2019.09.20.Fri

自動温度管理・記録システムにおける連続データの重要性とは?

自動温度管理・記録システムを導入するひとつのメリットとして、連続データの取得が挙げられます。一定間隔ごとの温度を計測し蓄積することは、食品工場における安全性や適切な管理・運用の大きな助けとなるでしょう。こちらでは、なぜ連続データの取得が必要なのかを、データ欠損によるデメリットやリスクなどを踏まえながら解説していきます。

連続データが欠損することのデメリット・リスク

連続データの欠損は、食品工場に多くのデメリットとリスクをもたらします。以下で、その代表例をご紹介します。

● エビデンスとしての信用度が下がる

食品工場で記録された温度の計測データは、自社の管理体制を示すエビデンスとして役立ちます。たとえば取引先企業や行政機関等に工場内の管理体制を報告するシーンを考えてみましょう。この際、一定間隔ごとの計測データのなかに、頻繁もしくは長時間の漏れがあれば、管理体制が疑われる可能性があります。一方、漏れのない連続データは、工場内の管理温度を可視化できている証明になりえます。

● トラブル発生時の原因究明が困難になる

万が一食中毒事故などが発生した際は、工程ごとの管理・作業をさかのぼった調査が行われます。この際、温度データに欠けや漏れがあると、その間の管理がどのようになっていたかが把握できず、原因究明の妨げとなるでしょう。HACCP制度化に伴い、今後はこうした各工程の記録が非常に重要となります。

● 異常発生時の対応が遅れる

たとえば冷蔵庫が故障した場合。庫内の温度が急激に上昇していれば、貯蔵されている食材の安全性を保つために早急な対応が求められます。しかし、データロガーが正常に作動していなかったり、通信が途絶していたりすると、その異常がリアルタイムに検知できません。食材の廃棄はもちろんですが、万が一異常を検知できず、不適切な管理下の基で製造された製品をそのまま出荷してしまった場合は、多大な損害を企業に与えることになります。

自動温度管理・記録システムで起こりうるトラブル

自動温度管理・記録システムが連続データを取得できなくなる原因にはどのようなものがあるでしょうか? 以下で、起こりうるトラブルについて解説します。

● 混線等による通信途絶

設置の自由度やイニシャルコストの面で有利な無線ロガー。しかし、無線方式を用いているため、混線等による通信途絶のリスクを考慮しなくてはなりません。とくに、人や物の位置が日によって変わる工場内では、通信環境の変化も起こりやすいものです。
なお、通信が途絶したとしても、ロガー自体にデータは蓄積され、後からの回収は可能です。ただし、障害発生中はリアルタイム監視ができなくなってしまうという点が懸念されます。
なお、有線接続方式は無線に比べて混線などはほぼありませんが、ケーブルの断線や端子抜けなど、物理的な障害が発生する可能性があります。また、そもそも有線は初回設置工事やメンテナンスなどで手間やコストがかかるため、導入自体のハードルが高いとも言えるでしょう。
そのほか、何らかのトラブルでゲートウェイに障害が起こってしまうと、接続形式にもよりますが、すべてのネットワークに悪影響を及ぼす危険性もあります。この場合、復旧には専門業者のサポートが必要です。
このように、無線式の自動温度管理・記録システムを導入する場合は、通信の安定性やシステムの堅牢性を重視することが大切です。

● バッテリー切れによる計測中断

無線ロガーは内部に搭載されたバッテリーで動作するのが一般的です。しかし、このバッテリーが切れてしまった場合は、当然ですが計測が中断されてしまいます。さらに、データロガーにも計測データが蓄積されないため、バッテリー切れから電池交換や充電・再設置までの間、温度がどのように変化していたのかが分からなくなってしまいます。
なお、無線ロガーのバッテリー消費量・持続時間は製品によって異なります。自動温度管理・記録システムを選ぶ際には、提供されるデータロガーのバッテリー持続時間について事前に確認しておくことが大切です。

● 機器故障の見逃し

温度センサやデータロガーなど機器が故障してしまった場合、通常はサーバ上のプラットフォームが異常を検知してアラート等が発報されます。しかし、こうした機能のないプラットフォームを使用していると、機器の故障を見落としてしまうかもしれません。機器が故障しているわけですから、温度計測データも蓄積されない可能性があります。
このように、自動温度管理・記録システムを選ぶ際には、アラート機能の有無をはじめ、トラブル発生時の対策がきちんと練られたものを選ばなくてはなりません。

信頼性の高い温度記録ならACALA MESH

当社がご提供する「ACALA MESH」は、MESH型の無線ネットワークを用いた高信頼性が特徴です。機器やネットワークに何らかの問題が起こった場合も自動で修復が行われ、連続データを取得し続けるとともに、異常検知も確実に行われます。
加えて、無線式のデータロガーはロングバッテリーを実現し、ほぼバッテリー交換がいりません。バッテリー残量も監視されているため、バッテリー切れの前に交換対応が行われ、バッテリー切れによるデータの欠損といった心配も不要で、安定した運用が実現できます。

まとめ

食品工場における連続データの取得・蓄積は、適切な管理・運営につながるほか、損害リスクの回避や企業としての信頼度向上に役立ちます。そのため、自動温度管理・記録システムを導入する場合は、安定性をひとつの基準として考えるのが大切です。温度管理の自動化を検討中の方は、ぜひ当社までご相談ください。