業務用冷蔵・冷凍庫の選び方
業務用冷蔵・冷凍庫を買い替える際には、いくつかのチェックポイントを確認する必要があります。そこで今回は、業務用冷蔵庫の種類や選び方について解説します。
業務用冷蔵庫の種類
業務用冷蔵庫は、冷凍冷蔵庫と冷凍庫に大きく分けられます。
冷凍冷蔵庫は、冷凍と冷蔵の両方の機能が備わっており、ひとつの機器で両方の機能を使いたい際に適しています。ただし、冷凍と冷蔵の容量比率が異なるため、どちらの機能をより頻繁に使用するかを考慮し、選択する必要があります。
一方で、冷凍庫は名前の通り冷凍機能のみを持ちます。冷蔵機能がないため、より広い冷凍スペースが特徴です。冷凍機能を多く使用するような場合には最適といえます。
その他、以下のような種類についても知っておきましょう。
縦型冷蔵庫・縦型冷凍庫
冷蔵機能または冷凍機能のどちらか一方のみを持ち、縦型設計で省スペースなのが特徴です。とくに、厨房スペースが限られている店舗に適しています。
冷蔵機能のみを持つ縦型モデルは、野菜などを多く冷蔵保存する店舗に便利です。また、縦型冷凍庫は、より広い業務用冷凍ストッカーと比較して省スペースでありながら、多くの食材を収納できる点が特徴です。
縦型冷蔵冷凍庫
縦型の冷蔵庫で、冷蔵機能と冷凍機能の両方が備わっているタイプです。ドアの数や内部構造は製品によって異なります。
外見上は似たサイズであっても、冷蔵と冷凍のスペースの割合は製品ごとに異なるため、購入前には各容量を確認しましょう。また、保存する食材を考慮し、適切な容量のモデルを選ぶことが大切です。
横型冷蔵庫
横型冷蔵庫、別名コールドテーブルは、横長で低背のデザインをしており、天板を作業台として使用できるため、多くの店舗で採用されています。限られたスペースを効率的に利用するのに適しているのが特徴です。
縦型タイプと同じく、冷蔵庫のみ、冷凍庫のみ、または冷蔵・冷凍機能が統合されたモデルがあります。細かい仕様には違いがあるため、購入時には店舗での使用に適しているかを確認しましょう。
冷却方式による違い
冷凍商品の種類は多岐にわたり、保存期間や方法も商品によって様々です。半年程度と短期間保存の商品もあれば、もっと長期間保存する必要がある商品もあります。また、商品によっては異なる冷凍方法が適している場合もあります。それぞれを適切に保管するためには、冷却方式を踏まえた冷凍庫の選択が重要です。
直冷式冷凍庫 | 冷凍庫内の壁を冷やし、冷気を循環させるタイプ。冷蔵庫と同じ原理だが、温度差により着霜が生じやすく、定期的なメンテナンスが必要。 |
ファン式冷凍庫 | 風を冷却器で冷やし、その風で商品を冷やす。直冷式よりもゆるやかに冷却し、着霜が少ない。一方、冷凍焼けのリスクがあり、長期保存には不向き。 |
急速冷凍庫やブラストチラー
機能面の種類として、急速冷凍庫やブラストチターといった製品もあります。
ブラストチラーは、調理直後の熱い食品を迅速に冷却するために設計されています。食品から湯気が出る際に失われがちな水分、香り、色を保持し、食品の風味、色合い、おいしさ、栄養価を維持できます。また、細菌の増殖がもっとも活発になる10℃から65℃の温度範囲を迅速に通過させることで、食中毒のリスクを低減します。調理済みの食品の鮮度を長く保ち、廃棄ロスの削減にもつながります。
急速冷凍庫(ショックフリーザーとも呼ばれる)は、3℃程度まで冷却された食材を、さらに-18℃まで急速に冷凍できます。急速冷凍により、食品内の水分が細胞を破壊する前に凍結されるため、凍結前の味や食感が保持され、食品の品質が維持されます。旬の食材や安価な時期に仕入れた食材を長期間保存でき、コスト削減や食品廃棄の減少に貢献します。
業務用冷蔵庫を選ぶ際のチェックポイント
次に、業務用冷蔵庫選ぶ際に知っておきたいチェックポイントをご紹介します。
サイズから選ぶ
縦型冷蔵庫は多くのメーカーから販売されていますが、サイズの規格はおおよそ同様です。高さは約1,900mm、奥行きは650~900mm、横幅はドアの数によって600~1,800mm程度で変わります。設置する際は高さや横幅、ドアの開口寸法を考慮してください。
ドア数と開き方
横幅が狭いモデルは通常2ドアで、より広いモデルは4ドアや6ドアになります。ドアの開き方には片開きと観音開きがあり、4ドア以上のモデルでは観音開きが主流です。センターピラーレスタイプもありますが、価格は高め。使用場所や使い勝手を考慮して選びましょう。
設置・搬入の確認
業務用冷蔵庫を購入する際は、設置場所や搬入口のサイズの確認をしましょう。冷蔵庫の周囲には放熱スペースが必要で、観音開きタイプはドアの開閉スペースも考えておく必要があります。また、店舗内への搬入可能なサイズかどうかを確認することも重要です。
収納スペースの確認
定格内容積ではなく、実際の収納スペースの目安を確認しましょう。引き出しや棚を設置した状態での収納可能量を示す数値を見ておくことが重要です。
省エネ性能と清掃性
省エネ性能と清掃性は、業務用冷蔵庫選びで重要な要素です。冷蔵庫は常に稼働しているため、省エネ性能が高いモデルを選ぶことは、長期的に見てコスト削減につながります。また、冷蔵庫は食材を収納する機器であるため、日常的な清掃がしやすく、内部を清潔に保てるかどうかも確認してください。
電源の種類
冷蔵庫の電源タイプには、単相100Vと三相200V(スレート型やフック型)があります。小規模な店舗では、一般家庭と同じ単相100Vの電源でほぼ問題ありません。一方、規模が大きくなると、より電圧の高い200Vの製品が適している場合があり、厨房に200Vの電源が必要です。設置場所に200Vの電源がない場合は、購入前に電気工事が必要です。
冷却ユニットの位置
縦型冷蔵庫の冷却ユニットは上部に配置されていますが、横型冷蔵庫(コールドテーブル)では左右いずれかにユニットが配置されています。左側にユニットがあるタイプが多いですが、右ユニットの製品も存在します。価格に差はないものの、どちらが店舗で使いやすいかは設置場所や厨房のレイアウト、作業導線によって異なるため、使い勝手のよいほうを事前に想定しておきましょう。
まとめ
業務用冷蔵庫にはさまざまな種類があり、それぞれ適した用途があります。買い替えの際には、今回ご紹介したポイントをぜひ参考にしてください。
また、運用時には温度管理も重要です。記録の自動化と遠隔監視といった機能で効率化とリスク低減を考えるのであれば、ぜひ当社のクラウド型温度管理システム「ACALA」をご検討ください。