2025.05.09.Fri

すぐできる!事業所で空調を節電する具体策を紹介

工場や店舗で消費されている電力のうち、空調は多くの割合を占めています。電気料金が高騰しているこの機会に、空調の節電に取り組んでみませんか?本記事では、すぐに実践できる空調の節電方法を紹介します。

空調の節電に取り組む必要性とは

近年、国際情勢の影響により燃料価格が高騰し、電気料金も以前より高い水準で推移しています。日本で供給されている電力の多くは、天然ガスや石炭、石油を燃料とする火力発電により作られています。これらの燃料価格は今後も上昇することが予想されており、それに伴い電気料金も値上がりが続くでしょう。

さらに、地球温暖化の影響で夏場の気温は年々上昇しており、夏季の電気代の増加も懸念されます。経費を削減し、経営の負担を軽減するためには、節電に取り組んで電力コストを抑制することが大切です。

空調の節電方法

ここからは、空調の節電方法を紹介します。すぐに実践できる方法もあるので、ぜひ試してみてください。

設定温度を変更する

空調機の設定温度の見直しは、節電の基本といえます。環境省が推奨する室温の目安は、夏季28℃、冬季20℃です。また、冷房の設定温度を1℃上げると約13%、暖房の設定温度を1℃下げると約10%の節電効果があるとされています。無駄な電力消費を防ぐために、適切な温度に設定しましょう。

フィルターを清掃する

空調機を効率よく稼働させるためには、フィルターの定期的な清掃が欠かせません。

空調機には、空気中のゴミやほこりが機械内部に入るのを防ぐ目的でフィルターが取り付けられています。清掃を怠り、フィルターが目詰まりした状態で空調機を使用していると、空気の流れが悪くなり空調効率が低下します。2週間に1度を目安に、フィルターを清掃するようにしましょう。

室外機の環境を見直す

空調機は、屋内に取り付けられる室内機と、屋外に設置される室外機のセットで稼働しています。屋内からは見えないため意識されることが少ない室外機ですが、空調機が送り出す空気の温度調整には欠かせない存在です

室外機は、夏場は直射日光を避け、冬場は直射日光に当たるように調整すると、空調効率が高まります。具体的にはよしずを立てかけたり、専用カバーを利用したりするとよいでしょう。また、室外機の吹き出し口付近には物を置かず、風通しのよい環境にすることも大切です。

熱交換器を清掃する

熱交換器とは、室内機と室外機の両方に備わっている機器であり、空気の温度を調整する役割を担っています。

熱交換器に空気中のホコリがたまると空調の効きが悪くなり、余計な電力を消費しやすくなります。熱交換器の清掃は数年に1回程度でかまいませんが、専門業者に依頼して入念に清掃してもらいましょう。

ビニールカーテンを設置する

ビニールカーテンを設置して空調を効かせる空間を限定すると、消費電力の削減につながります。

広い空間で空調を効かせるためには、多くの電力を消費しなければなりません。ビニールカーテンで間仕切りして空調が必要な空間を狭めることで、空調効率が高まり電力消費を抑えられます。また、出入り口などの外気が侵入しやすい場所にビニールカーテンを設置するのもおすすめです。

遮熱シートを活用する

熱を反射させる遮熱シートを活用して室内の温度上昇を抑えれば、空調効率が高まり、節電効果を得られます。建物の屋根に遮熱シートを設置すると、太陽光により温まった屋根の熱が室内に伝わるのを防げます。また、工場内で熱を発する機械を遮熱シートで覆い、工場内の温度上昇を防ぐのも方法のひとつです。

ただし、遮熱シートは熱を反射する効果があるため暑さ対策には適していますが、冷気の遮断には向いていないことに注意しましょう。

残熱を利用して運転時間を短縮する

空調機を停止しても、冷やされたり暖められたりした空気の残熱があるため、しばらくは快適な温度を維持できます。それを利用して、終業時刻よりも少し早めに空調機の電源をオフにすれば、快適な温度環境を保ちながら電力の消費を抑えられます。

