2022.09.14.Wed

大量調理施設衛生管理マニュアルとは?温度管理のポイントについても解説

大量調理施設衛生管理マニュアルは、腸管出血性大腸菌O-157が学校給食で頻発した平成8年の翌年に通知されました。現在は、集団給食施設はもちろん、仕出し屋や製造業、ホテルや飲食店などでも広く活用されています。また、大量調理施設衛生管理マニュアル自体はHACCPを基に作成されているため、温度管理に関する記載も多く見られます。そこでこちらでは、大量調理施設衛生管理マニュアルの概要から温度管理のポイントまでを解説します。

大量調理施設衛生管理マニュアルとは?

大規模調理施設衛生管理マニュアルは、たとえば学校や病院など、集団給食施設等で起こる食中毒を予防するために、厚生労働省によって示されました。内容としては、集団給食施設等が衛生管理体制の確立と調理過程における重要管理事項等の点検・記録を行い、合わせて必要に応じた改善措置を講じるというものです。

なお、具体的な重要管理事項は以下です。

  • 原材料の受入れ及びおよび下処理段階における管理の徹底
  • 加熱調理食品は中心部まで十分な加熱を行い、ウイルスを含む食中毒菌等を死滅させる
  • 加熱調理後の食品および非加熱調理食品の二次汚染防止徹底
  • 食中毒菌が付着した場合の菌増殖防止のため、原材料および調理後の食品の温度管理徹底

平成29年6月16日の改正内容

大量調理施設衛生管理マニュアルは平成9年3月に定められ、その後改正が重ねられました。そして平成29年6月16日には、「食中毒の多くが一般衛生管理の実施の不備に原因がある」という理由から、マニュアルの一部が改正されます。以下は、その主な改正点です。

原材料の下処理段階における管理

小学校や介護施設、病院などの高齢者や若齢者、抵抗力が弱い人を対象に食事を提供する施設については、野菜および果物を加熱しない場合、殺菌を行うことが定められました(表皮を取り除く場合は除く)。

調理従事者の衛生管理

調理従事者に対しては、以下のようなルールが定められました。

  • 毎日の作業開始前、調理従事者等は自身の健康状態を衛生管理者に報告する。衛生管理者は、結果を記録する。
  • 10月〜3月の期間中、調理従事者等は月に1回以上または必要に応じてノロウイルスの検便検査に努める。
  • 調理従事者等がノロウイルスの無症状病原体保有者であると判明した場合は、検便検査でノロウイルスの非保有が確認されるまで、直接食品に触れてはならないなどなど、適切な措置をとることが望ましい。

衛生管理体制の確立

集団給食施設の責任者に対しては、以下のようなルールが定められました。

  • 衛生管理者に対し、毎日の作業開始前に各調理従事者等の健康状態を確認させ、その結果を記録させる。
  • 調理従事者等に対し、10月〜3月の期間中、月に1回以上または必要に応じてノロウイルスの検便検査に努めさせる。
  • ノロウイルスの無症状病原体保有者であると判明した調理従事者等に対しては、検便検査でノロウイルスの非保有が確認されるまで、直接食品に触れてはならないなどなど、適切な措置をとることが望ましい

大量調理施設衛生管理マニュアルにおける衛生管理

次に、大量調理施設衛生管理マニュアルのより主となる内容についても見ていきましょう。マニュアルはHACCPに基づき作成されています。そのため、原材料の受入、調理、喫食までの保管方法について危害分析を行い、食中毒が起こらないような対策が必要です。

原材料の管理

まずは原材料の適切な管理と記録です。もしも食品事故が発生した場合には、原材料の時点で問題がなかったかさかのぼれるよう記録をしなくてはなりません。また、この場合の記録には納品業社実施の試験成績書も含まれるため、事前に入手しておきましょう。

加熱による殺菌

菌やウイルスは加熱によって死滅(※)します。事前に定めた中心部の温度に達するまでしっかりと加熱を行いましょう。なお、中心温度の測定は3点以上から行い、且ついくつか具材がある場合はもっとも熱が通りにくいものを選ぶのがポイントです。

