HACCPを機能させるための温度記録自動化
温度記録・管理はIoT等のシステムを用いた自動化がトレンドです。また、HACCPの導入や改善においても、温度データは非常に重要と言えます。そこで今回は、HACCPをより効果的に機能させるための「温度記録自動化」について解説します。
HACCPにおける温度記録の重要性
食品の製造・加工の全工程・段階で発生する可能性がある微生物汚染。その危害を事前に分析し、結果に応じた対策を講じるのがHACCPの基本的な考えです。また、すべての工程で危害要因の予測分析を行い、事前に設定した基準による管理も行います。
温度記録・管理は、この過程のなかで非常に重要な役割を担います。それは、日々の食品安全を守ることだけではありません。たとえば、何らかのトラブルが発生した場合、その原因究明に温度記録データは間違いなく役立ちます。
温度は危害除去の重要なエビデンス
食品汚染と温度に密接な関わりがあることは周知の事実。食品に何らかのトラブルが発生すれば、必ず温度記録・管理の提出が求められるでしょう。この際、適切な管理ができていたにもかかわらず、温度記録に不備があることでその取り組みが証明できないような事態は避けなければなりません。そのため、HACCPでも重要視されているとおり、温度記録・管理情報については確実な実施が求められます。
手作業による温度記録・管理の実態
HACCPを進める上で欠かせない温度記録・管理。しかし、その作業を人力で行い続けるのには少なからず問題があります。
人為的ミスの発生
人が行う作業に“絶対”はあり得ません。どれだけキャリアを積んだベテランでも、ミスをすることはあります。さらに言うなら、普段なら間違いようがないのにもかかわらず、忙しさや疲れ、緊張感のなさからミスをすることも。手作業による温度記録・管理は、その際たる例とも言えるでしょう。記録漏れだけでなく、数値の読み間違え、誤記入などは、防ぎようがありません。
記録精度の差違
人為的ミスにも少し近いですが、チェックを行ったスタッフによって測定の時間や記録の精度に差が出やすい、というのも人力による温度記録・管理の問題点です。
本来、温度測定は決まった間隔で実施しなくてはなりません。しかし、その日の仕事の進み具合などに合わせて、昨日は10早い、今日は5分遅い、などの差が生まれる可能性があります。また、あってはなりませんが、作業が形骸化してしまい、目視していないのに間隔でチェックをするといった記録が行われるケースも存在します。
連続性と正確性
人力での計測にミスや精度誤差が生まれる可能性がある以上、正確性については決して高いとは言えません。また、スタッフが10分に1回計測を行うといった運用は不可能となるため、計測時刻に大きなすき間が生まれてしまいます。
データは信頼性が重要です。自社で分析を行う場合も、第三者へ提出する場合も。いかに信頼できるデータを用意できるかが、その後の結果に関わると言ってもよいでしょう。
異物混入リスク
食品関連ならではのリスクとしては、異物混入リスクも考えられます。たとえば紙とペンを使い、手書きで温度記録・管理を行っているような場合。紙の切れ端やペンのキャップなどが工場や厨房内でなくなったとなれば、これは大問題です。場合によっては、ラインを一端ストップする事態にまで発展するケースも。異物混入リスクを減らすには、できるだけ物を厨房や工場に持ち込まないようにするのが大切です。
温度記録自動化によって得られるメリット
冒頭のとおり、温度記録は自動化するのがトレンドです。IoT等を用いたシステムの導入がHACCPを加速し、食の安全性を守ることにつながります。
温度記録の業務負担軽減
温度記録・管理業務はある程度の頻度で行わなくてはならないものであり、食品を扱う事業者であれば誰でもその重要性を理解しているはずです。
しかし、温度計の定期的なチェックや温度記録表への書き込みは、軽作業ではあるものの面倒な作業のひとつ。一定の時間に持ち場から離れるなどして実施するため、少なからず現場スタッフの負担となります。
こうした負荷軽減につながるのは、自動温度記録・管理ならではのメリットと言えるでしょう。温度センサーを通じてデータを取得し、サーバー等に蓄積するという作業が自動化されれば、スタッフによる作業は一切なくなります。また、管理者等にとっても、すでにデジタル化されたデータが届くため、紙資料からの転記などが不要。帳票作成などもパソコンを使って楽に進められます。
リアルタイムな遠隔監視の実現
保管温度が決められた商品を取り扱うのであれば、庫内での逸脱は原則として発生してはなりません。「冷蔵庫のドアが締め切られていない」「トラックの荷室の扉が開いたままになっている」など、ちょっとしたトラブルが発生しただけでも、商品の品質劣化の原因になり得ます。しかし、温度計測の頻度が少ないとすき間が生まれてしまい、実態の把握ができなくなります。目視による監視は、リアルタイムとは言えません。
こうした問題は、自動温度記録・管理システムの導入で解決できるケースがほとんどです。前述のとおり、人力による監視は“点”にしかなり得ません。しかし、自動温度記録・管理による連続的な計測は、頻度を高くしても人的リソースに影響はなし。そのため、“点”ではなく“線”のデータを描けます。 また、長期間にわたる連蔵作動も可能ですから、まさに365日24時間のリアルタイムな温度管理体制が整います。
可視化と故障余地
現在の温度状況が“可視化”されることは故障予知にもつながり、リスク回避だけでなく、設備寿命の延長といったメリットももたらします。
たとえば、冷蔵庫側の表示温度と、庫内設置のセンサで測定した温度に乖離があった場合です。これは何かしらの問題が発生していると考えてよいでしょう。自動温度記録・管理がなければ、この状況すら察知出来ないかも知れません。
異常に気がついた後は、然るべき対応について考えられます。たとえば清掃やメンテナンスによって温度状況が改善するケースもあるでしょう。もしくは、業者へ連絡が必要になることもあります。
また、庫内温度に問題がある状態で冷蔵庫を利用している場合、正常時よりも多くの電気を使用している状況と考えられます。早めに問題を解決できれば、電気代の節約にもつながります。
トラブル時の原因究明
計測精度の高いデータは、トラブル発生時の原因究明でも役立ちます。いつどこで、どのような逸脱が発生していたのか等が分かれば、調査も行いやすいでしょう。また、このように遡って原因を探すというのは、HACCPにおける基本的な考えのひとつです。
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まとめ
HACCPの運用ではモニタリングが重要です。しかし、そのせいで業務負荷が大きくなるのは別の問題と言えるでしょう。自動化の第一歩を踏み出したいという方は、ぜひ当社のACALAをご検討ください。