空調を起動するタイミングを分散する

始業時に空調機を起動するタイミングを分散させると、電気料金を抑えられる可能性があります。法人や事業所において電力の基本料金を決めるのは、月間で使用した最大電力量(最大需要電力、ピークデマンド)です。したがって、最大需要電力を抑えることが電力の基本料金の削減につながります。

空調機は起動直後に多くの電力を消費するため、始業時にすべての空調機の電源を一斉にオンにすると、最大需要電力が大きくなってしまいます。空調機を起動するタイミングをずらして、電力の基本料金を抑えましょう。

夜間の外気を取り込んで室内を冷やす

夏季の節電対策は、夜間の外気を利用する方法がおすすめです。日中に気温が高くなる夏場でも、夜から朝にかけて気温は下がります。その涼しい外気を取り込んで室内の温度を下げておけば、翌朝の空調起動時の電力消費を抑えることが可能です。

これは「ナイトパージ」と呼ばれる方法であり、専用の機能が付いた空調機も販売されています。空調機にナイトパージ機能がない場合でも、夜間に換気扇や空調の換気機能を使うことで同様の効果を得られます。

節電効果のある設備を導入する

節電効果が高い空調設備を導入すると、手間をかけることなく消費電力をカットできます。例えば、室内の冷気や暖気を逃すことなく換気できる「全熱交換器」や、室内の二酸化炭素濃度を検知して外気の取り込み量を最適化する「CO2濃度制御機器」などの設備があります。

これらの設備は、一度導入するだけで効率的に節電できることがメリットです。ただし導入には高額なコストがかかるため、十分な検討が必要です。

空調の節電によりもたらされるメリット

 

ここからは、空調を節電することで得られるメリットについて解説します。

人件費が削減される

空調の節電により、光熱費だけでなく人件費の削減も期待できます。

適切な空調コントロールにより快適な温度が保たれた環境では、業務の生産性向上が見込めます。その結果、残業時間が短縮されて、時間外労働にかかる人件費を削減できるでしょう。また、労働環境が改善されると、体調を崩したり離職したりする従業員も少なくなります。これにより、欠勤や欠員を補うための人材配置にかかるコストも抑えられます。

企業価値が高まる

節電、つまり省エネに取り組んでいることをアピールすると、企業イメージの向上が期待できます。

節電には、二酸化炭素の排出量を削減する側面もあります。二酸化炭素は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの大部分を占める物質です。節電を通して二酸化炭素の削減に努めていることを発信すれば、「地球環境に優しい企業」という評価を得られるでしょう。

設備・機械の寿命が延びる

節電に取り組んで無駄な電力消費をカットできれば、空調機の負担が軽減され、機器の寿命が延びるでしょう。

たとえば、空調効率を高めるために空調機をこまめにメンテナンスしていれば、機器が稼働する際の負担が軽減され、故障の防止も期待できます。その結果、空調機をより長期間使用できるようになり、設備更新にかかる費用削減にもつながります。

まとめ

空調の節電は、設定温度の調整やフィルター清掃など、すぐに実践できるものも少なくありません。今後の電気料金の値上がりを見据えて本格的に節電に取り組むのであれば、事業所や工場の温度をモニタリングしてみましょう。温度管理の状況を把握すると、効率的に節電対策を進められます。

手間やコストを抑えて温度をモニタリングするなら、「ACALA MESH」の利用をおすすめします。「ACALA MESH」は、工場や店舗、厨房などあらゆる場所の温度を自動的に計測・記録できるシステムです。

機器はレンタルで提供されており、初期費用を抑えて導入できるため、これから節電に取り組んでコスト削減を目指す企業にもおすすめです。「ACALA MESH」を活用して、効率的な節電に取り組んでいきましょう。