2019.03.15.Fri

無線ロガーで冷蔵庫の温度管理の課題を解決

食品業界において、冷蔵庫の温度管理は衛生・品質面を保つために欠かせません。しかし、これを手作業で行うとなると、手間はもちろん、精度の面で不安が残ります。そこで自動温度管理システムの導入を検討される方も多いですが、従来からのシステムで見られる有線接続には設置工事の手間やそれに伴う初期費用の部分で課題があります。そこで今回は、有線による自動温度管理システムが持つ問題点と、無線システムが解決する課題について解説します。

冷蔵庫の温度管理の自動化に向けた課題

冷蔵庫の温度を自動管理するためには、それを実現させるための設備導入が求められます。しかし、課題解決にはいくつかの懸念点が考えられます。

● データロガー単品は手間がかかる

温度記録の自動化には、データロガーなどの機器を使用する方法があります。しかし、この端末からデータを取り出すのには大きな手間があり、作業効率化が進みにくいといった懸念点が考えられます。たとえばSDカードやUSB接続でデータの入出力を行うタイプのデータロガーで考えてみましょう。機器の機能次第ではありますが、連続的なデータの取得自体に問題はありません。しかし、端末に蓄積されたデータを取り出すためには、そのつど設置場所へ足を運ぶ必要があります。また、手が届きにくい場所などに設置されていた場合には、一時的に装置を取り外すなどの手間も考えられます。何より、こうした作業をしなければデータが取り出せないということは、リアルタイム性が失われるということです。記録まではできても、危機管理の部分で不十分と言わざるをえないでしょう。

● 有線接続は設置とイニシャルコストに懸念

データロガーからリアルタイムでデータを取得するには、ネットワークへと接続する必要があります。しかし、この際に有線のネットワークケーブルを用いると、いくつかのデメリットやリスクが想定されます。まずは設置時。すでに機器のレイアウトが決まっている場合には、配線の問題が発生します。十分な余白があればよいですが、機器がすき間なく詰まっていると、有線ケーブルをひくだけでも大きな手間となるでしょう。場合によっては、専門業者による工事も想定されます。また、壁に接していない冷蔵庫など、結果的にケーブル設置が難しい場所が出てしまう可能性も考えられます。加えて、水作業が必ず発生する食品業界においては、端末はもちろん配線についても完全な防水仕様が求められます。ネットワークケーブルを用いた有線接続では防水対応は不可能に近く、実現のためにはかなりのコストがかかると考えられます。設置完了後にもいくつかの懸念が考えられます。有線ケーブルには断線や配線抜けといった物理的要因によるリスクが存在します。また、こうしたトラブルが発生した際、それを検知するのは容易ではありません。さらに、冷蔵機器を買い替えた際には、再度配線を行う必要があります。このように、有線で組まれたネットワークには、コストやリスクの面でさまざまな課題があるのです。

自動温度管理に最適なソリューションはワイヤレス

前項でご紹介した課題を解決するには、ワイヤレスネットワークを利用した自動温度管理システムの導入がおすすめです。以下で、そのメリットをご紹介します。

● 連続性のあるデータを自動で取得

無線でデータ転送ができるシステムであれば、データ取得のためにわざわざ端末の設置場所まで足を運ぶ必要はありません。取り外しの手間もなく、つねに連続データの取得が行え、リアルタイム監視が実現。何かトラブルが発生した際でも、すばやい検知と対応が可能になります。

● 設置に伴う工事が容易で自由度も高く低リスク

配置については基本的にセンサ機器を固定するだけで完了。大がかりな設置工事などは必要ありません。電池駆動のセンサであれば、冷蔵機器の買い替え時はもちろん、機器のメンテナンスや工場のレイアウトを変更する場合にも、配線で悩むことはなくなります。また、有線接続タイプに比べて防水化も容易となり、不要なコストもかかりません。そのほか、断線や配線抜けなどの物理的リスクも軽減します。

無線ネットワークの構築におけるハードル

このように、メリットの多い無線システムですが、ハードルがないとは言い切れません。ここでポイントになるのが安定した無線ネットワークの構築です。たとえば無線ロガー単品を購入し、ご自身で無線ネットワークを構築しようとした場合。特に工場や倉庫など一定の広さがある場合は、測定点が広範囲となるため、安定したネットワーク構成には高い専門性が要求されます。これを解決するためには、ネットワーク構築までを一括で行ってくれるパッケージ商品を発注・購入する方法があります。しかし、たとえばWi-Fiタイプの無線ロガーを使ったシステムの場合、センサからのデータを欠損なく、安定的に転送し続けるためには、たくさんの親機や中継機が必要になります。親機や中継機にはそれぞれ電源が必要なため、物理的な配置が難しく、残念ながら安定したネットワークを構築することは実質不可能、というのが現状です。

● ACALAのメッシュネットワーク技術が問題を解決

ワイヤレスで、かつWi-Fiタイプよりも安定したシステムを構築したいとお考えの方におすすめなのが、当社のクラウド型統合監視記録ソリューション「ACALA MESH」です。ACALA MESHは、特殊な技術を用いてメッシュ型の無線ネットワークを構築し、データ欠損が非常に少ない安定したシステムを提供します。ACALA MESHでは、センサ自体が中継器の役割を担うため、余計な中継機は不要。バケツリレーの要領で、各センサから親機までデータを運び、広範囲のデータを高い信頼性をもって収集できます。なお、各端末は省電力設計となっているため電池交換の頻度は極小。さらに、完全防水となっているため、厨房や工場での用途に最適です。次亜塩素酸洗浄、泡洗浄も可能なので、メンテナンスにも特別な気づかいはいりません。

まとめ

日本におけるHACCP制度化や慢性的な人手不足を受け、冷蔵庫の自動温度管理システム導入は多くの企業にとって喫緊の課題です。その解決方法として、無線ロガーおよびワイヤレスネットワークの活用は最適と言えるでしょう。ACALAであれば、さらにそこへ安定性・信頼性が付随いたします。冷蔵庫の温度管理自動化をご検討中のお客様は、ぜひ当社までご相談ください。