※芽胞や毒素は加熱処理で破壊されない場合があるため、長期保存は危険

二次汚染の防止

加熱調理後の汚染物不着を防ぐため、調理場は適切なゾーニングを行う必要があります。その他、ドライシステム・防虫防鼠・シンクの使い分けや、調理器具の使い分けなど、人的・物理的な衛生管理を徹底しましょう。

温度管理

調理後の喫食は、少なくとも30分以上の時間がかかります。この際の保存温度についても注意が必要です。食中毒の多くは30〜40℃で増殖するため、適切な温度管理を行いましょう。また、保温・保冷場所の衛生管理にも気を付けてください。

大量調理施設衛生管理マニュアルにおける温度管理のポイント

 

上記のとおり、大量調理施設衛生管理マニュアルでは温度管理の重要性が記されています。より具体的に、マニュアルに書かれている温度管理のポイントを見ていきましょう。

  • 原材料は適切な温度で保存し、搬入時には温度の確認も実施する。
  • 加熱調理が必要な食品は、中心部を75℃で1分間以上、またはこれと同等以上まで加熱する。
  • 二枚貝等、ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合には、中心部を85~90℃で 90秒間以上加熱する。
  • 食品を加熱調理後に冷却する場合は、中心温度を30分以内に20℃付近まで下げる。もしくは、60分以内に10℃付近まで下げる。
  • 調理後すぐに提供される食品を除き、食品は10℃以下または65℃以上で管理する
  • 配送過程では保冷または保温設備のある運搬車を用いる。温度は10℃以下または65℃以上で管理する。

このように、温度管理のポイントとなるのは運搬・保存・加工のタイミングです。それぞれで適切な温度管理を行いましょう。

大量調理施設衛生管理マニュアルで示されている原材料、製品等の保存温度

次に、大量調理施設衛生管理マニュアルで例示されている原材料や製品等の保存温度をご紹介します。

 

食品名 保存温度
穀類加工品(小麦粉、デンプン)
砂糖
室温
食肉・鯨肉
包装に入れたもの
食肉製品
鯨肉製品
10℃以下
冷凍食肉製品
冷凍鯨肉製品
細切した食肉・鯨肉を凍結したものを容器包装に入れたもの
-15℃以下
ゆでだこ
生食用かき
10℃以下
冷凍ゆでだこ
生食用冷凍かき
冷凍食品
-15℃以下
魚肉ソーセージ、魚肉ハム及び特殊包装かまぼこ 10℃以下
冷凍魚肉ねり製品 -15℃以下
液状油脂 室温
固形油脂
(ラード、マーガリン、ショートニング、カカオ脂)
10℃以下
殻付卵 10℃以下
液卵 8℃以下
凍結卵 -18℃以下
乾燥卵 室温
ナッツ類
チョコレート
15℃以下
生鮮果実・野菜 10℃以下
生鮮魚介類(生食用鮮魚介類を含む) 5℃以下
乳・濃縮乳
脱脂乳
クリーム
10℃以下
バター
チーズ
練乳
15℃以下
清涼飲料水
(食品衛生法の食品、添加物等の規格基準に規定のあるものについては、当該保存基準に従うこと)
室温

 

出典:「大量調理施設衛生管理マニュアル」の改正について

まとめ

大量調理施設衛生管理マニュアルを必要とする施設では、衛生管理の徹底が非常に重要です。なかでも、温度管理については十分に気をつけなくてはいけないポイントと言えるでしょう。

当社がご提供する温度管理システムACALAなら、加熱食品の中心温度、冷却後の食品温度、また冷蔵冷凍庫や室温の連続モニタリングなど、幅広い分野の温度管理が可能です。また、広い面積を持つ大規模な施設であっても、安定した無線ネットワークによる信頼性の高い温度測定データを記録でき、クラウドベースの専用プラットフォームにアクセスすれば、施設内の温度管理状況が一目で分かるため、管理コストも削減可能です。温度管理でお困りの方は、ぜひ当社までご相談ください。