2022.10.06.Thu

HACCP導入後の運用ポイントはPDCA

HACCPの導入が済んだら、次はいよいよ運用のフェーズです。重要となるのは、作成したプランをそのまま踏襲し続けることではありません。むしろ積極的にPDCAを回し、改善を続けることがHACCPでは大切であるとされています。そこで今回は、HACCP導入後の運用を、PDCAの順で解説していきます。

HACCPの運用とPDCA

まずはHACCPを運用するにあたり、PDCAがどこに該当するのかを簡単にまとめます。

  • PLAN:7原則12手順に従いHACCPプランを作成
  • DO:HACCPプランに沿った実行・記録
  • CHECK:HACCPシステム全体の定期的な検証
  • ACTION:更新および継続的な改善

ポイントになるのは、HACCPプランの作成は【PLAN】に当たるという点です。以下から具体的に解説していきます。

【PLAN】HACCP導入

大前提として、HACCPは「導入したから完成」というシステムではありません。食品安全に関する環境は常に変化します。また、商品内容に変化があれば、当然必要となる管理方法も変わります。そのため、HACCPプランには構築後、継続的な修正・改善が必要になるのです。

その前提を踏まえた上で、HACCPにおけるPDCAを考えてみましょう。HACCPの7原則12手順とは、あくまでも導入・構築のための道筋でしかありません。PDCA上で言えば【PLAN】に該当します。導入後は、実行(DO)・評価(CHECK)・改善(Action)を行い、またPLAN(計画)に戻りを繰り返すことで、HACCPプランを継続的に改修していきます。

なお、「(手順11)【原則6】検証方法の設定」などには検証など、運用に関する項目があります。これはまさに上記で解説したPDCAの仕組みづくりのことです。HACCPの改修に向け、どのようにPDCAを回すのかを取り決めます。つまり、“改善まで見越したシステム設計” を行うのがHACCPということです。

【DO】運用の肝は記録

【PLAN】に当たるHACCPプランの作成ができたら、いよいよ【DO】である実行です。

まず「できたばかりのHACCPプランは未完成である」という意識を持ちましょう。HACCPの7原則12手順は、順番に沿ってプランが完成できるように設計されています。各手順を適切に設定できれば、基本的には問題は起こらない作りと言えるでしょう。

一方、上流でのミスが下流に影響を与えるという傾向は知っておく必要があります。つまり、若い手順番号で間違いがあると、その後の手順でズレが発生し、HACCPプラン全体に狂いが起こってしまうのです。

また、プランにおける作業手順が現場に即したものではないケースも多々見受けられます。危害要因を取り除くために必要な作業が実際の現場で省かれていた、といったことがあれば、教育や指導が必要です。一方、HACCPプラン内での指示内容に不備があった可能性もないとは言い切れません。

このように、不完全になりやすい初期のHACCPプランに対しては、運用時における実態把握がもっとも重要になります。そのためには、適切なモニタリングが大切です。

モニタリングの記録は随時確認

運用の時点でもっとも緊張感を持たなくてはならないのが、CL(管理基準)の逸脱です。この値から逸脱をすることはイコール、食品事故などを引き起こす危害を含んでいるということ。そのまま商品として出荷したり提供したりすれば、大変な問題になる可能性を秘めています。

そのため、運用の段階においてのモニタリングは頻度を重視してください。抜けや漏れがないかを随時確認しながら、問題発生時に備えましょう。

なお、人が付きっきりでモニタリングを行うというのには多大な労力を要します。そのため、近年はIoTなどを活用したモニタリング機器も増えており、自動でCL逸脱の監視などが行えるようになってきました。データの信頼性も含め、監視体制のシステム化はHACCPにおいて非常におすすめです。

逸脱時の是正措置は確実に

万が一CLの逸脱が発生した場合は、「(手順10)【原則5】管理基準逸脱時の是正措置」で定めた是正措置を実行します。もしも是正措置が取れなかったり、手順通りに実施できなかったりすると、危害の除去が行われていない状態が続きます。危害がそのまま放置されないよう、確実な実行を徹底しましょう。

