【令和6年版】食品事業者が活用したい補助金6選
政府等による補助事業は多くの事業者にとって大きな支援であり、関節的な資金調達方法とも言えるでしょう。今回は、数ある補助金のなかから食品事業者が活用できるものを6つピックアップしてご紹介します。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、以下の目的のために事業再構築へチャレンジしようと考える中小企業をサポートするための補助金です。
- 新分野展開
- 業態転換
- 事業・業種転換
- 事業再編など
対象としてパンフレットに掲載されている食品事業者例は以下です。
- 飲食店
- 居酒屋経営
- レストラン
- 弁当販売
- 和菓子製造・販売
このように、飲食店から小売、製造に至るまで、さまざまな事業者が対象になります。具体例としては、喫茶店が飲食スペースを縮小し、豆や焼き菓子などのテイクアウト販売をはじめるといった施策に対して補助が受けられます。
以下はすでに終了した第11回の補助内容です。
補助上限 | 補助率 | |
最低賃金枠 | 最大1,500万円 | 3/4 |
物価高騰対策・回復再生応援枠 | 最大3,000万円 | 2/3(一部3/4) |
成長枠 | 最大7,000万円 | 2/3 |
グリーン成長枠 | 最大1億円 | 1/2(賃上げで2/3) |
産業構造転換枠 | 最大7,000万円 | 2/3 |
サプライチェーン強靱化枠 | 最大5億円 | 1/2 |
なお、2024年度に実施される第12回では申請枠が6枠から3枠に集約されるといった変更が予定されています。具体的な内容は、公式の情報をご確認ください。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業の生産性向上を支援する制度です。革新的なサービスや製品の開発、試作品の製作、生産プロセスの改善などのための設備投資をサポートしてくれます。具体的には、熟成肉開発のために冷蔵庫や送風設備を導入したり、製品の付加価値を高めるために米麹製造機を購入したりといった事例があります。
補助の対象は製造業、サービス業、小売業、農業など、幅広い業種に及びます。なお、すでに創業し、企業規模が条件を満たしていることが必要です。加えて、賃金引き上げ計画を従業員に対して表明していることも求められます。
2024年度からは申請枠に変更があり、とくに省力化枠には補助上限1億円(補助率2/3)が設定されている点が注目されています。
補助上限 | 補助率 | |
省力化枠 | 最大1億円 | 1/2~2/3 |
製品・サービス高付加価値枠 | ・通常類型:最大2,250万円
・成長分野進出類型:最大3,500万円 |
2/3 |
グローバル枠 | 最大3,000万円 | 1/2~2/3 |
最新情報については公式ホームページでご確認ください。
省人化・省力化補助金
省人化・省力化補助金は、物価高騰と人手不足に直面する中小企業の支援を目的とした補助金制度です。IoT、ロボット、AIなどの技術を活用した設備投資を促し、中小企業の生産性と付加価値を高め、結果として賃金の上昇に貢献することを目指しています。令和5年度の補正予算で決定された、比較的新しい補助金で、第1回の公募は2024年3月頃を予定しています。今後、令和8年度9月末までに15回程度の公募が行われる予定で、頻度は2カ月に1回となる見込みです。なお、補助対象は従業員5名以下の小規模事業者から中堅企業までと、従業員数が少数の企業向けとなっています。
具体的な活用例としては、飲食店での配膳ロボットや自動調理器、オンライン予約システムなどが挙げられます。また、食品工場であれば品質検査AIシステムの導入なども考えられるでしょう。
ただし、実際の対象経費はカタログ掲載の製品・設備となるため、その内容次第では上記の活用になるとは限りません。現状は、カタログの発表を待つ段階となっています。
補助上限 | 補助率 | |
省力投資補助枠 (カタログ型) |
最大1,500万円 | 1/2 |
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自身のビジネスを再評価し、持続可能な経営計画を立てた上で、市場拡大や生産性の向上に取り組む際の経費の一部をサポートするための制度です。
通常枠の他に、賃金引上枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠という特別枠が用意されています。このなかでもっともスタンダードな枠組みは通常枠で、制度変更への対応に際し、販路開拓へ取り組む小規模事業者に対して広い補助が行われています。一方、賃金引き上げ枠では地域別最低賃金+50円以上を行った事業者に向けた枠組みで、状況次第では応募しやすい条件と言えるでしょう。
なお、補助対象となる経費は以下です。
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)
- 旅費
- 新商品開発費
- 資料購入費
- 借料
- 設備処分費
- 委託・外注費
たとえば飲食店が地元の特産品を使ったメニューをはじめるために厨房機器を新調した場合には、その導入費が補助対象になります。また、そのメニューを宣伝するために雑誌広告を利用した場合にも、補助が受けられます。
補助上限 | 補助率 | |
通常枠 | 50万円 | 2/3 |
賃金引き上げ枠 | 200万円 | 2/3~3/4 |
卒業枠 | 200万円 | 2/3 |
後継者支援枠 | 200万円 | 2/3 |
操業枠 | 200万円 | 2/3 |
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がビジネスの効率化やデジタル化を進めるために、必要なITツールを導入する費用の一部を支援する制度です。業務効率化、デジタルトランスフォーメーションの推進、サイバーセキュリティの強化、インボイス制度対応などに対するITツールの導入を促すことが目的です。
補助対象となる費用には、ITツールの購入やクラウドサービスの初期導入費用、IT関連のコンサルティング料、システム改修費用などが含まれ、特に多岐にわたる業務プロセスをデジタル化するためのITツール導入が奨励されます。
食品事業者の場合にも、品質管理や生産管理といった分野でITツールは活躍します。経費対象になるものも多いため、生産性向上のためにぜひ応募を検討してみましょう。
補助上限 | 補助率 | |
通常枠 | ・A型:150万円
・B型:450万円 |
1/2 |
デジタル化基盤導入枠 | ・ITツール:350万円
・PC・タブレット等:10万円 ・レジ・券売機等:20万円 |
・ITツール:2/3~3/4
・PC・タブレット等:1/2 ・レジ・券売機等:1/2 |
食品原材料調達リスク軽減対策事業
食品原材料切替等に伴う機械・設備等の導入・更新、調査、新商品等の開発・製造・販売・PRの取り組みを支援するために作られた制度です。資材、機械、設備導入費、産地への社員等派遣旅費等、非常に広範な経費に、なんと最大5億円の補助が実施されます。
補助対象は以下です。
- 価格が2割以上高騰している輸入食品原材料を使用していること
- 令和4年2月以降の地政学リスク等により輸入に支障が生じたことがあることを
※①食品の加工・製造事業者又はその団体、②飲食店等又はその団体、③①又は②の事業者とともに事業を実施しようとする者。
補助対象は食品製造事業者が産地との連携を強化し、国産食品原材料の使用を増やすための取り組みに焦点を当てています。具体的には、食品製造事業者が産地に対して行う支援活動(例えば、必要な種苗の提供、収穫機械や選別機の貸与、生産技術の指導など)とそれによって可能になる食品原材料の切り替えや取扱量の増加に伴う、新しい機械や設備の導入、新商品の開発、製造・販売・PR活動が補助の対象となります。また、食品原材料の調達先を多角化することも支援の対象で、これには機械や設備の更新、市場調査、新商品開発などが含まれます。
補助上限 | 補助率 |
5億円 | 1/2 |
まとめ
補助金は単なる支援ではなく、事業成長の足がかりにもなり得るチャンスです。新たな設備を導入する際などに活用できるものも多いため、条件が合うならぜひ公募を検討してみましょう。