2025.04.18.Fri

停電で業務用冷蔵庫が止まったら?対処法を紹介

自然災害などにより突然停電したときに困るのが、冷蔵庫の温度上昇です。保存している食品が傷んで使えなくなってしまう事態は、できれば避けたいものです。そこで本記事では、停電に遭遇した際の業務用冷蔵庫における対処法をご紹介します。停電に備えた対策についても取り上げるので、万が一の事態が起きても落ち着いて対応できるように準備を整えておきましょう。

業務用冷蔵庫における停電時の対処法

突然の停電に遭遇した際の業務用冷蔵庫への対応手順は、以下のとおりです。

①ブレーカーを切る、または電源プラグを抜く。

②電源の復旧を確認したら、機器ごとに1分以上間隔をあけて電源を入れる。

これは、業務用冷蔵庫や冷凍庫を含めた機器類を正常に復旧させるための対応です。電力が回復したあとに冷蔵庫やそのほかの機器の電源を一斉に入れると、店舗や調理施設全体のブレーカーが落ちる可能性があります。また、許容量以上の電流が流れて機器類が故障する原因にもなりかねません。

とくに店舗の営業時間中などであれば、急いで機器を復旧させようと焦ってしまいがちです。しかし、冷蔵庫を含む機器類は一斉に電源を入れないように注意しましょう。

停電時の業務用冷蔵庫で気になるのは、庫内の温度上昇です。冷蔵庫の冷却機能が作動していなくても一定時間は庫内の温度を保てますが、時間が経つと温度は上昇してしまいます。家庭用冷蔵庫であれば、2〜3時間程度は温度を保てるとされています。しかし、業務用冷蔵庫はサイズにより温度を保てる時間が異なるため、目安時間を一概に示すことはできません。

停電から復旧したら、必ず庫内の温度を確認しましょう。庫内温度が上昇していると雑菌が繁殖しやすくなり、食中毒のリスクが高まります。冷蔵庫や冷凍庫に保管していた食品の安全性が確保できない場合、その食品は調理や製造に使用せずに破棄してください。

次の表は、「大量調理施設衛生管理マニュアル」に掲載されている主な食品の保存温度です。停電時はこの温度を目安に食品の安全性を判断しましょう。

食品名 保存温度
バター、チーズ、練乳 15℃以下
生鮮果実・野菜 10℃前後
食肉、食肉製品 10℃以下
魚肉ソーセージ、かまぼこ
固形油脂(ラード、マーガリン、ショートニングなど)
殻付卵
乳、濃縮乳、クリーム
液卵 8℃以下
生鮮魚介類、生食用鮮魚介類 5℃以下
冷凍食品、冷凍食肉製品、冷凍魚肉ねり製品 -15℃以下
凍結卵 -18℃以下

出典:厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」

停電時に業務用冷蔵庫の温度を保つには?

停電時に業務用冷蔵庫の温度上昇を防ぎ、できるかぎり低温に保つには、以下の方法を試しましょう。

 

  • 冷蔵庫に氷や保冷剤を入れる
  • 冷蔵庫のドアの開閉を極力避ける

 

氷や保冷剤を入れる際、冷蔵庫の一番上の棚に置くのがポイントです。冷気には上から下へ流れる性質があるので、効率的に冷蔵庫内を冷やせます。氷や保冷剤は、溶けると水滴が付いて庫内が水浸しになるおそれがあるため、新聞紙やタオルを敷いておきましょう。

停電になると、冷蔵庫の中に保存している食品の状態が気になります。しかし、冷蔵庫のドアを何度も開閉していると保冷効果が弱まり、庫内温度が上昇してしまいます。氷や保冷剤を入れるなどの対処をしたあとは、温度を保つためにドアの開閉をできる限り控えてください。

「食品をクーラーボックスに移した方がよいのでは?」と思う方もいるでしょう。しかし、停電してから食品をクーラーボックスへ移すことはおすすめできません。

クーラーボックスの役割は断熱であり、冷蔵庫のような冷却機能はありません。そのため、氷や保冷剤を入れてもクーラーボックスの中が冷えるまでには時間がかかります。食品をクーラーボックスへ移動させたとしても、中の温度が下がるまでの間に食品の劣化が進むおそれがあります。

