武蔵野給食センター
多くの人々の「食」を支える給食センター。ACALAは食の安心・安全を守るためにこのような場所でも活躍しています。事業内容からACALAの今後の活用方法まで語っていただきました。
―武蔵野給食センター様の事業内容についてお聞かせ下さい。
当社では主に幼稚園や学校の給食・事業所の社食、幕の内のケータリング等を行っています。社食は場所にもよりますが、完全にケータリングのところもありますし、こちらで調理したものを持って行って先方で盛り付けたりすることもあります。心がけているのはその時代にあったお弁当をお届けすること、お客様の口に入るものですから衛生管理にも当然ながら気をつかっています。給食センターというと朝早いイメージがあるかと思いますが、うちの出社時間は他社と比べると遅い方です。食材は前日にある程度仕込みをしておいて、朝来たら調理に取り掛かれるようにしています。調理から喫食するまでの時間を短くすることで、菌を増やさない。これが、安全につながると考えているからです。また、従業員たちも皆で協力しあって衛生面、安全面も確保しながら効率よく仕事を進めています。
―工場長は普段どのようなお仕事をされていますか?
味の管理から衛生管理、温度管理、従業員の健康管理など多岐に渡ります。うちは東京都食品衛生マイスターに認定されています。これは、平成15年度から始まった制度で、食中毒の防止をはじめ、一定以上の衛生管理に取り組む食品事業者を認証する東京都食品衛生自主管理認証制度のことです。これまでに、飲食店や食品工場、販売店など400以上の施設が認証を受けています。食品衛生マイスターは取得するのも維持するもの大変で、定期的に資料の提出が義務付けられています。例えば、食材の中心温度は85℃で2分加熱と食品衛生法で決まっているので、1品ごとに温度を測ってデータ化して、一定期間ごとのデータを送らなければなりません。時折査察も入りますので、抜けがないように細心の注意を払っています。あとは、従業員一人ひとりの健康管理も重要です。マニキュアをつけてないか、風邪をひいていないか、体調が悪くないかということを、チェック項目に沿って毎日確認しています。また、昨今衛生面もますます重要視されてきておりますので、清掃項目についてもデータ化を進めています。いずれにしても、データの蓄積と分析が重要な仕事です。
―ACALAを導入したきっかけや、どのようにお役立ていただいているかをお聞かせ下さい。
調理後の食品が傷む原因の一つとして、急激な温度の変化による腐敗菌の増加があります。ですから、温度管理はとても重要です。初めのころは自分で温度計を購入して各所に取り付けてチェックしていました。ただ、毎日あちこちの温度計を見て回るというのはそれだけでも時間を取られますし、それをデータ化するのは大変な作業です。以前、こんなことがありました。私が夏休みの時に限って「今冷蔵庫が止まってるんですけど」と、電話がかかってくるんです。そう言われても、いつからなのか、原因は何なのか、それを見つけるのが大変でした。ある時は、工事に入った業社がブレーカーを落としたままにして帰ってしまったこともありました。なので、温度変化を知るために、何かいい策はないかと思っていた時に、タイムマシーン社さんのACALAを知り、紹介していただくことになりました。ACALAの設置場所は、外気と場内、大きい冷蔵庫4か所、冷凍庫1か所の計7か所です。これらの温度はiPadで確認しています。先日、東京都の保健所の方が来られたのでiPadの画面を見せたら「これはいいですね」と言ってくれましたよ。ACALAの導入によって、今までのようにいちいち場内の温度計を見に行く必要がなくなりました。温度が一定以上の数値になるとアラートが出るので、これが出たら現場を見に行きます。すると、その時間帯に出入りの回数が多かったとか、冷蔵庫が開けっ放しだった等の原因を確認することができます。ただ、現場も毎日同じ行動をするわけではありませんし、季節によっても人の動きが変わるのが難しいところです。以前と比べるとだいぶ温度変化の推移が掴めるようになりましたが、もう少しデータを取り続けて、いつもの時間帯にどれだけ温度の浮き沈みがあるかをグラフ化して、温度の上昇時の対応を検討していこうと思います。場外にも設置したのは、出来上がったお弁当を配送する場合、外に車を置いて扉を開けて宅配している間等、外気に触れることが多いためです。今後は、お弁当が出来上がった後の温度の上昇も把握していなければいけないと思っています。ACALAを導入してからは、異変があるとメールが来るのですばやく対応ができるようになりました。7月の連休中にこんなことがありました。朝アラートが来て、その時は庫内の温度が7℃だったので、一時的に霜取りが止まっているかと思って様子を見ていたのですが、その後もどんどん上昇して夕方には14℃になりました。慌てて工場に来てみると冷蔵庫が壊れていました。すぐに食材を別の冷蔵庫に移しまして、もちろんその時点でダメになった食材を廃棄したりしました。でも、翌朝まで気付かずにいたことを考えれば捨てる量が半分で済みました。当社の場合、半分は仕込みが終わった段階から調理に入ります。それが朝から全て仕込みということになれば、到底配達までに追いつきません。「今日は給食ありません」というわけにはいきませんから、アラートのおかげで助かりました。
―今後のACALAの活用方法は何かございますか?
ゆくゆくは、配送車1台ごとにACALAを設置したいです。現在これを実施しているところは、多分大手コンビニチェーンの1社ぐらいだと思います。配送車は冷房をかけているといっても、ドアを開け締めで温度が変化するので心配です。据え置きの冷蔵車であれば温度の記録が取れますが、車は動いていますから1台1台記録するのは大変ですから、これもiPadやパソコンなどの画面で管理できるということがわかれば、需要も増えると思います。安全のニーズはますます高まっています。お客様に安心を与えるという意味でもACALAを活用して管理していきたいと思います。
―貴重なお話をありがとうございました。
私達が伺ったのはちょうど午前中の調理が一段落した時間帯でした。2階の休憩室から調理場を拝見させていただいたところ、排水溝まで丁寧に清掃されているスタッフの姿が見えました。こうした食の安全に対するひとりひとりの認識と行動が、おいしいお弁当をお届けするベースにあることを実感しました。ACALAをはじめとした温度管理システムの開発で弊社もその一翼を担えるよう、より一層精進致します。これからもどうぞよろしくお願いいたします。