2020.07.29.Wed

HACCP制度化で温度管理はどう変わる?

HACCPの導入以前に、細菌の増殖防止と排除のためには温度管理が非常に大切です。そのため、温度計測の方法自体はHACCP導入の有無にかかわらず、適切な運用が求められます。一方、計測のタイミングと記録の重要性には違いがあります。以下で、HACCP制度化によって変わる温度管理についてお伝えします。

食品衛生における温度管理の重要性とは?

食品事業者にとっては常識ともいえる「食品衛生の3原則」――細菌を“持ち込まない、増やさない、排除する”の3つのうち、後半のふたつは温度管理が重要です。

細菌を“増やさない”ための温度管理

細菌を増やさないためには、食品を適切な温度に保つ必要があります。食材が入荷した際には早めに冷蔵・冷凍庫へ入れなくてはなりません。また、冷凍・冷蔵後に調理をする際には手早さが求められますし、早めに食べることが大切です。
このように、食品の温度管理には冷蔵・冷凍庫の管理が欠かせません。もちろん、正しく冷蔵・冷凍庫を使っていればとくに問題はないのですが、たとえば、冷蔵庫の扉が半開きの状態で放置されると、庫内の温度が上昇します。すると、食品が細菌の活発に動ける温度帯になってしまいます。このように、ちょっとしたミスひとつで、細菌は一気に増殖してしまうのです。

細菌を“排除する”ための加熱調理

細菌を排除する――もっと簡単に言うのなら「やっつける」ためには、加熱調理がひとつの有効な方法です。加熱は食品をおいしくするだけでなく、加熱殺菌という意味合いもあります。
ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。具体的に、たとえば肉料理だと中心部を75℃で1分以上加熱するのが目安です。ただし、中心温度が何度になっているかは、目で見るだけではわかりません。そのため、専用の機器を使って正しく測定する必要があります。

HACCP導入による温度管理への影響は?

HACCPは、温度計測法について定めたシステムではありません。計測自体は今までと同じ方法で問題なしです。一方、計測のタイミングには変更が必要なことも。とくにこれまで抜き取り検査をしていなかった、といった場合には、大きな変更が伴います。以下から、HACCP導入によって必要になる温度管理のポイントを工程ごとにご紹介します。

材料受入検査

まずは食材が運ばれてきた際の受け入れ検査です。ここでは、適正温度以下で輸送されていたかを確認します。方法は輸送されてきた状態にもよりますが、基本は品温測定です。一般的には、冷凍品は-18℃以下、冷蔵品は10℃以下です。そのほか、肉や魚介類は4℃以下を基準にしているケースも多いようです。

保管

受入検査が済んだら次は保管時の温度です。一般的に、微生物は10~60℃で増殖します。なお、30~40℃がもっとも微生物が急速に増殖しやすい温度帯と言われています。微生物の増殖を抑えるのであれば、常に10℃以下の状態をキープしなくてはなりません。そのため、冷蔵・冷凍庫での保管時の温度が適切かどうかは非常に重要です。

加熱調理

ほぼすべての微生物は75℃の状態が1分間続くと死滅します。ただし、ボツリヌス菌やセレウス菌、ウエルシュ菌といった芽胞菌は熱に強く、なかには100℃以上でも死滅しないものもあります。事前に加熱殺菌の条件をどうするかは、慎重に考えなくてはなりません。また、加熱工程時には、中心温度の計測方法等について、使用用途に合った温度計を用いるなども必要です。

冷却・冷凍

風を当てたり冷水につけたり、冷却の方法はさまざまです。また、食品によっては冷凍が必要になることも。いずれの場合も、衛生面の観点より十分な冷却がなされているかを確認しなくてはなりません。

HACCPにおける温度管理は記録が肝心

食品の製造・加工の全工程・段階で発生する可能性がある微生物汚染の危害を分析し、その結果を基に対策を講じるのがHACCPの基本です。加えて、すべての工程で危害要因の予測分析を行い、事前に決めた基準で管理を行う必要があります。
その過程で、温度記録は非常に需要です。もしも食品の製造・加工工程のなかで何らかのトラブルが起こった場合は、その原因究明に温度記録データが役立つからです。

手作業による温度管理の問題点とは?

HACCP導入で重要性が高まる温度管理。しかし、温度計を目で見て、紙に手書きで記録をつけていく従来の方法には、連続性と正確性の面で不安が残ります。
たとえば2時間ごとに温度記録を行っていた場合、13時と14時それぞれの時点での温度は把握できますが、13時30分の状態は確認できません。加えて、13時から14時にかけてどのような温度変化が起こったのかも把握できないのです。
また、手作業にはミスがつきもの。繁忙による測定漏れや、温度計の見間違い・記載時の誤記なども十分に考えられます。

『ACALA』でHACCPの温度管理を簡単・確実に!

HACCPを導入するのであれば、早めに手作業による温度管理の問題を解決しておくべきでしょう。そこでおすすめなのが、当社がご提供するクラウド型統合監視記録ソリューション「ACALA」です。
ACALAは自動温度管理・記録システムとしての機能を搭載。無線センサを設置するだけで温度管理に関する作業を自動化できます。測定間隔は1分なので連続性も十分。もちろん、漏れやミスもありません。なお、初期費用0円、専門知識不要で運用できます。

まとめ

HACCP導入によって温度管理の重要性は大きく高まります。これまでと同様に適切な計測を行いつつ、記録の徹底が必要です。当社のACALAであれば、冷蔵・冷凍庫の温度管理・記録を簡単かつ確実に行えます。これからHACCPの導入をご検討される方は、ぜひ当社までご相談ください。