2024.10.23.Wed

飲食店の室温は何度が適切?考えたい温度管理

飲食店の顧客満足度やリピート率を高めるには、店内の「居心地」が重要です。店内が極端に暑かったり、逆に寒かったりすると、お客様の滞在時間は短くなる傾向があります。 これは、現場で働く従業員も例外ではありません。不適切な温度管理は、従業員のパフォーマンス低下や体調不良を招く恐れがあるでしょう。 そこで今回は、飲食店における温度管理の基本やポイントをご紹介します。

飲食店における温度管理の重要性

室温は、お客様の滞在時間やリピート率に大きく影響します。ポイントは「居心地のよさ」です。通常、飲食店では季節や天候、店舗の業態を考慮した室温に設定します。たとえば、夏場の暑い日には、冷房の効いた空間を用意することで、お客様の満足度を高められるでしょう。

一方、冬場は暖房を適切に調整し、温かくて落ち着いた空間作りを意識します。お客様にとっての「居心地のいい空間」を演出することで、一人ひとりの滞在時間が長くなり、顧客満足度やリピート率向上に繋がります。

また、飲食店の室温管理は、従業員の作業効率や健康管理に影響を及ぼします。特に厨房では火を使った調理が行われるため、高温多湿になりがちです。このような状況下で働くと、熱中症などの健康被害を引き起こす可能性があります。適切な室温管理と休憩時間の確保により、授業員が快適に働ける環境を整えましょう。

適切な室温の基準

ここでは、環境省や「世界保健機関(WHO)」が公表するガイドラインを参考に、飲食店に適した室内温度について考えます。

環境省や健康機関のガイドラインでは何度が適切?

環境省は、夏季における推奨室温を28℃程度としています。これは、クールビズの一環で提唱されたもので、オフィスや一般家庭、そして飲食店などの商業施設にも該当します。あくまでも冷房の設定温度ではなく、実際の室温であることに注意が必要です。

冬季の室温については、「世界保健機関(WHO)」が18℃以上を推奨しています。これは、冬期の高齢者における血圧上昇に対する影響を考慮したものです。夏期と同じく、飲食店の室温の目安にするといいでしょう。

いずれもガイドライン上の推奨値であり、実際にその室温が快適かどうかは別問題です。1年を通してお客様に快適な空間を提供するには、季節ごとに適切な温度管理を行わなければなりません。

暑さの評価指標「WBGT」とは?

「WBGT(湿球黒球温度)」は、人体の熱収支に影響を与える「気温」「湿度」「輻射熱(放射熱)」の要素を取り入れた指標です。1954年にアメリカで提案され、現在では国際的に広く活用されている暑さの評価指標となっています。なお、WBGTの単位は℃ですが、気温とは異なります。

環境省や日本スポーツ協会などが発表したWBGTの分類では、28℃以上で「厳重警戒」、31℃以上は「運動は原則中止」としています。「厳重警戒」の時点で熱中症患者が著しく増加するとしているため、飲食店においても、WBGTが28℃を超えないように管理をしなければなりません。

そんなWBGTの算出・表示には、当社の「ACALA」をはじめとする自動温度管理システムが役立ちます。「ACALA」には、室温度センサの計測数値からWBGTを算出する機能があり、店内の暑さを「見える化」します。以下のページより資料をご請求いただき、システム詳細や導入事例などをご確認ください。

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季節別の温度管理

 

ここでは、季節別の温度管理のポイントを夏期と冬期にわけてご紹介します。

夏の温度設定

夏季の温度設定は、25~28℃を目安にします。これは環境庁の推奨値に合わせたもので、外気温・湿度・建物の状況などを考慮しつつ調整してください。なお、湿度も室内の快適性を決める要素の一つです。

湿度が高すぎる場合、お客様が不快感を覚えたり、食材が傷みやすくなったりします。逆に湿度が低すぎると、のどが乾きやすく、静電気も発生しやすくなるでしょう。一般的に適切な湿度は40~70%とされており、温度と合わせて管理することが大切です。

冬の温度設定

冬場の温度設定は18~22℃が推奨されます。これは暖房による過加熱を避けつつ、適度に暖かい室内環境を維持できる温度の目安です。夏の温度設定同様、冬場もさまざまな要因を考慮し、適切に温度管理を行いましょう。

業態別の温度管理

業態別ごとに適切な温度管理の方法は異なります。ここでは、飲食店における3つの業態について、それぞれの特性に応じた管理方法をご紹介します。

カフェや喫茶店

カフェや喫茶店は、お客様がゆったりと時間を過ごす場所です。夏期で25~28℃、冬期は18~22℃の範囲で設定し、居心地のいい空間を目指しましょう。なお、これらの温度帯は、人体の体温調節機能に負担をかけず、快適に過ごせる温度とされます。

また、これらの飲食店では、コーヒーや紅茶などの温かい飲み物を提供することが多いです。室温が低すぎると飲み物の温度が急速に下がるでしょう。適切な室温を保つことで、飲み物や食事の美味しさを長く楽しめるよう意識します。

