2023.03.14.Tue

食品事故発生時の対応と事前の基礎知識

食品事故は未然の防止がもっとも重要です。しかし、万が一発生してしまった場合には、早急な対策を講じる必要があります。そこで今回は、食品事故が発生してしまった場合の対応と、事前準備に関する基礎知識を解説します。

食品事故とは?

まずは食品事故とは何か?について、改めて見ていきましょう。

主に、以下の条件のいずれかに合致するものが、食品事故として扱われます。

  • 人体への被害がある場合
  • 人体への被害が拡大するおそれがある場合
  • 拡大防止のための必要な処置を講じる必要がある
  • 人体に被害を及ぼす可能性のある異物の混入、異味悪臭などの申し出があり、人体への被害が懸念される
  • 法令への重大な違反が判明する
  • 食品回収等などの行政命令や、提供元の企業による自主回収の判断があった場合
  • その他、事件性のある場合

このように、健康被害が発生するのはもちろん、その可能性がある場合も食品事故の範疇です。一定の危害が予想される場合には、適切な対応が求められます。

なお、食品事故が発生してしまうと、被害者への賠償だけでなく、外部からの信頼を大きく損なう結果が待ち構えています。事業自体に大きなダメージが与えられる可能性を少しでも減らすためには、事前準備が必要です。

食品事故に対応するためには、事前準備が大切

食品事故は、実際に発生してしまった場合に備え、事前に事故対応マニュアルを作成することが大切です。マニュアルは大きく、社内対応と社外対応の2種類に分けられます。

社内向け対応マニュアルのポイント

STEP 項目
1 対策本部の設置
2 初期対応
  • 社内・社外への事実確認
  • 事故内容や対象商品など、確認事項の整理
3 製品回収の判断
回収計画立案
  • スケジュールや担当組織など、改修計画に盛り込むべき内容の検討
4 原因究明
5 お客様窓口の設置など
6 従業員、派遣社員などへの対応

食品事故対応の肝は、社内対応と言っても過言ではありません。とくに上記の1~3については、迅速かつ確実な取り組みが求められます。この際、現場の混乱を防ぐには、詳細なマニュアルが必要です。確認が必要になる項目などが網羅的に記載されていれば、対応の抜け・漏れも避けられます。また、社内対応で得られた情報は、後述する社外向け対応にも活用されます。誤情報の報告を防止するためにも、適切なマニュアルづくりに取り組みましょう。

社外向け対応マニュアルのポイント

STEP 項目
1 被害者対応
  • 健康被害の発生した場合の対応
  • 健康被害が発生しなかった場合の対応
2 保健所等行政への対応
3 各種報道機関への対応 事実関係の情報開示
4 消費者対応
  • 消費者への情報開示
  • 告知情報の内容検討
5 取引先対応
  • 経緯概略、対象商品の報告
  • 対応方針についての説明
6 関係業界・団体への対応

社外向け対応マニュアルのポイント社外向けの対応は、被害者に向けた内容が第一です。実際の食品事故発生を想定し、トラブルを最小限に留められる方法を検討しましょう。その後の対応は、情報開示や報告、説明が主となります。社内対応を行うスタッフと密に連携しながら、正しい情報を元にした対応ができるよう、マニュアルの整備に努めてください。

マニュアルに沿った訓練も必要

マニュアルは完成して終わりではありません。実際の事故を想定した訓練を行いながら、内容をブラッシュアップしていく必要があります。また、ロールプレイングなどを通して経験値を積んでおけば、万が一事故が発生した際にも落ち着いて対応できるでしょう。