食品製造業で役立つ資格10選
食品製造業と一口に言っても業務範囲は非常に広く、衛生管理を行う人からフォークリフトを運転する人まで、さまざまなスタッフが活躍しています。そこで今回は、食品製造業の現場で役立つとされる資格を10個ピックアップしました。
衛生管理者
衛生管理者は、労働安全衛生法に基づく国家資格です。50人以上の労働者を雇用する事業所においては、有資格者の在籍が求められます。事業所側には、労働者数に応じて、必要な数の衛生管理者を選任する義務があります。
労働者の健康と安全を守る専門家として、労働災害の予防、健康管理、衛生教育の実施、衛生委員会の運営などを担います。なお、第一種衛生管理者は有害業務を含むすべての業種での業務が可能であり、第二種はそれ以外の業務を担当します。
資格取得には、安全衛生技術センターでの試験に合格する必要です。試験資格の一例としては、大学卒業後1年以上の実務経験、高校卒業後3年以上の実務経験、または10年以上の実務経験などがあります。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は食品衛生法に基づく国家資格であり、食品製造や販売を行う施設では必ず1人以上を配置する必要があります。主な役割は、食品の安全な提供を確保するための衛生管理の実施と改善です。そのために、設備の清潔保持、従業員の健康管理、衛生管理表の作成と維持などを行います。不適切な衛生管理は食中毒や法的な問題を引き起こすリスクがあるため、非常に重要な仕事と言えるでしょう。
食品衛生責任者の資格は1日の養成講習とテストによって取得可能です。また、特定の資格を持つ者は講習を免除されます。なお、食品衛生に関する知識は継続的な更新が必要であり、HACCPの導入など最新の食品衛生基準に適応できるようにする必要があります。
食品衛生管理者
衛生管理者と食品衛生管理者は、それぞれ異なる役割と資格要件を有する国家資格です。常時50人以上の労働者を雇用する事業所で必要とされ、安全衛生業務に関わる技術的な事項を管理します。一定の教育水準と実務経験(大学卒業後1年以上、高校卒業後3年以上、または10年以上の実務経験)を有し、安全衛生技術センターの試験に合格することで取得できます。
食品衛生責任者とは異なり、食品衛生管理者は特に衛生的な配慮が必要な食品の製造や加工に関わる業務を担います。資格取得の難易度も高く、より高いレベルの専門性が求められる点も大きな特徴です。
製菓衛生師
製菓衛生師は、菓子製造業に従事する者の資質を向上させ、公衆衛生の向上及び増進を目的とする国家資格です。パティシエ、和菓子職人、パン職人などが対象であり、衛生管理、公衆衛生、材料学、お菓子作りの理論などを学びます。製菓の技術を磨くだけでなく、衛生的な取り扱いを確保し、安全な製品を消費者に提供するために不可欠な内容です。
資格取得には安心安全な食品作りに寄与し、営業面で顧客の信頼を得るメリットがあります。また、資格に期限は設けられていないため、生涯にわたり有効です。
菓子製造技能士
菓子製造技能士は、パティシエとしての技術や知識を証明する国家資格で、洋菓子と和菓子の製造技術に関する区分があります。資格は1級と2級に分かれており、それぞれに必要な実務経験があります。1級は7年以上の実務経験が必要で、2級は2年以上の経験が求められます。試験は学科と実技の両方から成り、専門性と技術力を評価します。
製菓衛生師とは異なり、菓子製造技能士は製菓技術の具体的な操作能力を証明する資格です。製菓衛生師は衛生管理や公衆衛生に関する知識を問われる学科試験のみであり、実技試験は行われません。そのため、製菓衛生師は比較的取得しやすく、全ての菓子製造業に関連する一方で、菓子製造技能士はより専門的な技術と知識を証明する資格と言えます。
パン製造技能士
パン製造技能士は、パン製造に関する唯一の国家資格です。パン作りの実務経験者に対し、製パン工程における技術を認定します。等級が分かれており、特級は管理・監督レベルの技能、1級は上級技能者、2級は中級技能者の技能の証明となります。
パン製造技能士の名称は名称独占資格であり、該当の資格がなければこの称号を使うことは法律で禁じられています。権威性のある資格とも言えるため、有資格者がいることは製造業者にとって大きなメリットになるでしょう。
調理師
調理師免許は調理技術、栄養、衛生など食に関する専門知識を持つことを証明する名称独占資格です。調理師はレストランなどで専門家として料理を作り、職務は食材の調理から食材調達、新メニュー開発、衛生管理まで多岐にわたります。
取得方法には2つあります。一つは、飲食店等で2年以上実務経験を積んだ後に都道府県で実施される試験に合格すること、もう一つは調理師専門学校や調理科を有する高校、大学などの養成施設を卒業することです。有資格者の在籍は顧客への信頼性を示す要素となるため、食品製造業においても重要と言えるでしょう。
栄養士
栄養士は、栄養士法に基づく国家資格です。主に健康な人を対象に栄養指導や給食の運営を担当しています。食品工場が給食に関わっていたり、健康食品等を製造していたりする場合には、有資格者の知識が多いに役立つでしょう。
フォークリフト運転技能者
フォークリフト運転技能者の資格は、工場や倉庫内でフォークリフトを操作して荷物を運搬またはトラックへの積み込みを行う能力を認定するものです。食品工場等の現場でも必要とされる場面は多く、安全かつ効率的な荷物の運搬をするのに不可欠です。資格取得のためには、教習所などで提供される講習を受けて修了試験に合格する必要があります。試験の受験資格は18歳以上です。
ボイラー技士
ボイラー技士は、ボイラーの運用、管理、保守点検を行うための国家資格です。特に、一定規模以上のボイラーを設置している事業所では、二級以上のボイラー技士の選任が義務付けられています。給湯や加湿、調理や殺菌にボイラーを活用するような食品工場であれば、有資格者の在籍が必要になるでしょう。取得方法は、各都道府県で行われる試験に合格後、所定の実務経験を積むか講習を受けることで、免許が交付されます。
まとめ
規模や製品によって異なるものの、食品製造業に関連する資格は上記のとおりさまざまです。必要に応じて、有資格者の採用やスタッフの受験などを検討してみましょう。
なお、衛生管理者や食品衛生管理者、食品衛生責任者といった資格の取得に向けて勉強をする際には、温度管理の重要性についてもしっかりと頭に入れる必要があります。テキスト等で示された管理基準を遵守するためには、徹底したマネジメントが求められます。この際におすすめなのが、弊社提供の自動温度管理・記録システム「ACALA」です。有資格者から温度管理についての申し出があった際には、ぜひ一度、自動管理システムの導入も検討してください。