2024.10.07.Mon

持続可能な食品製造を考える!主な内容や国内企業の取り組み事例をご紹介

SDGsに代表される“持続可能性”は、食品製造業にとっても深い関連性があります。ここでは、持続可能な食品製造というテーマで、その主な内容や国内の取り組み事例をご紹介します。

持続可能な食品製造とは?

国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)は、2014年に第2回国際栄養会議(ICN2)を開催し、食料安全保障と栄養の確保における課題を議論しました。会議内では、気候変動を含むさまざまな要因により、食料の生産量や質、多様性に与える影響や、紛争や自然災害が食料供給を不安定にすることが強調されました。これにより、慢性的な飢餓が世界の1割程度の人々に対して及ぶリスクが高まるという警鐘が鳴らされています。

また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、世界の食料システムから排出される温室効果ガスは、全体の21~37%を占めています。そのうち8~10%は食品ロスと廃棄によるものです。さらに、農薬や化学肥料の使用、森林の減少なども環境に大きな負荷をかけています。

一方で世界の食料需要は増加の一途をたどっており、2050年には2010年比で1.7倍に達するとの予測もあります。これは人口増加に加え、新興国の経済成長に伴う畜産物需要の増加などが背景にあるようです。

こうした状況のなか、持続可能な食品システム構築の必要性が高まっています。2021年に国連が開催した「食料システムサミット」では、食料システムを変革することで人々と環境の間にある悪循環を断ち切ることが重要だと認識されました。また、国連事務総長は「食料システムの変革は、全てのSDGsを達成するために極めて重要である」と表明しています。

具体的には、以下の取り組みについての推奨が求められています。

  • 食品ロス削減とリサイクル
  • 環境配慮型パッケージの開発・導入
  • サステナブル原料の調達
  • 次世代技術の活用

持続可能な食品製造を実現する取り組みとは?

食品ロス削減とリサイクル

食品ロスの削減に向けた取り組みのひとつとして重視されているのが、需要予測と生産管理の最適化です。

正確な需要予測は適切な食品の生産・製造・流通につながり、売れ残りや過剰生産の防止に役立ちます。同時に、需要予想に基づく生産管理の最適化が実現すると、見込み生産の削減や規格外品の活用などもでき、食品ロスの低下に結びつくでしょう。

また、食品リサイクル法では食品廃棄物の発生を抑制・減量化しながら、その一部を飼料や肥料として再利用することが目的です。2024年度までに食品製造業では95%の再生利用目標が設定されています。このほかにも、フードバンクとの連携による余剰食品の有効活用など、さまざまな取り組みによって食品ロスの削減とリサイクルが推し進められています。

環境配慮型パッケージの開発

過剰包装とは、商品の保護や見栄えを目的として必要以上に多くの包装材を使用することを指します。資源の浪費や廃棄物の増加を招くことから、企業に対しては簡易包装の導入やリサイクル可能な素材の使用が求められました。また、政府主導によるレジ袋の有料化や紙ストローの利用など、さまざまな取り組みが推し進められています。

食品の属性や内部環境、保管・輸送状況を感知・監視する機能を備え、消費者に食品の状態をリアルタイムで知らせられるインテリジェントパッケージにも注目です。感知・監視機能に加え、ナノセンサーによる検知、食品の状態を知らせるインジケーターなどが組み込まれており、将来的な食品の品質、安全性、物流管理性を大きく向上させる技術として普及が期待されます。

サステナブル原料の調達

サステナブル原料とは、環境、社会、経済の持続可能性を考慮して生産される原料のことです。たとえば有機農産物や認証原料はその代表で、化学肥料や農薬の使用を削減し、環境負荷を軽減します。

途上国の生産者に公正な報酬を支払い、労働条件の改善や児童労働の防止を目指すフェアトレードも、サステナブル原料の調達のひとつです。生産者の生活水準が向上し、持続可能な生産環境が整います。

地産地消の推進と輸送距離の削減も重要です。地元の農産物を利用することで、輸送による二酸化炭素排出を削減し、環境負荷を低減します。また地域経済の活性化につながり、新鮮で高品質な食材が提供されます。これにより、地元農業の支援と持続可能な消費が実現されます

