食品衛生資格の取り方完全ガイド|5つのステップで解説
飲食店の開業には「食品衛生責任者」の資格が必須ですが、「何から手をつければいい?」「時間はどのくらいかかる?」「費用はどれくらい?」など、疑問や不安を感じていませんか? 本記事では、食品衛生責任者の資格の取り方を5つのステップでわかりやすく解説します。 さらに、資格取得後の日々の衛生管理(HACCP)の重要なポイントや、面倒な作業を自動化して本業に集中できる便利なツールまでご紹介します。 開業への第一歩となる資格取得を確実にクリアしましょう。
食品衛生責任者の資格とは?取得が必要な理由
食品衛生責任者がどのような資格なのか、その基本を理解しましょう。
食品衛生責任者は、食中毒などを防ぎ、お店の食の安全を守るためのリーダーです。飲食店などの開業には、食品衛生責任者を持つ人を必ず1名置くことが法律で定められています。
この章では、食品衛生責任者の役割や責任、資格が必要となるお店の種類、混同されがちな「食品衛生管理者」との違いを解説します。
食品衛生責任者の役割と責任
食品衛生責任者の役割は食品衛生法によって定められており、職場全体の衛生レベルを維持・向上させる責任を負います。万が一食中毒が発生すれば、営業停止などの行政処分に加えて社会的信用を失えば存続自体が危うくなるため、重要な任務です。
具体的には、以下のような多岐にわたる役割と責任を担います。
- 施設の衛生管理
- 従業員の衛生教育
- 食品の衛生的な取り扱い
- 衛生管理計画の作成と記録の確認
- 保健所との連携
上記のように、食品衛生責任者は単なる資格名ではなく、職場の「食の安全」を守る司令塔としての実務が求められます。この役割を正しく理解して、業務にあたることが大切です。
資格が必要な業種・店舗の種類
食品衛生法に基づき、食品を製造・調理・販売するほとんどの営業施設で、食品衛生責任者を設置することが義務付けられています。
食中毒などのリスクは、事業の規模に関わらず発生する可能性があります。
食品衛生責任者の資格が必要となる主な業種は以下の通りです。
- 飲食店営業:レストラン、カフェ、居酒屋、ラーメン店、仕出し弁当屋など
- 喫茶店営業:アルコール以外の飲料や菓子を提供する店舗
- 菓子製造業:パン屋、ケーキ屋など
- 食肉・魚介類販売業:精肉店、鮮魚店など
- そうざい製造業:惣菜店など
この他にも、乳類販売業や氷雪販売業など、対象となる業種は多岐にわたります。
上記の業種は、営業許可申請の必須項目ですので、できるだけ早い段階で資格取得を進めましょう。
食品衛生責任者と食品衛生管理者の違い
「食品衛生責任者」と「食品衛生管理者」は似ていますが、両者は明確に異なる資格です。
一般的な飲食店に必要なのは「食品衛生責任者」であり、「食品衛生管理者」は大規模な食品工場などで必要とされる、より専門的な資格です。
対象となる施設の規模や、製造する食品の食中毒リスクの高さに応じて、法律で求められる衛生管理のレベルが異なるため、2つの資格は区別されています。
両者の主な違いは以下の通りです。
| 比較項目 | 食品衛生責任者 | 食品衛生管理者 |
| 主な設置場所 | 一般的な飲食店、小売店など | 全粉乳、食肉製品、冷凍食品などの大規模な製造・加工施設 |
| 役割 | 店舗単位での衛生管理 | 製造工程全般における高度な衛生管理・監督 |
| 資格取得方法 | ・養成講習会の受講
・調理師、栄養士等の資格保有 |
・医師、獣医師等の資格保有
・大学で指定科目を修了し実務経験を積む など |
一般的な飲食店の開業を目指す場合は、「食品衛生責任者」の資格取得に集中すれば問題ありません。次の章で、具体的な取得方法を解説します。
【食品衛生責任者】資格の取り方5ステップ

この章では、食品衛生責任者の資格の具体的な取り方を、5つのステップにわけて解説します。
「受講資格の確認」から「修了証の受け取り」まで、この手順通りに進めるだけで、誰でも迷わず資格を取得できます。
申し込み方法や必要な書類、費用についても詳しく説明するので、資格取得までの全体像を掴みましょう。
ステップ1:受講資格の確認と必要書類の準備
