温度管理システムの選び方【食品事業者編】
食品事業者が温度管理システムを導入する際には、選定のためのいくつかのポイントがあります。今回は、そのポイントを10個に絞りまとめました。
ポイント1.温度の計測範囲・精度が適合するか?
温度管理システムを選ぶ際にもっとも重要な点は、システムが自社の温度基準を満たせるかどうかです。一口に温度計といっても種類はさまざま。自社のニーズに適合する温度計をベンダーが提供しているか、事前に確認しましょう。
また、精度についても重要です。食品業界では品質管理が厳格であり、わずかな温度の変化が品質に影響を与える恐れがあります。温度管理システムの精度は、そのまま安全性に直結すると考えましょう。
そのほか、食品事業者によっては、冷凍品や生鮮品など、異なる温度帯での管理が求められるケースは少なくありません。そのため、システムは計測範囲が広く、さまざまな温度帯をカバーできるシステムが望ましいでしょう。
ポイント2.リアルタイム監視ができるか?
システム選びの際には、自社の要件に合ったリアルタイム監視機能を備えたものを選ぶことが重要です。
HACCPの義務化により、温度をリアルタイム監視できるシステムは食品事業者にとって重要度を増しました。義務化がなかったとしても、リアルタイム監視が可能なシステムがあれば、温度変化にすぐに対応し、品質管理や安全対策を行えます。
リアルタイム監視ができるシステムは、連続性の高いデータを提供し、温度変化を迅速に把握することが可能です。このようなシステムを選ぶ際には、データの更新頻度や通信方式、アラート機能の設定などを確認しましょう。
インターネット環境があればいつでもどこからでもデータにアクセスできるクラウド型のシステムが、現場のスタッフや遠隔地にいる管理者にとって便利です。品質や安全性の向上につながるだけでなく、効率的な運用が可能になります。
ポイント3.運用面での懸念がないか?
温度管理システムの導入時は、運用面での懸念を解消することが重要です。システムの安定稼働が大前提であり、堅牢性や温度ロガーなどの末端装置の安定性も考慮すべきポイントです。
まず、システムの堅牢性については、故障や障害が発生した際に迅速に対応できるサポート体制が整っているか確認しましょう。また、定期的なシステムのアップデートやセキュリティ対策も重要です。
次に、温度ロガーなどの末端装置については、無線通信の混信が起こらないような安定した通信環境が確保されているかチェックが必要です。加えて、電池寿命や耐久性も考慮し、定期的なメンテナンスや交換が容易に行える製品を選ぶことが望ましいです。
さらに、システムの使い勝手や操作性も運用面での懸念を軽減する要素です。直感的に操作できるインターフェースや、必要な機能へ簡単アクセスできることが重要です。
ポイント4.温度ロガーのメンテナンスが行えるか?
温度ロガーのメンテナンス性は非常に重要なポイントです。食品工場など、厳しい環境に適応できるメンテナンス性が求められます。
まず、温度ロガーは清掃が必要であるため、防水仕様であり、簡単に回収が可能な製品を選ぶことが望ましいです。加えて、定期的なケアや、異常が発生した際の早急な修理・交換対応ができるサポート体制も重要です。
また、温度ロガーは一定間隔で校正が必要です。定期的に校正を行い、測定精度を維持することが求められます。ただし、校正には少なくない費用がかかるため、レンタル方式で定期的な交換を行ってくれるサービスを選ぶのもおすすめです。
ポイント5.導入ハードルが高すぎないか?
温度管理システムの導入にあたって、ハードルが高すぎるものは避けることが重要です。導入の障壁が高いシステムは、運用や保守にもコストや手間がかかることが多いため、自社に適したシステムを選ぶことが大切です。
まず、高額な初期費用がかかるシステムは、導入に躊躇する要因となります。必要な機能は満たしつつも低い初期費用で導入できるシステムや、月額料金のみで利用できるサービスを検討してみましょう。
さらに、運用・保守面においても、専門的なスキルが必要でないシステムや、サポートが充実しているベンダーを選ぶことが望ましいです。これにより、トラブルが発生した際や定期的なメンテナンスが必要な際にも安心して運用が続けられます。
ポイント6.無線か有線か?