なお、是正措置を行った場合にも必ず記録を残します。原因究明などの意味合いもありますが、そもそも「この是正措置が正しく機能したのか」という評価もPDCAでは必要です。

【CHECK】評価で見える改善点

 

実行後は、HACCPプランが正しく運用されているかを評価するタームです。以下で、ポイントごとのポイントを見ていきましょう。

モニタリング結果の確認

まずはモニタリングの結果を確認し、分析を行います。この際、抜けや漏れがないかを再度確認しましょう。抜け漏れはその時点で、HACCPプランが正しく実行されていないことを表します。また、あまりにも逸脱が多い場合には、その原因についても徹底的に調べましょう。

製造工程一覧図との比較

(手順4)で作成した製造工程一覧図には、詳しい作業手順が示されています。しかし、この内容が必ずしも現場で受け入れられているとは限りません。その対策としては、HACCP構築時には(手順5)「製造工程一覧図の現場確認」において、作業手順で実際に現場が回っているのかの確認が実施されます。ただし、プラン構築時には見えなかった不満や不備が発見されるケースもあるでしょう。【CHECK】のタイミングで、現場からの声を吸い上げることが大切です。

是正措置の実施確認

CLからの逸脱といった万が一の事態が発生した場合には、是正措置が取られます。その実行と、是正措置による効果(危害が取り除かれたどうか)についても【CHECK】のタイミングでは確認し、評価を行いましょう。逸脱は本来起こってはならない事態です。だからこそ、サンプルが少ないものでもあります。発生時に正しい対応が取れているのか、措置によって効果があったのかを、良い機会と考え徹底的にチェックしてください。

【ACTION】7原則12手順を基に改善

【CHECK】のなかで改善すべき箇所が見つかった場合は、HACCPプランの更新を行います。この際の手順は、HACCPの構築時に用いた7原則12手順を踏襲しましょう。

たとえば、実際に運用をした結果、見逃していた作業などがあったといった場合を想定してみましょう。その欠落作業を製造工程一覧図に加えるのは、場当たりな対処でしかありません。結果、似たような抜け・漏れが発生する可能性があります。

ここでの改善のポイントは、上流の手順から見直すことです。たとえば手順1「HACCPのチーム編成」を再度行い、抜け・漏れがあった作業に詳しいメンバーをチームに参画させるのは良い案でしょう。このような形で、各手順を再度見直しながら改善を実施していきます。

なお、手順11「検証方法の設定」についても、改善ポイントのひとつです。今回のPDCAに何らかの問題があった場合や、より改善ができる部分があるのであれば、積極的に見直しを行うべきです。

温度のモニタリングにはACALA MESH

正確なデータは、PDCAのすべての行程において深く関わります。つまり、精度の高いモニタリングが行えなければ、いくらPDCAを実施しても確度が高まらない、ということです。

しかし、人力によるモニタリングには限界があります。ヒューマンエラーを低減するため、さらに労力をかけるといったケースも見られますが、それは労働負担の増加も生み出すため注意しなくてはなりません。

こうした際に役立つのがシステムです。当社がご提供する自動温度管理・記録システム「ACALA MESH」は、高精度かつ高信頼を強みとする温度管理ソリューションです。温度ロガーによる正確かつ連続性を持った計測に加え、クラウドサーバー×専用プラットフォームを利用した改ざんがしにくい仕組みなどが強みです。

冷蔵庫や室温などの自動温度管理・記録をご検討中の方は、ぜひ当社まで一度お気軽にご相談ください。

まとめ

HACCPの運用は、実行ではなく継続的な更新・改善がポイントです。PDCAは昔ながらのフレームワークではありますが、HACCPには最適です。今回ご紹介したポイントを踏まえて、運用に取り組んでください。