中華料理店や鉄板焼屋

中華料理店や鉄板焼屋では、調理場で発生する蒸気と熱気が室温に大きく影響します。そのため、通常の飲食店に比べて冷房の設定温度を低めにするといいでしょう。ただし、極端に寒くならないよう、適切なバランスを取ることが大切です。夏場は22~25℃程度、冬場は18~20℃程度を目安に、店内の状況に応じて調整しましょう。

なお、調理場と店内(客席)の間に仕切りを設けることで、熱の移動を最小限に抑えることができます。さらに温度管理システムなどを導入し、熱の影響を受けやすい場所を重点的に冷却することが大切です。

居酒屋

居酒屋の場合、夏期は26~28℃程度、冬期は20~22℃程度を目安に、店内の雰囲気やお客様の反応を見ながら調整します。急激な温度変化は体調不良の原因となるため、外気温との差を極端につけないことが重要です。

また、居酒屋では個室を設けていることが多いです。部屋ごとに温度調節ができるシステムを導入すると、きめ細かな対応が可能となります。

室温がもたらす影響

飲食店などの商業空間では、室温がお客様と従業員の双方にさまざまな影響を及ぼします。具体的なポイントは、以下の通りです。

顧客の快適性と滞在時間

適切な室温はお客様の快適性を高め、その店舗における滞在時間を延ばす効果があります。これは飲食店をはじめとするサービス業において、とても重要な要素です。たとえば、レストランの場合、適切な室温管理によりお客様の滞在時間が延び、追加の飲食オーダーに繋がる可能性があります。

従業員の作業効率と健康

室内温度は、従業員のパフォーマンスにも影響します。通常、飲食店の厨房などに最適な室温は20〜26℃程度とされます。この範囲内に室温を保つことで、従業員は働きやすくなり、作業効率が向上するでしょう。また、極端な暑さ・寒さは、体調不良やストレスの原因です。適切に温度管理を行うことで、従業員の健康維持に繋がります。

食品の品質保持

食品ごとに適切な保存温度は異なりますが、一般的に低温保存が品質劣化を防ぐ上で有効です。特に調理後の食品は、速やかに65℃以上の高温で保管するか、10℃以下に冷却して保存することが推奨されています。

なお、調理作業を行う厨房の温度・湿度は、厚生労働省の「大量調理施設衛生マニュアル」で25℃以下、80%以下にする決まりがあります。これは食品の安全性を確保し、調理従事者の健康を守るために設定されたものです。

効果的な温度管理の方法

ここから、飲食店における効果的な温度管理の方法をご紹介します。以下のポイントを把握し、適切な温度管理で顧客満足度と経営効率の両方を向上させましょう。

エアコンの適切な使用方法

エアコンの設定温度は、季節や時間帯に応じて調整します。目安として、夏場は28℃程度、冬場は20℃程度を目安に設定し、外気温との差が大きくなりすぎないようにしてください。

また、汚れたフィルターは冷暖房効率を低下させるだけでなく、電気代の増加にも繋がります。月に1回はフィルターを清掃し、エアコンの性能を引き出すことが大切です。

店内環境の工夫

店内のテーブルや椅子の配置を工夫することで、温度分布を最適化できます。たとえば、エアコンの吹き出し口付近には席を設けず、冷気・暖気が均等に行き渡るようにします。また、壁際の席は外気の影響を受けやすいため、断熱性の高いパーティションを設置するなどの対策が効果的です。

また、温度管理のためにカーテンやブラインドも活用しましょう。夏場は日差しを遮ることで室温の上昇を抑え、冬場は日光を取り入れて暖房効率を高められます。遮熱効果の高いカーテンやブラインドを選び、時間帯・天候に応じて開閉することが大切です。

省エネとコスト管理

効果的な温度管理を実現するため、エネルギー効率の高い設備・機器を導入しましょう。たとえば、省エネ性能の高いエアコンや換気設備を導入することで、電気代の中長期的なコストダウンが期待できます。特にインバーター式エアコンは電力消費が少なく、電気代の大幅な削減に繋がります。

具体的な節電方法も把握しておきましょう。たとえば、エアコンの設定温度を1℃調整するだけで、消費電力を約10%抑えられるといいます。さらに不要な照明を消したり、人感センサ付きの照明を導入したりすることで、コンスタントに節電できます。これらの小さな工夫の積み重ねが、大きなコスト削減に繋がるのです。

温度管理システムの導入

温度管理システムとは、室内の温度・湿度、CO2濃度などを常時モニタリングし、快適な空間を維持するためのソリューションです。システムごとに異なるものの、多くは冷暖房の出力を細かく制御し、人が過ごしやすい湿温度を保つ機能を備えます。店内の温度管理を自動化することで、従業員が調理や接客に専念できるようになるでしょう。

まとめ

飲食店の温度管理を自動化するなら、クラウドベースの温度管理システムである「ACALA」の導入をご検討ください。

本システムは室温度センサ・計測データ・クラウドアプリケーションを連携させたソリューションであり、初期費用や配線工事不要で設置できます。

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