2025.04.11.Fri

病院のDX化とは?メリットと課題を解説

病院におけるDX化とは、デジタル技術の活用により医療サービスや医療のあり方を改善する取り組みを指します。病院を含む医療業界では早急なDX化が求められていますが、ほかの業界に比べて推進が遅れているのが現状です。本記事では、病院のDX化における主な取り組みとメリット、病院のDX化を進めるうえでの課題について解説します。

病院のDX化における主な取り組み

まずは、病院のDX化によって進められる主な取り組みを紹介します。

オンライン予約

これまで、病院の診療予約は対面や電話によりおこなわれていました。しかし、DX化を進めるとオンラインでの受診予約が可能になります。都合が悪くなり受診できなくなった場合でも簡単にキャンセル手続きができるため、無断キャンセルの削減にもつながるでしょう。

また、問診票もオンラインで事前に入力できるようになれば、病院スタッフの手間が削減され、待合室での患者の感染リスクも低減されます。

オンライン診療

オンライン診療を導入すると、ビデオ通話やチャットなどのデジタルツールを利用して、遠隔で診断や治療をおこなえるようになります。自宅で計測した体重や血圧などの数値データを医師と共有すれば、より精度の高い診療が可能になるでしょう。

さらに、薬の処方が必要な場合でも郵送で手配できるため、患者が病院や薬局へ足を運ぶ必要はありません。

ペーパーレス化

病院では問診票やカルテ、処方箋、同意書などさまざまな書類が使われています。書類の使用には紙やインクの購入代がかかるだけではなく、書類の整理やプリンターの管理に人的コストがかかり、保管のために場所も取られます。

しかし、書類がデジタル化されると上記のコストが削減されるうえに、情報の管理が容易になり、すばやい閲覧や共有も可能になるでしょう。

診療報酬改定DX

これまでは、診療報酬が改訂されるたびに労力や費用をかけたシステム改修が必要で、病院の大きな負担となっていました。

しかし、DXの推進により病院のシステムに共通算定モジュール(診療報酬と窓口負担金を算定する全国共通の電子計算プログラム)が導入されると、診療報酬が迅速に更新されるため、病院の負担軽減につながります。

ビッグデータの活用

各医療機関は、診療記録や検査結果、診療報酬明細などの大量の情報を保有しています。これらの情報をビッグデータとして活用すると、治療法の研究や新薬の開発が進むことが期待できます。また、ビッグデータの分析により、疾患の早期発見や健康サポートの精度が高まれば、健康寿命の延伸や医療費の適正化も実現できるでしょう。

病院のDX化を進めるメリット

 

病院のDX推進は、患者や医療従事者だけではなく、病院の運営や組織体制にも好影響をもたらします。ここからは、病院でDX化を進めるメリットを紹介します。

医療品質の向上

これまで、医療情報はそれぞれの病院が個別に保有していました。したがって、患者の転院や福祉サービスの利用など、ほかの医療機関が情報を得るためには煩雑な手続きが必要で、スムーズな医療提供の妨げとなっていました。

しかし、医療情報がデジタル化されて情報共有が容易になると、ほかの医療機関と連携しやすくなり、迅速な医療の提供が可能になるでしょう。

また、ビッグデータの活用により予防医療の開発が進めば、健康が増進されて病院の負担が軽減されます。すると、治療が必要な患者に集中して、より高度な医療を提供できるようになるでしょう。

患者の利便性改善

オンラインでの予約や問診票の記入、診療が可能になると、通院の手間や待ち時間が削減されて患者の利便性が向上します。

また、遠隔地での受診が可能になるため、医療機関が限られている地域に住む患者や移動が困難な患者でも、来院することなく医療を受けられるようになります。これは、地域による医療格差の是正にも役立つでしょう。

さらに医療情報の共有が進めば、別の病院を受診した際の再検査の必要性もなくなります。これは患者の負担軽減に加えて、スムーズな医療提供にもつながります。

業務効率化

医療機関には、診療報酬明細書の作成、医薬品や医療機材の在庫管理、患者の予約管理など、数多くの定型業務が存在します。ペーパーレス化や管理業務の自動化、オンライン予約などが進めば、仕事が効率化されて医療従事者の業務負担が軽減するでしょう。

また、これまで手作業や目視でおこなっていた書類の作成や確認などを自動化できれば、人的ミスを防げます。さらに業務時間の削減は、長時間労働の解消につながります。加えて、患者と向き合うことにより多くの時間を割けるようになるでしょう。

データの保存性向上

日本は台風や地震などの自然災害が多く、医療データを紙や自社サーバーのみで管理しているとデータを消失するおそれがあります。ライフラインである医療を維持するために、医療データの保護は重要です。

医療データをクラウド上で管理していれば、万が一、病院が被災した場合も医療データは守られます。したがって、災害時でも迅速な医療提供が可能になるでしょう。

コスト削減

病院での各種業務でDX化が進むと、さまざまなコストが削減されます。

ペーパーレス化により紙やインク、書類を綴じるファイルの購入費のほか、書類の管理にかかる人的コストも削減されるでしょう。業務効率化により労働時間が短縮されれば、残業代も少なくなり人件費が抑えられます。

昨今は厳しい経営状態にある病院が少なくありません。しかし、DX化によりコストダウンに成功すれば、経営状況の改善も見込めるでしょう。

病院のDX化における課題

病院におけるDXの推進には数々のメリットがあります。しかし、実際にDX化が進んでいないのは、それを阻む課題が存在しているためです。ここで、病院のDX化における課題も確認しておきましょう。

IT人材の確保

DX化にはデジタルツールの導入が欠かせません。したがって病院のスタッフにも、システムのメンテナンスやアップグレード、トラブルシューティングへの対応が求められます。なかには専門知識を要するシステムもあるため、ITスキルを十分に身につけた人材の確保や育成が必要になります。

デジタル格差の発生

病院のDX化により医療品質や利便性が向上しても、デジタルツールを使いこなせない人はその恩恵を受けられない可能性があります。

DXは地域による医療格差の是正に役立ちます。一方で、高齢者などのデジタルツールをうまく使えない人は、オンライン予約・診療などの活用が困難です。このように、すべての人に等しく提供されるべき医療において、デジタル格差が発生してしまうことが懸念されています。

高額な導入コスト

病院におけるDXはコスト削減に役立ちますが、その導入には莫大な費用がかかることが課題となっています。

デジタルツールの導入やスタッフの教育には一定のコストが必要です。そのため、経営不振でコスト削減が必要な病院ほどDXの推進が難しいのが現状です。政府は初期投資をサポートするための補助金制度を設けていますが、それでもなお、導入にかかる膨大なコストが病院のDX化を妨げているといえるでしょう。

セキュリティ管理の必要性

患者の個人情報や診療情報を含む医療データをクラウド上で管理するためには、セキュリティの強化が欠かせません。

情報の一元化はデータの管理や共有が容易になる一方で、ハッキングなどによる外部への情報漏洩リスクも高まります。医療情報のクラウド化を進めると同時に、セキュリティ対策の強化にも取り組むことが重要です。

まとめ

病院におけるDX化には、患者の医療体験や利便性の向上だけではなく、医療従事者の業務負担の軽減やコスト削減など、さまざまなメリットが期待できます。しかし、病院のDX化を阻む課題があることも事実です。

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