次世代技術の活用

前述の取り組みを実現するためには、次世代技術の活用が重要であり、とくにAIと自動化技術は、効率化と環境負荷軽減において大きなポイントです。

AIは、需要予測と生産計画の最適化に役立ちます。これにより、過剰生産や食品ロスが減少し、資源の無駄遣いを防げます。また、品質管理においても、AIはセンサーから収集したデータを解析し、リアルタイムで食品の品質を監視することで、安全性を確保します。

食品製造プロセスの自動化は、効率を向上させ、人為的ミスを減少させます。自動化されたラインは、一定の品質と生産スピードを維持し、エネルギー消費を最適化できます。例えば、包装工程の自動化は、包装材の使用量を減らし、環境負荷の低減に役立ちます。

製造業界におけるSDGsの取り組み事例

ここからは、実際にSDGsに取り組んでいる製造業の取り組み事例をご紹介します。

キッコーマン

キッコーマンは2030年に向けた「長期環境ビジョン」を策定し、CO2排出量を2018年度比で30%以上削減することを目標に掲げています。また水の使用量削減や排水管理の徹底など、水環境への配慮にも注力。さらに気候変動対策として、SBT(Science Based Target)の認定も取得しています。こうした取り組みを総合的に推進することで、バリューチェーン全体でのサステナビリティ向上を目指しています。

プリマハム

プリマハムは、環境に配慮した商品開発と食品ロス削減に力を入れています。例えば、長鮮度化技術を活用した商品で食品ロス削減に貢献したり、健康に配慮した商品ラインナップを拡充したりといった取り組みが代表例です。また2030年度までにCO2排出量を2021年度比で24.3%削減する目標も掲げており、省エネ設備の導入などにも力を入れています。

ネスレ

ネスレは、サステナブルな原料調達とリサイクルの推進に注力しています。カカオ豆や牛乳などの主要原料について、2030年までに100%をサステナブル調達に切り替える計画が打ち出されています。また、製品のプラスチック包材を100%リサイクル可能にすることや、バージンプラスチックの使用量を3分の1に削減する目標も発表しています。

タイムマシーン株式会社が取り組むSDGs

株式会社タイムマシーンは、持続可能な開発目標(SDGs)に賛同し、特に以下の6つの目標に対して積極的に取り組んでいます。主力サービスである温度管理システム「ACALAシリーズ」を通じて、環境、社会、経済の各側面で持続可能な取り組みを進めています。

SDGs目標 取り組み内容
SDG2
飢餓をゼロに
ACALAシステムが食品製造現場の温度を厳密に監視し、食品廃棄を防止。食品ロス削減と安全な食品供給に貢献。
SDG3
すべての人に健康と福祉を
ACALAシステムで食品の加熱処理の温度管理を行うことで、細菌増殖を防ぐ。食中毒リスクを低減し、消費者の健康と福祉を守る。
SDG7
エネルギーをみんなに
そしてクリーンに
冷蔵庫や冷凍庫、調理加工場の温湿度などを24時間365日モニタリング。最適な温度設定と適切なメンテナンスでエネルギー消費を抑制。
SDG8
働きがいも 経済成長も
温度監視の自動化により、従業員の作業負担を軽減。働きがいのある労働環境を提供し、経済成長に貢献。
SDG9
産業と技術革新の基盤をつくろう
初期費用ゼロの無線システムを提供し、中小規模の事業者でも利用可能。データ収集とAI技術を活用し、プラットフォームサービスを開発。
SDG12
つくる責任 つかう責任
PaaSモデルを採用し、ハードウェア販売を行わず、温度センサをリユース。モジュール化と耐用年数の長い素材でサーキュラーエコノミーに貢献。

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まとめ

ご紹介したとおり、現代の食品製造業においてSDGsへの取り組みは不可欠であり、持続可能な製造体制の実現も求められています。当社では、自動温度管理システム「ACALA」の提供で、食品ロスの削減に取り組む企業様をサポートいたします。温度管理に関するお悩みは、ぜひ当社までご相談ください。