

温度管理ならデータロガーがおすすめ!メリットや選定ポイントを解説

厳密な温度管理はさまざまな現場で必要とされています。 温度管理を支えるツールとして広く知られているのがデータロガーです。データロガーは、具体的な使用方法、メリットや注意点、効率的な方法などを理解した上で導入しましょう。 本記事では、データロガーの基本的な知識、使い方や仕組み、メリットと注意点、選定ポイントを解説します。より精度の高い温度管理を実施するためにも、ぜひご一読ください。
温度管理で使用するデータロガーとは?基本的な使い方と仕組み
温度管理の現場で使用されるデータロガーですが、スムーズに導入し効果的に活用するためにも、使い方や仕組みを把握しておくことが大切です。
ここでは、データロガーの基本的な概要と、基本的な使い方のステップ、その仕組みについて解説します。
データロガーとは?
データロガーとは、特定の期間にわたって温度、湿度、電圧、圧力などの物理的・電気的データを自動的に測定し、内蔵メモリに記録する電子機器のことです。設定した間隔で温度を継続的に記録することにより、品質管理や安全基準の遵守に役立ちます。
食品業界や医薬品業界などでは、製品の品質と安全性を担保するために、製造・保管・輸送の各過程で精密な温度管理が法律やHACCPなどによって義務付けられています。
手作業による記録ではヒューマンエラーのリスクや記録漏れの可能性がありますが、データロガーを使用することで、これらのリスクを低減し、客観的で信頼性の高いデータを継続的に収集できます。
データロガーの基本的な使い方
温度管理で使用するデータロガーの基本的な使い方は、機種によって多少の違いはありますが、多くのものが以下のステップで進められます。
・電源に接続する
データロガーは、内蔵バッテリーまたはACアダプターやUSB給電で作動します。バッテリータイプの場合は、使用前に十分な残量があるか確認しましょう。
・設定を行う
設定項目としては、記録間隔、記録開始・終了日時、アラームを発する上限・下限温度、測定チャンネルなどがあります。
最近では Bluetooth対応機種など、スマートフォンやタブレットから無線で設定できるものも増えています。
・測定対象のセンサーを接続する
データロガー本体に温度センサーを接続します。センサーには、本体内蔵型、外付けプローブ型などがあります。特に高温や低温など特殊な環境を測定する場合は、測定対象に適したセンサーを選ぶことが大切です。
・測定を開始する
本体のスタートボタンを押すか、ソフトウェア上で開始指示を出すことで記録が始まります。スケジュール設定により、指定した日時に自動で測定を開始・終了する機能を持つ機種もあります。
・データを取り出して解析する
データロガーから記録データを取り出します。USB接続でPCにデータをダウンロードしたり、Bluetooth対応であれば無線で転送したりします。
取り出したデータは、専用ソフトウェアやExcelなどの表計算ソフトでグラフ化し、温度変化の傾向分析、異常値の確認、レポート作成などに活用します。
データロガーの仕組み
温度管理に使用する データロガーがどのようにして温度を記録しているのか、その基本的な仕組みについて、アナログ方式とデジタル方式の2つに分けて解説します。
・アナログ方式
アナログ方式のデータロガーは、センサーが感知した温度変化を、連続的な電気信号として捉え、その変化を記録紙などにペンの動きなどで直接記録するものです。
・デジタル方式
現在主流のデジタル方式のデータロガーは、センサーが感知したアナログの温度情報を、A/D(アナログ/デジタル)コンバーターという電子部品を使ってデジタル信号に変換します。このデジタル化された温度データが、設定された記録間隔でデータロガー内部のメモリに数値として保存されます。
現在市場に出回っているデータロガーの多くはデジタル方式を採用しており、その精度や利便性から業務用途では主流となっています。
アナログ方式のメリットが特定の用途で活きる場合もありますが、一般的にはデジタル方式の製品を選ぶことで、より効率的で信頼性の高い温度管理が実現できるでしょう。
温度管理のデータロガーのメリットと注意点
温度管理のデータロガーを導入することは、多くのメリットをもたらしますが、同時にいくつかの注意点も存在します。ここでは、その両側面を具体的に解説していきます。
メリット
温度管理のデータロガーにはさまざまなメリットがあり、品質管理の精度向上や業務効率化、コスト削減に繋がるなどの効果が期待できます。
・長期的なデータ収集と保存ができる
