冷蔵・冷凍庫の衛生管理・清掃のポイント
工場や厨房で毎日活躍する冷蔵・冷凍庫。使用頻度が高い分、どうしても汚れや劣化などが起こるため、しっかりと衛生管理・清掃をしなくてはなりません。今回は、冷蔵・冷凍庫の清掃から保守に至るまでのポイントをご紹介します。
冷蔵・冷凍庫の清掃
冷蔵庫・冷凍庫は定期的なお手入れが必要です。特にパッキン、ファンカバー、フィルターは汚れやすい箇所として知られており、それぞれ適切な方法での清掃が求められます。
パッキンの清掃
パッキンは扉の開閉や温度差による結露で汚れやすく、放置するとカビが発生しやすいという特徴があります。これが保管食材に影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。
清掃の際には、アルコールを浸み込ませたペーパータオルでしっかりと拭き取ります。とくに黒ずみが気になる場合は、塩素系漂白剤を使用しても構いません。ただし、使用後は必ず水拭きをしてください。パッキンのゴムが固くなったり、破損の原因となったりするおそれがあります。
ファンカバーの清掃
ファンカバーは冷気の吹き出し口であり、食材の近くにあるため、汚れが直接食材に影響を及ぼす可能性があります。日々の清掃で、衛生を保たなくてはなりません。
清掃の際は、まずファンを止め、周辺の食材を一時的に移動させます。その後、アルコールを浸み込ませたペーパータオルで拭き取ることで、汚れを効果的に取り除けます。
フィルターの清掃
フィルターに溜まった汚れは、冷却機能の低下や故障の原因となる可能性があります。定期的な清掃を行えば、電気代の節約などにもつながるため注力しましょう。
清掃では、まずフィルターを取り外し、水でしっかり洗浄します。油汚れが気になる場合は、お湯と中性洗剤を混ぜて漬け込むとよいでしょう。洗浄後は、しっかりと乾燥させてから再度取り付けてください。
庫内・棚の清掃
さまざまな物が取り出されたり置かれたりする庫内の棚は、1週間程度でもかなりの汚れが付着します。食品の衛生を考えて、毎週定期的に実施するようにしましょう。
清掃を開始する前に、まず庫内の食材を取り出し、棚と吸気フィルターも外します。その後、中性洗剤を浸み込ませたダスターで庫内、棚、そしてフィルターを丁寧に拭き上げます。洗剤をしっかりと拭き取るために、よくすすいだダスターで全体を水拭きし、その後、乾いた清潔なダスターで水分をしっかりと拭き取ってください。
水分が十分に取れたら、フィルターや棚を元の位置に戻し、最後に庫内全体にアルコール製剤を噴霧して仕上げます。なお、長時間作業になる場合には手袋を着用しておきましょう。
劣化・破損・欠損のチェック
冷蔵庫・冷凍庫は日常の使用や経年劣化により、部品の破損や欠損が生じることがあります。定期的な清掃の際に、劣化・破損・欠損チェックも行うことで、食材の安全を保ちながら、冷蔵庫の寿命を延ばすことができるでしょう。
パッキンのチェック
パッキンの破損は庫内の冷気が外部に漏れる原因となり、冷蔵庫の効率が低下します。もしも破損箇所が見受けられた場合は、取り扱いメーカーに確認して、交換対応を行いましょう。
内棚のチェック
内棚のコーティングが剥離すると、破片が異物として食材に混入するリスクがあります。また、剥離部分は汚れが溜まりやすく、汚染源となる恐れがあります。
もしもコーティングの剥離を発見した場合は、取り扱いメーカーに確認し、交換や修繕の対応を検討しましょう。
ドレンキャップのチェック
ドレンキャップには冷蔵庫内の水分を排出する役割があります。紛失すると排水が滞り、庫内の湿度が上昇する可能性もあるので注意が必要です。キャップの紛失を確認した場合は、早急に取り扱いメーカーに連絡して、新しいキャップを取り寄せ、適切に設置しましょう。
製氷機の清掃と破損チェック
製氷機は日常的に利用される箇所のひとつであり、常に清潔に保つことが食品衛生上非常に重要です。また、機器の破損箇所がないかのチェックも怠ってはなりません。製氷機の適切な清掃方法と破損チェックのポイントについて説明します。
パッキンの清掃と破損チェック
パッキンは冷蔵庫や冷凍庫と同じく、アルコールを浸み込ませたペーパータオルなどで拭き上げて清掃しましょう。破損や劣化が見受けられた場合は、取り扱いメーカーに連絡し、交換の対応をお願いすることが推奨されます。
内壁と製氷口の清掃
製氷口付近は特に汚れやすいので、注意深く清掃します。清掃前に製氷機の中の氷をすべて取り出し、内壁全体を拭き上げてください。
アイススコップの取り扱い
製氷機でのアイススコップの不適切な管理は、氷に微生物やウイルスが付着するリスクを高めます。とくに、スコップの柄が氷に触れている場合、手からの汚れが氷に移る可能性があります。
製氷機にアイススコップの専用の置き場がある場合は、使用後も必ずそちらに戻すようにしましょう。専用の置き場がない場合は、洗浄済みの容器を用意して、スコップを衛生的に保管してください。
保守・点検で重要となる温度管理
冷蔵庫や冷凍庫の保守・点検において、温度管理は食品の品質と安全を保つために最も重要な要素のひとつです。正しい温度の維持は、食品の腐敗を防ぎ、衛生的な状態を保持する上で欠かせません。
保守・点検の際には、冷蔵庫内の食品が過剰に詰め込まれていないかをチェックすることが必要です。これは、空気の循環を妨げ、設定温度に達しない原因となるからです。
また、冷凍庫内の霜が過度に付着していないかも定期的に確認し、霜取りを行う必要があります。霜が多いと冷却効果が落ち、エネルギー効率も悪化します。
さらに、パッキンや扉、取っ手のダメージもチェックポイントです。これらが適切に機能していない場合、外気が入り込み温度が不安定になる可能性があるため、補修や修理を行うことが不可欠です。
清掃が行き届いていても、これらの物理的な問題や温度管理が不十分な状態では、食品の衛生を守ることはできません。したがって、保守・点検では温度の正確な監視と調整が求められるのです。
適切な温度管理によって、食品製造業における品質保持と食の安全を確保できます。
冷蔵・冷凍庫の温度管理なら「ACALA」
冷蔵・冷凍庫の温度管理は、冷蔵庫のメンテナンスを行う上でさまざまな情報をもたらしてくれます。
たとえば、「設定温度5℃なのに庫内が10℃になってると」いった状況は、フィルター詰まりなどが原因かもしれません。その他、「いつも特定の時間に温度上昇がある」「去年と比べて徐々に庫内温度が高くなってきている」などの状況も、冷蔵・冷凍庫の保全に関わるポイントです。
しかし、これらの状況を認知・検知するためには、人力による温度記録・管理では難しいでしょう。そこでおすすめなのが、当社がご提供する「ACALA」です。
専用のプラットフォーム上で行える分析結果を見れば、冷蔵・冷凍庫にどのような不調が起こっているかが一目瞭然。別日との比較も容易となるため、たとえばどのタイミングでパッキンが劣化したのかまで判明できます。
メンテナンス不足のまま冷蔵庫を利用し続けるとコンプレッサー負荷が高くなり、故障を誘発します。ACALAによる異常の早期発見とメンテナンス対策により、故障予防と節電を実現しましょう。
まとめ
適切な冷蔵・冷凍庫の衛生チェックは食品の安全を守る上でとても重要です。今回ご紹介したチェックポイントを踏まえ、ぜひ実践してみてください。