最初のステップは、講習会の受講資格を確認し、申し込みに必要なものを準備することです。
食品衛生責任者の養成講習会は、基本的に17歳以上(高校生を除く)であれば学歴や実務経験を問わず誰でも受講できます。
ただし、栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格を既に持っている場合は、講習会が免除されるため、自身が該当するか事前に確認しましょう。
講習会の申し込みに一般的に必要なものは以下の通りです。
- 受講申込書:各都道府県の食品衛生協会のウェブサイトからダウンロードできる
- 受講料:地域により異なり、10,000円前後が目安
- 本人確認書類(当日持参):運転免許証やマイナンバーカードなど
自身の地域の食品衛生協会のウェブサイトを確認し、申込書をダウンロードするなど、事前準備を進めておくと手続きがスムーズです。
ステップ2:食品衛生責任者養成講習会の日程確認
次に、居住地域の食品衛生協会のWebサイトで、開催される講習会の日程と会場を確認します。
講習会は定期的に開催されていますが、人気の会場や時期はすぐに定員に達することがあります。開業スケジュールに影響が出ないよう、できるだけ早く日程を確認し、予約することが重要です。
ウェブサイトを確認し、開業スケジュールと照らし合わせながら、受講可能な日程をいくつか候補としてリストアップしておきましょう。
ステップ3:講習会の申し込み手続き
受講したい講習会が決まったら、速やかに申し込み手続きを行います。多くの協会では、インターネットか郵送で申し込みが可能です。
- インターネット申し込み:協会のウェブサイトにある申込フォームに、必要事項を入力して送信。入力完了後、受付完了メールが届く
- 郵送申し込み:ウェブサイトから申込書を印刷・記入し、指定された宛先に郵送する
手続きを後回しにすると、希望の回が満席になってしまう可能性があります。24時間いつでも手続き可能なインターネット申し込みは、開業準備で忙しい方にとって便利です。スマートフォンからでも簡単に申し込める場合が多いです。
ステップ4:受講料の支払い方法
申し込みが完了したら、指定された方法と期日に従って受講料を支払います。*
受講料の支払いが完了して初めて、受講資格が確定します。支払い忘れにより申し込みが無効になるケースもあるため、注意してください。
主な支払い方法は、以下から選べます。
- 銀行振込
- コンビニ決済
- 現金書留で郵送
申込完了メールや案内状が届いたら、すぐに支払い方法と期日を確認し、忘れないうちに対応しましょう。支払い完了の証明となる領収書や振込明細は、念のため講習会当日まで保管しておくことをおすすめします。
ステップ5:講習会当日の流れと修了証の受け取り
講習会当日は、6〜7時間程度の講義を受けます。この講義の目的は、食品衛生に関する知識を正しく習得することです。
講習会は主に以下の内容で構成されます。
- 衛生法規:食品衛生法などの関連法令について
- 公衆衛生学:感染症対策や環境衛生などの基礎知識
- 食品衛生学:食中毒の原因と予防法、HACCPの考え方など、最も実践的な内容
全講義終了後、テストを経て「食品衛生責任者手帳(修了証)」が交付され、資格取得となります。
テストは講義内容の理解度を確認するものであり、真面目に受講していれば合格できる内容ですので、心配はいりません。
取得した修了証は、保健所への営業許可申請で必要となる重要な書類です。紛失しないよう大切に保管してください。
資格取得はスタートライン!HACCPに沿った日々の衛生管理が重要
無事に資格を取得できても、それは安全な店づくりのゴールではなくスタートラインです。この章では、資格取得後に実践すべき、「HACCP」の考え方に沿った日々の衛生管理の重要性について解説します。
特に、HACCPで最も重要かつ手間のかかるのが、冷蔵庫などの「温度管理と記録」です。そのポイントを解説するとともに、面倒な作業を自動化し、人的ミスを防ぎながら本業の調理に集中できる温度管理システム「ACALA」をご紹介します。
HACCPの考え方に沿った衛生管理とは?
