2025.04.29.Tue

業務用冷蔵庫の適切な容量とは?

業務用冷蔵庫を購入するときに気になるのが、適切な容量です。冷蔵庫が小さすぎると食材が入り切らずに困ってしまいますが、大きな冷蔵庫は厨房のスペースを圧迫し、価格も高くなります。そこで本記事では、業務用冷蔵庫の適切な容量について解説します。

業務用冷蔵庫の容量が適切でないとどうなる?

新規店舗に業務用冷蔵庫を導入する際、サイズが厨房に収まるかどうかだけで冷蔵庫を選んでいませんか?業務用冷蔵庫の容量が適切でない場合、次のようなトラブルが起こる可能性があります。

 

  • 食材を詰め込みすぎて冷えない
  • スペースを圧迫する
  • コストがかかる

 

それぞれのケースについて、詳しく解説します。

食材を詰め込みすぎて冷えない

冷蔵庫の容量が小さいと食材の詰め込みすぎにより、庫内が冷えにくくなることがあります。温度が十分に下がらなければ、食材が傷みやすくなってしまいます。

冷蔵庫に入れた食材が冷えるのは、吹き出し口から出る冷気が庫内を循環するためです。しかし、庫内に食品を詰め込むと冷気の循環が滞り、食品が十分に冷えず、冷蔵庫本来の役割を果たせなくなってしまうでしょう。

また、冷蔵庫いっぱいに食材を入れると、食材の出し入れに時間がかかります。ドアが開いている時間が長くなると庫内温度が上がり、冷却効率がさらに低下します。食材の詰め込みすぎにより冷蔵庫の扉がきちんと閉まらなくなり、扉が開いたままの状態になることもあるため注意しましょう。

冷蔵庫の吹き出し口に霜が付くのも、食材の詰め込みすぎが原因です。食材を庫内いっぱいに詰めると冷気だけでなく湿気も滞留し、吹き出し口に湿気が付着して霜が発生しやすくなります。霜が付着すると庫内が一層冷えにくくなるうえに、水漏れなどのトラブルを引き起こすおそれもあります。

スペースを圧迫する

業務用冷蔵庫のサイズが大きすぎると、厨房の限られたスペースを無駄遣いすることになります。業務用冷蔵庫により通路が狭くなる、扉を開けると動線が妨げられる、といったケースも考えられます。ゆとりをもって食材を保管できることは大切ですが、必要以上に大きな冷蔵庫を選ぶことのないように注意しましょう

また、サイズが大きすぎると業務用冷蔵庫を厨房まで搬入できないケースもあります。厨房に収まるサイズでも、運び込む入り口や通路が狭くて搬入できなければ意味がありません。業務用冷蔵庫は厨房のスペースはもちろん、搬入のことも考えて選ぶことが大切です。

コストがかかる

サイズが小さい冷蔵庫は、食材の詰め込みすぎにより冷却効率が低下します。すると冷蔵庫は電力を消費して庫内温度を下げようとするため、余計な電気代がかかってしまいます。庫内が冷えないからといって設定温度を下げても、電気代が無駄に増えるだけです。適切な容量を把握して、食品を詰め込みすぎないようにすることが重要です。

反対に、冷蔵庫のサイズが大きくて保管スペースにゆとりがありすぎる場合も、庫内全体を冷やすのに多くの電力を消費します。また、サイズが大きくなると冷蔵庫本体の価格も高くなります。初期費用を抑えるためにも、適切なサイズや容量を見極めて業務用冷蔵庫を選びましょう。

業務用冷蔵庫の適切な容量を判断するポイント

 

業務用冷蔵庫の容量が適切でない場合、冷却効率が低下して食材が傷む、厨房のスペースが無駄になる、電気代などのコストがかかるといったデメリットがあります。ここからは、業務用冷蔵庫の適切な容量を知る方法や、業務用冷蔵庫の容量を確認する際のポイントを紹介します。

適切な容量の目安

チェーン店や2、3店舗目の出店であれば、業務用冷蔵庫の容量はある程度見当がつくかもしれません。しかし、初めての店舗で業務用冷蔵庫を購入する場合は、次の式で容量の目安を計算するとよいでしょう。

 

冷蔵庫の容量:3L(1人当たりの食材ストック)× 客数 × 3日分

冷凍庫の容量:冷蔵庫容量の1/3

 