冷蔵庫内の食品は、クーラーボックスへ移動させるよりも、ドアを開閉せずに庫内に置いた方が安全性を保てるでしょう。

停電に備えてできる対策

 

ここからは、業務用冷蔵庫の停電対策におすすめの方法を紹介します。いざ停電が起きても慌てないように、しっかりと準備しておきましょう。

ポータブル電源や蓄電池を用意する

病院やショッピングモールなどの施設には、蓄電池や自家発電装置が備えられています。そのため、施設内の調理場や飲食店であれば停電しても電力が供給されるでしょう。しかし、これらの設備がない場合は、ポータブル電源や蓄電池を用意しておくと安心です。

ポータブル電源と蓄電池はどちらも電力を供給できる装置ですが、さまざまな点で違いがあります。

ポータブル電源とは、大型のバッテリーを内蔵した持ち運び可能な電力供給装置です。スマートフォンの充電に使用するモバイルバッテリーも、ポータブル電源の一種です。大型のポータブル電源はコンセントの差し込み口を備えており、パソコンや扇風機などの家電を動かせます。出力が大きなポータブル電源であれば、冷蔵庫への電力供給も可能です。

一方で、蓄電池とは、リチウムイオン電池や鉛電池などを内蔵し、化学反応により生じた電気をエネルギーとして取り出す装置です。ポータブル電源よりも大容量であり、住宅や施設などの停電対策として備え付けられることが少なくありません。

どちらも非常時の電力供給に便利な装置ですが、デメリットもあります。ポータブル電源はバッテリー容量が限られるため、長時間の停電には対応できない可能性があります。蓄電池はポータブル電源とは異なり持ち運べず、設置にある程度のスペースが必要です。

導入にかかるコストや管理の手間なども考慮して、どちらを利用するか検討しましょう。

ドライアイスを手配する

あらかじめ停電する日時や期間が定まっている計画停電であれば、ドライアイスを用意するのもよいでしょう。

ドライアイスとは、二酸化炭素に圧力をかけて冷却し、個体にしたものです。-78.5℃と極めて低温であるため、食品の保冷に有効です。

ドライアイスは、正しく取り扱うことで、氷や保冷剤よりも長時間低温を保てます。保冷効果を長く持続させるには、ドライアイスを新聞紙やタオルで包みましょう。また、ドライアイスを細かく砕くと、溶けてなくなるまでの時間も早くなります。反対に、大きなブロックのまま使用すれば持続時間は長くなります。

溶けると液体にならずに気化することも、ドライアイスの特徴のひとつです。氷や保冷剤は溶けると水滴が付いて水浸しになるおそれがありますが、ドライアイスであればそのような心配はありません。

氷や保冷剤と同様にドライアイスの冷気も上から下へ流れるため、冷蔵庫の上段に配置しましょう。冷蔵庫のドアの開閉を控えることも大切です。また、ドライアイスを置く場所が食材に近すぎると、冷気により凍ることがあるため注意しましょう。さらに、ドライアイスを扱う際は厚手の手袋などを着用し、素手で触らないようにしてください。

まとめ

業務用冷蔵庫における停電時の対処法を知っておけば、急に停電しても焦ることなく対応できます。とはいえ、氷や保冷剤で対処しても庫内温度は徐々に上昇します。電源復旧後、食品の安全を即座に判断できるように、日頃から適切な温度管理を行っておきましょう。

日常の業務用冷蔵庫の温度管理は「ACALA MESH」の利用がおすすめです。「ACALA MESH」とは、冷蔵庫や冷凍庫の温度管理を自動化できるIoTシステムです。冷蔵・冷凍庫に設置したセンサーにより1分ごとに計測された温度データは、自動的にクラウドサーバに保存されます。施設や店舗外でも温度を確認できるうえに、アラート機能により異常温度にもすぐに気付けます。

平常時の温度管理を効率化したいと考えている方は、「ACALA MESH」の導入を検討してみてください。