温度管理のデータロガーは、設定した間隔で24時間365日、自動的に温度データを記録し続けることができます。これにより、人の手では困難な長期間にわたる温度変化の傾向や、夜間・休日など無人状態での温度状況も正確に把握できます。
・データの保管や管理が容易である
記録されたデータはデジタル形式で保存されるため、ファイリングや保管スペースに悩む必要がありません。PCやサーバーにデータを転送・バックアップすることで、紛失リスクも低減できます。また、過去のデータを検索したり、特定の期間のデータを抽出したりすることも容易で、監査時の資料提出にも迅速に対応可能です。
・さまざまな測定対象に対応している
温度管理のデータロガーは用途に応じて最適な製品を選ぶことで、より正確で効率的な温度管理が可能です。
熱電対タイプは高温または低温の環境測定に適しており、工業炉や特殊な冷凍庫などに活用されています。対して小型タイプは、限られたスペースや製品内部に設置できます。
危険な場所や手の届きにくい場所には安全かつ容易にデータ収集ができるBluetooth対応機種が、短期間の輸送時には使い捨てタイプが便利です。
注意点
温度管理のデータロガーは便利なツールですが、その効果を最大限に引き出すためには注意点を理解し、適切に対処する必要があります。
・設置する際は適切な場所を選ぶ
データロガーのセンサーは、測定精度に影響するため、測定したい対象の温度が安定する場所を選ぶ必要があります。
直射日光や熱源の近く、振動の多い場所は避けるべきです。冷蔵庫内の温度測定では扉付近や冷気の吹き出し口の直下や壁際などは温度が安定しなかったり、庫内全体の平均温度と異なったりすることがあるため、注意しましょう。
・メンテナンスと校正を行う必要がある
データロガーも精密機器であるため、定期的なメンテナンスが必要です。長期間使用していると、センサーの劣化や環境変化により、測定値にわずかな誤差(ズレ)が生じてくることがあるため、校正が重要になります。
ズレを放置すると、信頼性の低いデータに基づいて管理を行うことになり、重大な品質問題に繋がりかねません。
・データ管理と分析が必要になる
データロガーは自動でデータを収集してくれますが、収集したデータをそのまま放置していては意味がありません。
定期的にデータを確認し、設定した管理基準値からの逸脱がないか、異常な温度変化の傾向がないかなどを分析し、問題があれば速やかに対策を講じる必要があります。
また、収集したデータを品質改善活動やHACCP文書の記録として活用していく体制づくりも重要です。
温度管理のデータロガーの選定ポイント
温度管理のデータロガーといっても、市場には多種多様な製品が存在します。自社の目的や環境に最適な一台を選ぶためには、次の選定ポイントを押さえておく必要があります。
・測定対象と範囲
測定対象や管理する温度範囲を明確にすることが大切です。一般的な冷蔵庫(0~10℃)、冷凍庫(-20℃前後)、あるいは加熱殺菌工程(100℃以上)など、対象によって求められる測定範囲は異なります。測定対象が空気か、液体か、固体の表面かによっても適切なセンサータイプが変わってきます。
・保存容量
必要な記録期間と測定間隔から、十分な容量を持つ製品を選ぶことが大切です。測定間隔を短くすればするほど、また記録期間を長くすればするほど、多くのメモリ容量が必要になります。データがいっぱいになった際の動作も確認しておくと良いでしょう。
・精度
HACCPやISOなどの品質管理基準で求められる測定精度を満たしているかを確認する必要があります。一般的に、食品管理では±0.5℃~±1.0℃程度の精度が求められることが多いですが、より厳密な管理が必要な場合は高精度な製品を選定します。製品仕様書に記載されている精度表示をしっかり確認しましょう。
・操作性
設定のしやすさ、データの取り出し方法(USB、SDカード、Bluetoothなどの無線通信)、表示画面の見やすさ、ソフトウェアの使い勝手などを考慮しましょう。
これらの選定ポイントを総合的に比較検討し、自社のニーズや予算に最も合致するデータロガーを選び出すことが大切です。可能であればデモ機を試用してみるなどして、実際の使用感を確かめてみることをおすすめします。
まとめ
データロガーは温度管理の自動化に有効ですが、リアルタイムでの監視や異常検知、データ回収の手間といった課題があります。
これらの解決策として、ACALAのようなリアルタイム遠隔監視システムの導入がおすすめです。ACALAは、温度データを自動でクラウドに収集し、いつでもどこでも状況を確認でき、異常時はアラート通知を受け取れます。より確実で効率的な温度管理体制づくりに役立ちますので、ぜひ導入をご検討ください。

