働きやすさは温度から!オフィスの快適温度調整法
オフィスの温度設定は、従業員の快適さと生産性に大きな影響を与えます。適切な温度管理は、法律や推奨基準を守るだけでなく、実際の作業環境に合わせた柔軟な調整が求められます。こちらでは、オフィスの温度設定に関する労働安全衛生法の規定や環境省の推奨温度、そして効果的な温度管理の方法について詳しく解説します。
オフィスの適切な温度設定とは?
適切な温度設定は、状況によって異なります。とはいえ、それでは具体的な温度が分からないため、ここでは労働安全衛生法や環境省が推奨する温度をまずは確認してみましょう。
労働安全衛生法の規定
日本の労働安全衛生法では、オフィスの温度についての規定があります。努力義務ではありますが、規定にはオフィスの温度は18℃以上28℃以下と記載されています。
なお、10℃以下の場合は暖房で調節する義務があり、違反すると罰則があります。具体的には、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
環境省の推奨温度
例えば、環境省は省エネ対策として、冬の暖房設定温度を20℃に推奨しています。ちなみに、設定温度を1℃下げると約10%の消費電力削減が可能です。エネルギーコストを削減しつつ、環境負荷の軽減に貢献できます。
ただし、法律で定められた範囲内や推奨温度を守るだけでは、必ずしもすべての従業員が快適に感じるわけではありません。実際には、外気温や室内の人数などに合わせて調整が必要になります。
温度管理を行うメリット
オフィスの温度管理は、生産性、健康、安全、快適さを向上させる重要な要素であり、企業にとっても成長のための鍵となります。適切な温度管理を実施することで、従業員が最大限の能力を発揮し、健康で快適に働ける環境を提供しましょう。以下からは、オフィスで温度管理を行うメリットをご紹介します。
生産性向上
オフィスの適切な温度管理は、従業員の集中力とパフォーマンスを最大限に引き出すことにつながります。
たとえば、夏にエアコンなしで作業を行うと、作業効率の低下や人為的ミスを招く原因になり得ます。冬場であれば、タイピングや書類作成といった作業にも支障を来す可能性もあるでしょう。
快適な温度環境は、企業全体の生産性向上を後押ししてくれます。とくに長時間のデスクワークにおいては高い効果が見込めるとされているため、ぜひ見直しをご検討ください。
健康リスクの低減
適切な温度管理は従業員の健康維持にも重要です。
過度な寒さや暑さは体調不良やストレスの原因となり、病気のリスクを高めます。たとえば真夏日に冷房が不十分だと、熱中症になる従業員も出てくるでしょう。すると業務が停滞してしまい、売上げなどにも関わります。
このように、適温を保つことは病欠の減少や医療費の削減にもつながるのです。
快適な労働環境の提供
従業員が快適に働ける環境を提供することは、モチベーションと満足度の向上につながります。環境のなかには、当然室温も含まれます。従業員のストレス軽減と職場の雰囲気を良好に保つためにも、適温を保つようにしましょう。
なお、企業が従業員のことを考えて環境整備に力を入れていることは、企業のイメージアップになり、優秀な人材の確保にもつながります。また、離職率の低下などにも効果があります。
オフィスの温度設定を行う方法
次に、オフィスの温度設定を効果的に行うための具体的な方法について解説します。
温度計の設置場所と方法
オフィス内の温度を正確に把握するためには、温度計の設置場所が重要です。具体的なポイントを見てみましょう。
まずは直射日光が当たらない場所への設置です。直射日光が当たると温度計が高温を示し、正確な室温を把握できません。窓から離れた場所に設置しましょう。
次に、空調機器の影響を受けにくい場所への設置です。空調の吹き出し口や吸い込み口の近くに温度計を設置すると、局所的な温度を測定することになり、オフィス全体の温度を正確に把握できません。
複数の場所に設置することも大切です。オフィスの異なるエリアに複数の温度計を設置することで、各エリアの温度差を把握し、全体の温度を平均的に管理できます。例えば、中央エリア、角部屋、会議室などに設置すると効果的です。
定期的な温度チェックと調整
オフィスの温度は定期的にチェックし、必要に応じて調整することが大切です。
日中の異なる時間帯に温度をチェックし、温度の変動を確認しましょう。とくに、朝、昼、夕方の三回に分けて測定すると、温度の傾向がつかみやすくなります。
また、季節の変わり目や天候が変わりやすい時期には、頻繁に温度を確認し、適切な調整を心がけてください。たとえば、秋から冬にかけての時期には暖房設定を見直し、春から夏にかけての時期には冷房設定を調整しましょう。
空調設備のメンテナンス
空調設備の定期的なメンテナンスは、効果的な温度管理のポイントになります。
まずはフィルターの清掃です。フィルターが詰まると空調機器の効率が低下し、適切な温度調整ができなくなります。少なくとも月に一度はフィルターを清掃することをおすすめします。
部品の点検も必要です。定期的に専門業者による点検を受け、必要に応じて部品の交換や修理を行います。空調機器の性能維持と省エネにつながります。
また、季節ごとのメンテナンスも行いましょう。シーズンの始めに空調設備のメンテナンスを行うことで、突然の故障を防ぎ、シーズンを通して安定した温度管理が実現できます。
従業員からの聞き取りも重要
オフィスの温度管理を効果的に行うには、従業員の意見を取り入れることも大切です。
アンケート調査はその代表例です。温度に関する具体的な質問を設けたアンケートを定期的に実施します。たとえば、「現在のオフィスの温度は快適ですか?」「どのエリアで温度が不快に感じますか?」などの質問を含めてみましょう。
定期的なミーティングで意見を募るのもおすすめです。従業員が自由に意見を出しやすい環境を整えるため、温度管理に関するミーティングを定期的に開催します。この場で従業員のフィードバックを直接聞き取り、必要な改善策を迅速に実施します。
その他にも、従業員が温度に関する問題を気軽に報告できるよう、オープンなコミュニケーションを促進しましょう。例えば、専用の意見箱やオンラインフォーラムを設置することで、従業員の声を集めやすくします。
温度管理に関するよくあるトラブル
適正な温度を調べて設定をしたとしても、オフィスの温度管理にはトラブルがつきものです。とくによくあるのが、場所ごとの温度のバラつきです。
この原因は、空調設備の配置や日射の影響、オフィスレイアウトなどさまざまな要因で生じます。とくに、窓際と室内中央部での温度差が大きくなるケースは少なくありません。また、空調設備が古くなっている場合や、メンテナンスが不十分な場合も温度のばらつきが生じやすくなります。
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当社がご提供する「ACALA」は、ロガーと呼ばれる温度計から計測データを取得し、専用プラットフォームにて管理を行うクラウド型温度マネジメントシステムです。上記のようなお悩みは、複数箇所にロガーを設置することで解決可能です。どのような温度が変化しているかを一覧することで、冷房・暖房が届きにくい場所を可視化できます。
新しく屋内のWBGT(※)を簡易的に計算して表示する機能の提供も始めており、労務環境を快適に保つ指標として便利に活用することが可能です。
また、ACALAは一般のオフィスだけでなく、食品工場などにも適用可能です。室温だけでなく、冷蔵庫などの温度も管理できるため便利です。遠隔でのリアルタイム監視なども行えるため、温度管理をすべてお任せいただけます。
(※)WBGT:暑さ指数と呼ばれ、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標で、世界中で広く活用されています。
まとめ
オフィスの温度管理は、従業員の生産性向上、健康リスクの低減、快適な労働環境の提供において極めて重要な要素のひとつです。適切な温度設定により、従業員が集中しやすく、効率的に働ける環境を整えましょう。