HACCP(ハサップ)とは、食品の製造工程で発生しうる危害要因をあらかじめ分析し、それらを継続的に管理・記録することで製品の安全を確保する衛生管理手法のことです
2021年6月から、「HACCPに沿った衛生管理」が全ての食品事業者に義務化されました。これは、問題発生後の対応ではなく、発生前の予防に重点を置くことで、より高いレベルで食の安全を確保することを目的としています。
小規模な飲食店では、業界団体が作成した手引書を参考に、簡略化されたアプローチで取り組むことが認められています。具体的に行うことは以下の2点です。
- 衛生管理計画の策定:「冷蔵庫の温度を毎日始業時に確認する」など、お店の実態に合わせた衛生管理のルールを決める
- 計画の実行と記録:策定した計画に沿って日々のチェックを行い、その結果を記録表などに記入・保管する
厚生労働省のウェブサイトで公開されている業種別の手引書を参考に、自店に合った衛生管理計画を作成することが、HACCP対応の第一歩となります。
最も重要で手間がかかる「温度管理」のポイント
HACCPに基づく衛生管理の中でも、特に重要かつ日常的な負担となりやすいのが、冷蔵庫・冷凍庫の「温度管理と記録」です。
多くの食中毒菌は、特定の温度帯で増殖します。そのため、食材を食中毒菌から守るには、冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下といった基準温度を常に維持することが重要です。
手書きによる従来の温度管理には、以下のような課題が潜んでいます。
- 手間と時間的コスト
- ヒューマンエラーのリスク
- 異常発見の遅れ
これらの課題は、食の安全を脅かすだけでなく、経済的な損失にも直結します。この負担とリスクを軽減する効果的な方法として、次の章で紹介するシステムの導入が注目されています。
温度管理システム「ACALA」がおすすめ
HACCPで求められる面倒な温度管理と記録の作業を自動化し、業務負担を大幅に軽減できるのが、温度管理システム「ACALA(アカラ)」です。
「ACALA」は、冷蔵庫などに設置した無線センサーが24時間365日、自動で温度を計測し、クラウド上に記録するIoTシステムです。これにより、手作業に起因する記録の手間やミス、リスクを根本から解決できます。
例えば、以下のようなメリットがあります。
- 記録業務の完全自動化:従業員はコア業務に集中できる
- 24時間体制の遠隔監視:設定温度から外れた場合は、即座にアラート通知
- 信頼性の高いデータ管理:監査にも正確な記録としてスムーズに提出可能
- 導入しやすい価格体系:初期費用0円、月額費用のみで利用を開始できる
「ACALA」は、日々の衛生管理の負担を軽減するだけでなく、食の安全レベルを向上させ、店舗の信頼性を高めるための強力なツールです。まずは公式サイトで詳細を確認し、資料請求を検討してみてください。
まとめ
本記事では、食品衛生責任者の資格の取り方を5つのステップで解説し、さらに資格取得後のHACCPに沿った衛生管理の重要性についてもお伝えしました。
衛生管理責任者の資格取得に不安を感じていたかもしれませんが、手順はそれほど難しいものではありません。
また、日々の衛生管理で重要となる温度管理も「ACALA」のような便利なツールを使えば、負担を軽減できます。
まずは、居住地域の食品衛生協会のWebサイトで講習会の日程を確認し、衛生責任者の資格取得への一歩を踏み出し、新規事業の成功を実現させましょう。
