冷蔵庫の温度管理に関する基準は?
冷蔵庫の温度管理をする際に気になるのが、温度の基準です。温度調整の機能があることは分かっていても、何度に設定するのが良いのか分からないという場合もあるでしょう。そこで今回は、冷蔵庫の温度基準について解説します。その他にも、冷蔵庫の温度を記録する頻度(回数)や、本体の寿命などに関する目安についてもご紹介します。
冷蔵庫の温度を記録する頻度(回数)
前提として、冷蔵庫の温度記録は多ければ多いほど安心です。記録と記録の間に長い時間がかかると、その間に異常が発生していたとしても気づけません。
ただし、人力によってチェックをする場合は、冷蔵庫の温度計につきっきりということは難しいでしょう。そこで最低限の目安として実施したいのが、1日3回です。8時間に1回のペースであれば、そこまで無理はありません。
とはいえ、この回数はあくまでも目安です。本来であれば、10分に1回など、高頻度で行われるのが理想です。
温度記録が必要な理由
冷蔵庫には、庫内温度を自動で調整する機能が備わっています。そう聞いてしまうと、温度記録の必要がないように感じるかもしれません。
しかし、温度記録の前段階で故障が発生し、庫内温度が急激に下がってしまうことも起こり得ます。また、食品の詰め込み過ぎなどで、設定温度と庫内の実際の温度に乖離が出てしまうこともよくあります。こういった場合、庫内に保存しておいた食品に菌が増殖し、食品事故などの原因になります。
このように、温度記録は食の安全を守る上で欠かせない要素です。
冷蔵庫の温度基準と適正な温度範囲
冷蔵庫には野菜室や冷凍室など、いくつか区画が分かれています。そして、それぞれ温度基準があるため、温度記録を行う場合にはそれぞれについて確認しなくてはなりません。
なお、一般的な冷蔵庫の温度基準は以下です。
- 冷蔵室:2~5℃
- 冷凍室:-20~-18℃
- チルド室:0℃
- 野菜室:3~7℃
基本的には、この温度基準に沿って冷蔵庫の温度を設定してください。ただし、食品事業者の場合はさまざまな食材を取り扱います。そして、何を保存するかによって適切な温度は異なります。以下は、改正『大量調理施設衛生管理マニュアル』(厚生労働省)に掲載されている保存温度の一覧表です。こちらを基準として考え、冷蔵庫の温度設定をするのもおすすめです。
食品名 | 保存温度 |
穀類加工品(小麦粉、デンプン) | 室温 |
砂糖 | 室温 |
食肉・鯨肉 | 10℃以下 |
細切した食肉・鯨肉を凍結したものを容器包装に入れたもの | -15℃以下 |
食肉製品 | 10℃以下 |
鯨肉製品 | 10℃以下 |
冷凍食肉製品 | -15℃以下 |
冷凍鯨肉製品 | -15℃以下 |
ゆでだこ | 10℃以下 |
冷凍ゆでだこ | -15℃以下 |
生食用かき | 10℃以下 |
生食用冷凍かき | -15℃以下 |
冷凍食品 | -15℃以下 |
魚肉ソーセージ、魚肉ハム及び特殊包装かまぼこ | 10℃以下 |
冷凍魚肉ねり製品 | -15℃以下 |
液状油脂 | 室温 |
固形油脂(ラード、マーガリン、ショートニング、カカオ脂) | 10℃以下 |
殻付卵 | 10℃以下 |
液卵 | 8℃以下 |
凍結卵 | -18℃以下 |
乾燥卵 | 室温 |
ナッツ類 | 15℃以下 |
チョコレート | 15℃以下 |
生鮮果実・野菜 | 10℃前後 |
生鮮魚介類(生食用鮮魚介類を含む。) | 5℃以下 |
乳・濃縮乳 | 10℃以下 |
脱脂乳 | 10℃以下 |
クリーム | 10℃以下 |
バター | 15℃以下 |
チーズ | 15℃以下 |
練乳 | 15℃以下 |
清涼飲料水(食品衛生法の食品、添加物等の規格基準に規定のあるものについては、当該保存基準に従うこと。) | 室温 |
冷蔵庫の寿命
正しい方法での温度管理・記録と、適正な温度範囲の設定を行ったとしても、冷蔵庫が故障してしまった場合にはその時点で大きな危険性があります。こうした事態を迎えないために、冷蔵庫の寿命についても考えてみましょう。
