2021.08.18.Wed

【令和2年度】HACCPの導入状況と現場の課題

2021年6月、ついにHACCPが完全義務化となりました。一方で、まだHACCPを導入できていない食品事業者も決して少なくはありません。そこで今回は、平成2年度におけるHACCPの導入状況を、以下の調査結果を基に紐解いていきます。

令和2年度食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況実態調査結果(農林水産省)
2021年HACCP完全義務化後の導入状況(ClipLine株式会社)

令和2年度の導入状況

今回、農林水産省の調査が行われたのは平成31年4月1日~令和2年3月31日の1年間です。結果としては、「食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況割合」は以下となりました。
 

 
令和元年の結果と比べれば一目瞭然。HACCP導入はこの1年で大きく前進したと考えられます。具体的には、HACCPを「導入済み」の割合は前年度から20.2ポイントアップの42.7%。なお、令和元年に「導入途中」と回答した企業の割合が18.0%ですから、この層が完全な「導入済み」へ進んだと考えても不思議ではありません。ちなみに、導入途中(-0.3ポイント)、導入を検討中(-3.7ポイント)と数値は下がっているものの、結果から見れば全体として普及が進んでいることが分かります。
なお、「導入未定」「HACCPに沿った衛生管理をよく知らない」といった層の合計は、令和元年で38.6%でした。しかし令和2年になると22.3%まで減少。半分とはいきませんでしたが、多くの企業がHACCPの導入を検討するレイヤーへ進んだと考えられます。

依然として中小企業の導入には課題

一方、以前から問題だった中小企業への導入にはまだまだ課題が残ります。食品販売金額規模別の割合を見てみると、50億円以上の売上規模の企業では「導入済み」が9割を超えているのに対し、1億円以上の企業では約3割に留まりました。
 

 
また、中小企業向けとなる「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の割合は37.4%。依然として、中小企業におけるHACCPの普及率が低い状況が続いています。
とは言え、令和元年の時点では売上規模1億円以下の企業の「導入済み」割合は1割程度。着実に普及が進んでいるとも考えられます。

民間調査による義務化後の導入状況

次に、民間によるより新しい調査結果についても見ていきましょう。ClipLine株式会社は、HACCPの完全義務化後となる2021年6月17日~21日に、飲食店経営層および従業員400名に対してアンケートを実施しました。結果は、HACCPの導入状況が4割弱とされています。
農林水産省のデータとはサンプル数や対象に大きな違いがあるため、横並びに比較することはできませんが、導入状況としては今ひとつという印象です。
 

 
なお、傾向としては100人以上の事務所(拠点)は9割近くが「導入」「一部導入済み」ですが、1~5人未満の事務所(拠点)は2割に留まっています。農林水産省の調査結果同様、企業規模が大きいほど普及が進んでいる状況が色濃く反映されました。

HACCP導入・管理に対する課題

同調査では、HACCPの導入・管理に関する課題についても取り上げられています。導入障壁としてもっとも多い理由は「人手不足」。次に「確認項数が多く体制的に管理ができない」が続きます。
また、「どれくらい正確にHACCPに基づいた管理ができていますか。」の問いについては、正確に管理できているという回答は3割弱という結果に。その理由としては、「チェック項目が多く、従業員一人一人の理解に差がある」が半数を超えました。

HACCPの導入・管理課題の解決策は「自動化」

導入にも管理にも課題が残るHACCP。しかし、アンケートの結果を読み解いていくと、人的リソースの確保がポイントになっていることが分かります。人員が豊富な大企業の普及率が、その証拠とも言えるでしょう。
一方で、中小企業が遅れているのは人材の部分だけではありません。むしろ、大企業は人材の確保と同時に、業務効率化のための取り組みに大きな投資を行っています。そのうちのひとつが「自動化」です。
たとえば、HACCPにおける温度管理を目視で行うのは効率的とは言えません。むしろ、見逃しや誤記などのヒューマンエラーも想定されます。こうした作業をひとつずつ自動化していくことが、今後はより重要になると考えられます。

ACALA MESHが温度管理・記録をサポート

HACCPのなかでも重要になってくる温度管理・記録。当社がご提供するクラウド型の統合温湿度監視記録ソリューション「ACALA MESH」であれば、一連の作業をすべて自動化できます。
導入・設置はとても簡単です。当社から届いたセンサを冷蔵庫や冷凍庫など、温度記録・管理で力を入れたい部分に設置。あとは専用のプラットフォームを使うことで、温度管理や分析が行えます。
従業員が誤った温度を記載することもありませんし、より間隔が短い連続データ記録が可能になるため、データの信頼性も向上。何かトラブルが発生した場合でも、適切な対処が行えます。

まとめ

日本におけるHACCP普及は着実に進んでいます。一方、HACCPを導入することで生まれる課題なども少なくありません。適切な衛生管理を進めていくには、今回ご紹介したようなITソリューションの導入もおすすめです。自動温度管理・記録のシステムにご興味がある方は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。