバランスが崩れることがあります。

温度変化の影響

ワインは温度変化に敏感であり、特に急激な変化はワインの品質に悪影響を及ぼす可能性があります。

温度の急激な変動は、ワインの熟成に悪影響を与える他、コルクの物理的な変化を引き起こす可能性があります。これは、ワインボトル内の空気の循環を促し、結果として酸化を加速させることがあります。

温度管理の実践方法

ワインを適切な温度で保存するためには、いくつかの方法が考えられます。もっとも効果的なのは、専用のワインセラーやワインクーラーの使用です。理想的な温度範囲内でワインを保管できます。

ただし、ワインセラーの導入にはコストもかかります。この場合は、屋内でもっとも温度が安定している場所を選び、直射日光や家電製品から遠ざけて保管することが重要です。

ワインセラーの管理にはACALA

ワインセラーには温度を一定に保つためのシステムが組み込まれています。そのため、正しく稼働していれば適切な温度を維持できるでしょう。しかし、ワインセラーが故障し、温度管理機能が機能していない場合には、温度の維持にリスクが生じます。

こうした際の補助機能として、温度管理システムが役立ちます。当社がご提供するACALAは、複数の対象箇所における温度記録・管理をリアルタイムかつ遠隔で行えるシステムです。万が一、ワインセラーに故障が発生したとしても、独立した温度記録・管理が続くため、異変を早急に検知することが可能です。アラートの発報により、担当者がすぐに対処を行えます。

高級なワインを大量に貯蔵しているような場合、温度管理体制が崩れることは大きなリスクです。ACALAを活用し、二重の管理を行うことをおすすめします。

事例紹介:居住者向けワインセラー(森ビル株式会社)

まとめ

ワインは温度に敏感な飲み物です。しかし、適切な管理を行うことで、最高の状態でお客様へ提供ができ、かつしっかりと熟成が行えます。ぜひ当社のACALAをご利用いただき、管理レベルの向上をご検討ください。