ただし、そもそも業務用冷蔵庫の耐用年数・使用年数に関する明確な指標はありません。参考として、家庭用冷蔵庫は10年前後が目安となっています。それを踏まえれば、業務用の場合はさらに長い期間使い続けられると予想できるでしょう。
なお、業務用冷蔵庫の寿命が長いのにはいくつか理由があります。ひとつは、一般用に比べて耐久性に優れているから。もうひとつは、新製品発売の頻度が遅いからです。
ある程度古い型番の業務用冷蔵庫であったとしても、新製品への切り替えが行われていなければ保守パーツが製造されていると考えられます。故障自体は仕方がないにせよ、適切な修理ができれば使い続けることができるため、結果として寿命も長くなるのです。
冷蔵庫の故障につながる基準
業務用冷蔵庫には明確な寿命はありませんが、状況によっては修理が難しいケースも考えられるでしょう。この場合は買い替えが必要になってしまいます。以下では、一般的な冷蔵庫の故障の症状をご紹介します。
異音の発生
業務用・一般用にかぎらず、冷蔵庫は常時ある程度の音が鳴っています。しかし、明らかな異音がする場合には故障の疑いがあるため注意が必要です。
たとえば冷却ファンは、庫内が冷えている状態になると止まります。もしくは、扉を開けた場合にも止まりますが、いつまでも鳴り続けているのは異常です。そのほか、コンプレッサーのオン・オフ時に大きな音が鳴る場合も、寿命が近づいている可能性が高いです。
冷えが悪い、製氷できない
冷凍庫が冷えず、冷凍品が溶けてしまったり、氷が作れなくなったりしている場合は、故障の可能性がかなり高いといえます。逆に、冷蔵庫に入っている食品が凍ってしまうようなケースもあります。
庫内は一定の温度が維持されるよう設計されていますが、冷え方にムラが出てきている場合は修理が必要かもしれません。
冷蔵庫周りの高温が長時間続く
庫内を冷却するために熱を放出した結果、冷蔵庫の周りが熱くなることがあります。しかし、これ自体は正常な動作ですので、故障を疑う必要はありません。一時的に50℃を超えるような場合でも、特に問題ありません。
一方、高温状態があまりにも長く続く場合は、何らかの原因が考えられます。ひとつは壁の近くに冷蔵庫を設置しているケースです。熱が逃げにくくなった結果、冷蔵庫本体も熱くなります。一方、十分な間隔が空いているにもかかわらず高温状態が続く場合は、故障が疑われます。
水漏れの発生
冷蔵庫内で水漏れが発生している場合は、冷気の放出口にホコリなどが詰まっている可能性があります。これについては、清掃によって風通しを良くすれば解消されるケースが多いです。
一方、床に水が漏れている場合には、部品の破損や劣化が疑われます。この場合は、メーカーに連絡をしてパーツ交換を依頼しなくてはなりません。ただし、なかには霜が溶けただけというケースもあるため注意してください。
そのほかの機能障害
上記の他にも、本来使える機能が動作しないなどの機能障害が発生した場合には、故障の可能性を踏まえて点検を行いましょう。ただし、改善点が見つかったとしても無理に自分たちで修理を行うのはおすすめできません。基本的にはメーカーに修理を依頼するのが大切です。
温度記録・管理の自動化や突然の故障に備えるならACALA
上記のとおり、冷蔵庫には温度基準があり、これを逸脱した場合には食品事故などのリスクが高まります。食の安全性を守るためには、適切な温度管理・記録が必要です。しかし、人力での温度チェックは労力がかかりますし、ミスも発生するものです。そこでおすすめなのが自動化です。
当社がご提供する温度管理・記録システム「ACALA」は、無線ロガーが記録した温度データがクラウドサーバに送られる仕組みを採用しています。サーバには専用のプラットフォームがインストールされており、専門的な分析なども可能。そのほか、異常検知時にメール等で連絡を受け取れます。万が一冷蔵庫に故障の兆候が見られた際にも発報されるため、当然のトラブルでも安心です。
まとめ
冷蔵庫の温度基準を守るためには、第一に適切な設定が必要です。ただし、それだけでは故障などのリスクを考えると不十分かも知れません。異常発生を検知するためには、自動温度管理システムなどの活用がおすすめです。冷蔵庫の温度管理をご検討中の方は、ぜひ当社のACALAをご検討ください。