HACCP対応に必須の芯温(中心温度)計測の注意点&流れ
調理食品は、熱が通っているかを確認するために芯温計測が行われます。HACCPではこの工程がCCPとして設定されるケースが多いですね。しかし、この正しい方法が守られていないケースは少なくありません。そこで今回は、芯温計を使った食品の芯温度の測り方や、各調理方法における中心温度測定の流れをご紹介します。
芯温計使用時の注意点
芯温計のセンサーの感温部は、棒状の素線と先端の素子によって成り立ちます。計測対象の食品から素子に温度が伝わると、それが素線に流れ、温度計本体へ電気信号として伝わるという仕組みです。
素線は外部の温度の干渉を受けにくいように作られている芯温計が多いですが、それでも空気の干渉を受けないわけではありません。つまり、食品に挿された素子は温まるものの、長時間挿しっぱなしにした後で温度を確認したり、芯温計の挿し込みが少ないと、測定した温度は温度計本体に伝わるまでの間に、温度が低下してしまう恐れがあります。
こうした注意事項があるため、中心温度を測定する際には、しっかりと深く芯温計を挿し込み、速やかに温度を記録することが重要です。
● 厚みのない食材はどうする?
すべての食材がある程度の厚みを持っていれば、芯温計を深く挿入することもできるでしょう。一方、ステーキや唐揚げといった、厚みがそこまでない食品の場合、挿入の長さを確保しにくい状況です。
こうした場合は、芯温計のセンサーの先端が食品の中心部に位置するよう調整します。素線部分が外気に当たってしまいますが、止むを得ないと判断します。なお、鉄板やフライパンなどの上で計測ができれば熱源も近く、周囲の温度も高いので計測誤差も起こりにくくなります。
一方、芯温計のセンサーの先端が食品を突き抜けてしまうような状態では、周囲の温度がいくら高くても正しい温度測定はできません。必ず最も厚みのある部分に挿入するようにしてください。
● 挿入する方向・角度にも注意
芯温計を食品に挿入する場合には、方向・角度にも注意しましょう。これは測定の精度のためではなく、商品としての仕上がりに関わる部分です。
例えばハムの場合。カット方向に対して直角に芯温計のセンサーを挿入すると、カットした際にセンサーの挿入跡がすべての切り口に現れてしまいます。穴が連ならないようにするには、カットの方向に対して平行に芯温計のセンサーを刺すのがポイントです。
加熱調理食品の中心温度測定の流れ
芯温計を用いて、代表的な加熱調理食品の中心温度を測る流れの一例をご紹介します。
● 揚げ物
1.油温が設定温度以上であることを確認します
2.調理開始時の時刻を記録します
3.調理途中で食品の中心温度を3点以上測定します。すべてが75℃以上であることを確認したら、温度を記録してください。
4.さらに1分間加熱します(二枚貝など、ノロウイルス汚染の恐れがある食品は85〜90℃で90秒以上加熱)
5.加熱処理時間を記録する
なお、1〜4の作業を繰り返す場合は、必ず油温を確認してください。温度が低い状態での加熱調理は厳禁です
●焼き物および蒸し物
焼き物および蒸し物の調理・温度測定は、揚げ物と同じ流れです。
1.調理開始時の時刻を記録します
2.調理途中で食品の中心温度を3点以上測定します。すべてが75℃以上であることを確認したら、温度を記録してください。
3.さらに1分間加熱します(二枚貝など、ノロウイルス汚染の恐れがある食品は85〜90℃で90秒以上加熱)
4.加熱処理時間を記録する
なお、同一の作業を繰り返す場合は、中心温度の測定箇所を“もっとも熱が通りにくい箇所”の一点に絞って構いません。
● 煮物および炒め物
煮物および炒め物は、順序が大切です。はじめに食肉類の加熱を優先しましょう。また、冷凍された食品を用いる場合は、しっかりと解凍した上で調理をしてください。
1.もっとも熱が通りにくい食材の中心温度を3点計測します。すべてが75℃以上であることを確認したら、温度を記録してください。
2.さらに1分間加熱します(二枚貝など、ノロウイルス汚染の恐れがある食品は85〜90℃で90秒以上加熱)
なお、中心温度の測定が難しい食材の場合は、調理釜の中心付近の温度を3点以上(煮物の場合は1点以上)測定します
『ACALA FT』で記録を自動化
上記でご紹介したとおり、中心温度測定という場面においても“記録”という作業は非常に大切です。一方で、芯温計を確認し、ペンを持ち替えて紙へ記入、調理をしてまた測定をして−−を繰り返すのは非効率的。煩雑さから、手順を省略したくなるかもしれません。
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まとめ
HACCP対応をすすめる中では、どうしても現場の作業量や管理業務が増えてしまいます。こうした状況の中、温度管理システムを整備することでHACCP対応、食品の安全性を担保することは、食品事故を防止するだけでなく、現場スタッフの労務負担軽減にもつながります。芯温計は正しく丁寧に行いつつ、自動化できる部分は自動化して、より良い厨房環境を整えましょう。