温度ロガーが無線か有線かは、温度管理システム導入時の大きな検討事項です。無線と有線のシステムはそれぞれ異なる特徴があり、自社のニーズに応じて適切な選択を行う必要があります。
無線温度ロガーは、配線工事が不要で設置が容易であるため、導入コストや手間を抑えられます。また、場所を選ばず設置が可能であるため、工場や倉庫内での移動やレイアウト変更にも柔軟に対応できます。ただし、無線通信は電波状況や障害物の影響を受けやすいため、混信等が起こる可能性があります。そのため、通信状況を確認し、適切な通信品質が確保できるシステムを選ぶことが重要です。
一方、有線温度ロガーは、通信が安定しており、混信や混線の心配が少ないという利点があります。また、電源供給も安定しているため、電池交換の手間がありません。ただし、配線工事が必要であるため、設置費用や手間がかかることがデメリットとなります。また、設置場所やレイアウト変更に対する柔軟性が低い点も考慮する必要があります。
ポイント7.オンプレミスかクラウドのどちらを選ぶか?
温度管理システムには、オンプレミス型とクラウド型があります。
オンプレミス型は、自社内にシステムのサーバーを設置し、運用・管理を行う方式です。メリットは、自社でシステムを管理するため、カスタマイズや運用の柔軟性が高い点です。ただし、導入費用や運用・保守費用が高くなることが多く、自社でシステムの管理や運用に関する知識が必要となります。
一方、クラウド型は、インターネット経由でサービスを提供する方式で、サーバーは外部のデータセンターに設置されます。メリットは、導入費用や運用費用が抑えられることと、システムのアップデートやバックアップなどが自動的に行われるため、管理や運用の手間が少ないことです。また、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、リモートワークや複数拠点間の連携が容易です。
ポイント8.事業に合った導入実績があるか?
ベンダーが食品業界への導入実績を持っているかを確認しましょう。業界に特化したシステムやサービスを提供しているベンダーは、食品業界のニーズに合わせたサービスを展開してくれている可能性が高くなります。
また、具体的な導入事例を参考にすることで、システムの実用性や効果を評価しやすくなります。類似業界での成功事例があることは、導入後のサポートやカスタマイズにおいても、信頼性や安心感が得られるでしょう。
ポイント9.必要な設備・機能があるか?
温度管理システムを選ぶ際には、自社のニーズに合った設備や機能が提供されているかを確認することが重要です。必要な機能が揃っているシステムを選ぶことで、効率的な温度管理が実現できます。
まず、温度ロガーやネットワーク機器の種類や性能に注意して選びましょう。これらの機器は温度管理システムの基本的な要素であり、適切な性能を持つものを選ぶことが効果的な温度管理の前提となります。
次に、レポート出力機能やアラート機能があるかどうかも重要です。レポート出力機能は、温度データを容易に分析・報告できるようにするもので、効率的な温度管理に役立ちます。アラート機能は、温度が基準値を逸脱した際にすぐに通知を受け取れるようにするもので、迅速な対応が可能になります。
その他、必要となる設備をパッケージで提供してくれるようなベンダーであれば、機器同士の互換性なども確立されているためトラブルも少なく、何よりも手間なしで導入が進められます。
ポイント10.現在の課題を解決できるか?
最後のポイントは、システムが現在の課題を解決できるかの確認です。どれだけ充実しているパッケージでも、課題解決ができないのであれば導入の意味はありません。
たとえば、労働負荷の低減が課題である場合、自動化された温度管理や記録が行えるシステムを選ぶことが適切です。手作業での温度記録や管理から解放されることで、スタッフの時間を効率的に活用できるようになります。
また、現在の温度管理が不十分である場合、高い精度とリアルタイム監視が可能なシステムを選ぶことで、品質管理や安全性の向上が期待できます。
その他、導入コストや運用費用が懸念される場合、低コストで効果的な温度管理が実現できるシステムを選ぶことが重要です。無線通信やクラウド型のシステムは、導入や運用コストを抑えることができるため、このような課題に対応できるでしょう。
まとめ
温度管理システムを選ぶ際には、ぜひ今回ご紹介したポイントをご確認ください。なお、当社がご提供するACALAはクラウド型の自動温度管理・記録システムです。無線ロガーや多機能な専用プラットフォームなど、充実の内容でワンストップのサービスをご提供。温度管理システムをお探しの方は、ぜひご検討ください。