例えば、1日の客数を150名で考えると、冷蔵庫の容量は3L×150名×3日分=1,350L、冷凍庫の容量は1,350L×1/3=450Lが目安となります。この目安を基準にして、冷凍ストックが多い店は冷凍庫の容量を増やす、回転率が低く食材の消費が少ない店では容量を減らすなどして調整しましょう。

定格内容積ではなく収納スペースの容量をチェック

業務用冷蔵庫のカタログなどには「定格内容積」という表記があります。定格内容積とは、庫内に設置されている棚や引き出しをすべて取り除いた状態の容量を示す、JIS(日本産業規格)に基づいた表記です。

定格内容積はケースやタンクの隙間など、実際には食品を収納できないスペースまで含まれています。そのため、棚や引き出しを取り付けてから食材を収納すると、定格内容積ほど入らない場合が少なくありません。

カタログなどには定格内容積とあわせて、棚や引き出しを設置した状態で利用できる、食品収納スペースの目安の容量が記載されている場合があります。業務用冷蔵庫を選ぶ際は定格内容積だけで判断せず、実際に収納できる容量も参考にして考えるのが賢明です。

業務用冷蔵庫はサイズも重要

業務用冷蔵庫は食品を収めるスペースだけでなく、全体のサイズにも注意する必要があります。ここからは、業務用冷蔵庫の一般的なサイズの規格と選定時のポイントをご紹介します。

業務用冷蔵庫の一般的な規格

業務用冷蔵庫は大きく「横型冷蔵庫(コールドテーブル)」と「縦型冷蔵庫」に分類されます。横型冷蔵庫は高さが低く設計されており、上面部分を作業台として使用できるのが特徴です。冷蔵庫の高さや横幅といった規格は、各メーカーでほぼ共通しています。

業務用冷蔵庫の一般的な規格は、次のとおりです。

 

≪横型冷蔵庫≫

高さ(mm) 横幅(mm) 定格内容積(L) ドアの数(枚)
800 750 110〜150 1
900 150〜200
1,200 160〜320 2
1,500 300〜430
1,500 210〜330 3
1,800 390〜540
2,100 500〜660

≪縦型冷蔵庫≫

高さ(mm) 横幅(mm) 定格内容積(L) ドアの数(枚)
1,950 610 360〜500 2
750 470〜650
900 570〜790 4
1,200 800〜1,090
1,500 960〜1,380
1,500 1,290〜1,380 6
1,800 1,600〜1,680

 

業務用冷蔵庫の奥行きは、次の2種類があります。

 

  • 薄型タイプ:650mm
  • 厚型タイプ:800mm

 

同じ横幅でもドアの枚数が異なると、ドアを開けたときに通路にせり出すドアの幅も違います。冷蔵庫のドアを開けたときの通路のゆとりも考慮して選びましょう。

収まるサイズが適切とは限らない

業務用冷蔵庫が厨房に収まるからといって、そのサイズが適切であるとは限りません。業務用冷蔵庫を厨房まで搬入できるかは、選定時にチェックすべきポイントです。入り口や通路の幅や天井の高さ、段差の有無も事前に確認しておきましょう。

加えて、冷蔵庫と壁の間には放熱のためのスペースを確保する必要があります。冷蔵庫と壁を密着させて設置すると放熱がスムーズに行われず、余計な電力を消費する可能性があります。そのため、冷蔵庫は壁から5cm程度離して設置しましょう。

まとめ

業務用冷蔵庫の容量やサイズが適切でない場合、庫内が冷えにくくなるなどのトラブルが生じることがあります。したがって、すでに購入している冷蔵庫の適切な容量を判断するためには、庫内温度のモニタリングが効果的な手段のひとつになります。

冷蔵庫の温度をモニタリングするなら「ACALA MESH」の利用がおすすめです。「ACALA MESH」は庫内に設置したセンサーと無線ネットワークの利用により、自動的に計測した庫内温度をデジタルデバイスで確認できるシステムです。1分ごとに温度を記録するため、食材の詰め込みすぎや頻繁な開閉による庫内温度の上昇をすぐに察知できます。

業務用冷蔵庫は適切な容量を選び、効率的で無駄のない食材管理を実現しましょう。