食品事故発生時の対応と事前の基礎知識
食品事故は未然の防止がもっとも重要です。しかし、万が一発生してしまった場合には、早急な対策を講じる必要があります。そこで今回は、食品事故が発生してしまった場合の対応と、事前準備に関する基礎知識を解説します。
食品事故とは?
まずは食品事故とは何か?について、改めて見ていきましょう。
主に、以下の条件のいずれかに合致するものが、食品事故として扱われます。
- 人体への被害がある場合
- 人体への被害が拡大するおそれがある場合
- 拡大防止のための必要な処置を講じる必要がある
- 人体に被害を及ぼす可能性のある異物の混入、異味悪臭などの申し出があり、人体への被害が懸念される
- 法令への重大な違反が判明する
- 食品回収等などの行政命令や、提供元の企業による自主回収の判断があった場合
- その他、事件性のある場合
このように、健康被害が発生するのはもちろん、その可能性がある場合も食品事故の範疇です。一定の危害が予想される場合には、適切な対応が求められます。
なお、食品事故が発生してしまうと、被害者への賠償だけでなく、外部からの信頼を大きく損なう結果が待ち構えています。事業自体に大きなダメージが与えられる可能性を少しでも減らすためには、事前準備が必要です。
食品事故に対応するためには、事前準備が大切
食品事故は、実際に発生してしまった場合に備え、事前に事故対応マニュアルを作成することが大切です。マニュアルは大きく、社内対応と社外対応の2種類に分けられます。
社内向け対応マニュアルのポイント
STEP | 項目 | |
1 | 対策本部の設置 | |
2 | 初期対応 |
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3 | 製品回収の判断 回収計画立案 |
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4 | 原因究明 | |
5 | お客様窓口の設置など | |
6 | 従業員、派遣社員などへの対応 |
食品事故対応の肝は、社内対応と言っても過言ではありません。とくに上記の1~3については、迅速かつ確実な取り組みが求められます。この際、現場の混乱を防ぐには、詳細なマニュアルが必要です。確認が必要になる項目などが網羅的に記載されていれば、対応の抜け・漏れも避けられます。また、社内対応で得られた情報は、後述する社外向け対応にも活用されます。誤情報の報告を防止するためにも、適切なマニュアルづくりに取り組みましょう。
社外向け対応マニュアルのポイント
STEP | 項目 | |
1 | 被害者対応 |
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2 | 保健所等行政への対応 | |
3 | 各種報道機関への対応 | 事実関係の情報開示 |
4 | 消費者対応 |
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5 | 取引先対応 |
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6 | 関係業界・団体への対応 |
社外向け対応マニュアルのポイント社外向けの対応は、被害者に向けた内容が第一です。実際の食品事故発生を想定し、トラブルを最小限に留められる方法を検討しましょう。その後の対応は、情報開示や報告、説明が主となります。社内対応を行うスタッフと密に連携しながら、正しい情報を元にした対応ができるよう、マニュアルの整備に努めてください。
マニュアルに沿った訓練も必要
マニュアルは完成して終わりではありません。実際の事故を想定した訓練を行いながら、内容をブラッシュアップしていく必要があります。また、ロールプレイングなどを通して経験値を積んでおけば、万が一事故が発生した際にも落ち着いて対応できるでしょう。