冷蔵庫が開きっぱなしになると何が起こる?想定されるリスクやコストについて
冷蔵庫の扉を閉め忘れてしまい、そのまま開きっぱなしにすると、庫内の冷気が外に漏れ、温度上昇の原因になってしまいます。開きっぱなしの時間が長ければ長いほど、中の食品や冷蔵庫本体に悪影響が及ぶリスクがあるため、何らかの対策が必要です。今回は、冷蔵庫を開きっぱなしにするリスクと、その対策について、食品工場のケースを想定して解説を行います。
冷蔵庫が開きっぱなしになった場合のリスク
冷蔵庫の扉を開きっぱなしにしてしまうと、庫内の食材が傷んだり、結露が発生したりする可能性があります。また、冷蔵庫の種類によってはコンプレッサーの故障につながることも。以下で、主立ったリスクについて解説します。
庫内の食材が傷む
冷蔵庫の扉が開きっぱなしになると、庫内温度が上がります。すると、中に保管されていた食材にも影響が考えられます。
まず考えられるのは腐食や傷みの発生です。食材にはそれぞれ適切な保管温度が決められており、それを上回ると微生物などが発生する可能性があります。もしも冷蔵庫を開けっぱなしにしてしまった場合は、庫内がどれくらいの時間正常な温度になっていなかったかを確認し、必要に応じて廃棄処理などを行うことになります。
上記は事前にリスクを回避できた場合の話ですが、万が一食材が傷んでいることに気付かず、製造に使ってしまった場合には、より深刻な事態へとフェーズが移ります。製品が出荷されて、さらに消費者まで届いている場合は、食品事故発生などの可能性も考えられるでしょう。その手前で気付けていたとしても、出荷を停止したり小売点から回収をしたりと、かなりの損害を被ることになります。
結露による水漏れ
庫内の温度上昇は冷蔵庫の結露などにつながります。これは、外気が庫内で液体になった状態で、冷蔵庫の故障といったトラブルを招きます。
さらに問題となるのは保管されていた食品への影響です。たとえば、野菜室にまで水滴が及ぶと、野菜に水分がつき酸化につながることも。状況にもよりますが、被害が大きい場合にはストックの食品のほとんどを廃棄処分する必要もあるでしょう。なお、結露による食品への影響を見逃せば、前項で触れた食品事故などのリスクにもつながります。
コンプレッサーの故障
冷蔵庫には庫内を冷やすコンプレッサーという装置が搭載されています。
コンプレッサーは冷蔵庫の扉を開けると停止します。これは、外気に触れた状態で冷却を行っても効率が悪いといった理由から付けられた機能です。
一方、一部の冷蔵庫にはこの自動停止機能がないものも存在します。もしも冷蔵庫の扉が開けっぱなしになっていると、コンプレッサーは温度が上昇し続ける庫内を冷やそうと全力で運転を続けてしまいます。その結果、過度な負担がかかりコンプレッサーの故障を招くのです。
冷蔵庫の修理はメーカーの手を借りるほかありません。そのため、連絡から修理に来てくれるまでの期間は、冷蔵庫が使用できなくなってしまいます。また、とくに業務用冷蔵庫は高価であるため、気軽に買い替えることもできません。結果として、製品の製造にも大きな悪影響が及ぶ可能性もあります。
冷蔵庫がもう一度冷えるまでにどれくらいかかる?
冷蔵庫の扉を開けっぱなしにしてしまい、庫内温度が常温にまで達してしまった場合、適切な温度に戻るまではかなりの時間を要します。エアコンで調整された室内であれば、およそ4時間程度が目安と言われています。この間は、決して扉を開けてはいけません。
一方、猛暑の時期などの場合は、室温も高くなりがちです。もしも空調を付けておらず、外と同程度の気温だったとしたら、元の温度に戻るまで半日は必要になるでしょう。当然、この期間は食材を冷やすことはできないため、冷蔵庫から出した上で外気温にさらされることになります。
冷蔵庫に食材を入れられない場合はどうする?
温度が上がった状態の庫内に食材を保管することはできません。そのため、まずはすべての食材を外に出す必要があります。その後、傷みなどがないことを確認した上で、別の冷蔵庫に空きがあるなら移動をしましょう。冷凍しても構わない食材であれば、冷凍庫でも構いません。
一方、他の冷蔵庫に空きがない場合や、そもそも冷蔵庫が複数ないような場合は大きな問題となります。ひとまず、すぐに調理できるものは早めに加熱等の処理を行います。残ってしまったものについては、常温保存ができないかを確認。冷却・冷凍保存が必要な食材は、廃棄しなくてはなりません。