2024.06.25.Tue

食品製造に求められる信頼性

食品製造業において、消費者からの信頼を獲得することは極めて重要な事項です。信頼は、食品の安全性と品質を確保することで構築されます。安全で高品質な製品を提供することで、消費者はそのブランドを信頼し、繰り返し購入する傾向があります。また、透明性の高い製造プロセスと厳格な品質管理は、消費者の信頼をさらに深め、ブランドの評判を高めることにつながります。そこで今回は、食品製造に関わる事業者様に向け、信頼性を高めるためのポイントを解説します。

農林水産省による食品業界の信頼性向上に向けた指針

食品業界は、平成19年(2007年)以降、食品の偽装表示などの不祥事が相次ぎ、消費者の信頼が大きく揺らいでいます。このような背景の中で、食品業界の信頼性を回復し、さらに向上させるための取り組みが重要とされてきました。

まず、各食品事業者は法令の順守を徹底し、消費者の信頼を確保する必要があります。食品業界の大多数を占める中小企業にとって、ノウハウや人材の不足は大きな課題です。これらの企業が実効性のある対応を行うためには、明確な方向性と実用的なガイドラインが必要です。

この課題に対処するため、農林水産省は平成20年(2008年)3月に「食品業界の信頼性向上自主行動計画」策定の手引きを公表しました。この手引きは「5つの基本原則」を核としており、業界全体での積極的な取り組みを促しています。これらの原則は、食品事業者が自らの行動を見直し、改善するための指針となります。

基本原則1: 消費者基点の明確化

消費者を中心に置くことを強調した原則です。食品業界は、安全で信頼される食品を提供することを最優先課題とし、消費者の健康と安全を常に考慮する必要があります。これは、食品選択の透明性を高め、消費者に質の高い情報の提供を含みます。

基本原則2: コンプライアンス意識の確立

法令や社会規範の遵守は、企業活動の基本です。それを踏まえ、この原則では社会環境の変化に適応しつつ、法的および倫理的責任を全うすることの重要性を強調しています。企業には社会的責任を果たし、信頼される企業活動を行うことが求められます。

基本原則3: 適切な衛生管理・品質管理の基本

食品の安全性と品質は、消費者信頼の土台です。食品業界が衛生管理と品質管理の基準を設定し、それらを厳格に守ることがこの原則では求められています。なお、範囲は製造から流通、販売に至るまでの全過程での管理が含まれます。

基本原則4: 適切な衛生管理・品質管理のための体制整備

信頼性向上は単に基準を設けるだけでは不十分であり、その基準を維持し、継続的に改善するための体制の構築が必要です。この原則は、業界が衛生・品質管理のための体制を整え、それを形式的なものではなく、実効性のあるものとすることを要求します。

基本原則5: 情報の収集・伝達・開示等の取組

透明性と双方向のコミュニケーションは、信頼構築に不可欠です。消費者や他のステークホルダーとの誠実で開かれたコミュニケーションの重要性を強調し、情報の収集、伝達、開示を促進する原則です。

適切な衛生管理・品質管理の基本

 

前項の中から、「適切な衛生管理・品質管理の基本」についてピックアップします。

食品製造業における適切な衛生管理・品質管理の基本原則には、以下の要素が含まれます。

 

  • 作業場の清潔保持
  • 機材の整理・整頓
  • 商品開発時の法令遵守と消費者の安全確保
  • 安全な原材料の使用
  • 衛生的な取り扱い
  • 食中毒や異物混入防止
  • 消費者信頼の維持と社会的責任
  • 科学的な取り組みの推進
  • 国内外での製造における安全性確保
  • HACCP等の衛生管理システムの実施
  • 原材料受入時の安全性チェック
  • 製造工程での衛生・品質基準の設定と管理
  • 食品防御への対策 など

 

これらの実践は、食品業界における信頼性と安全性を高めるために不可欠です。

衛生・品質における温度管理の重要性

食品製造業における温度管理と記録は、衛生・品質管理の核心的な要素です。製造過程において、設備の運転状況(特に冷蔵庫など)を確認し、温度管理を徹底する必要があります。これには、設備が適切に稼動しているかを確認するための記録の取得も含まれます。

適切な温度管理は、食品の安全性を保ち、微生物の増殖や品質の低下を防ぐために重要です。また、情報の記録と追跡は、万一の問題発生時に対応策を迅速に講じる意味でも不可欠です。

信頼性を高めるための自動温度管理システム

前述のとおり、食品事業者が消費者からの信頼を得るためには、農林水産省が提示する原則に従うと共に、自主的に安全性を高めるための施策を講じる必要があります。温度管理はそのうちのひとつであり、とくに意識すべきポイントのひとつです。

しかし、温度記録・管理業務を人力で行うことはスタッフの労務負荷増加に加え、人為的ミスを招く可能性も持っています。そこでおすすめなのが、当社がご提供するクラウド型の温度管理システム「ACALA」です。

このシステムは食品等事業者向けに設計され、HACCPに準拠した衛生管理をサポートします。工場、倉庫、厨房、店舗、物流、農業などさまざまな分野での温度管理を自動化し、食品の安全性と品質を保つための環境づくりに寄与します。

温度センサーがリアルタイムでデータを収集し、異常があれば即座にアラートを発信します。また、記録されたデータはクラウドで管理され、過去の温度変動を簡単に追跡できます。これにより、食品関連事業者はHACCPや他の衛生管理基準への準拠を容易に示すことができ、最終的に消費者の信頼を獲得することにつながります。

まとめ

食品事業者にとって、消費者からの信頼性を獲得することは将来的な事業の発展に不可欠です。食品事故を防ぐことはもちろん、どのような取り組み・対策を行っているかを明確にし、安心の製品づくりを維持しましょう。

当社の「ACALA」は、温度管理・記録の分野で食品事業者様をサポートします。冷蔵・冷凍庫などの機器をはじめ、室温などの幅広い管理が実現可能です。温度管理・記録の自動化は、ぜひ「ACALA」にお任せください。