2026.03.04.Wed

温度計の原理とは?温度が測れる仕組み、使い分けや選び方を解説

現場で毎日行われる検温作業の中で、ガラス温度計の破損リスクや、従業員による読み取り誤差や記入ミスに悩むことはありませんか? 正しい温度管理体制を構築するためには、まず道具である「温度計」の原理や仕組みを理解することが大切です。 この記事では、温度計の種類別に、測定原理をわかりやすく解説します。さらに接触式・非接触式の特徴や使い分け、失敗しない選び方も解説します。ぜひご一読ください。

温度計とは?種類ごとの原理と仕組み

温度計は、感覚的に温度を測っているわけではありません。すべての温度計には、熱によって物質が変化する物理的な法則が応用されています。この章では、ガラス温度計などの温度計の種類別に、原理や測定の仕組みを解説します。

ガラス温度計

ガラス温度計は、最も基本的で安価な温度計ですが、「破損による異物混入リスク」と「読み取り誤差」が避けられない構造をしています。

ガラス温度計の原理は、液体の「熱膨張」を利用しています。ガラス管の中に水銀や有機液体を封入し、温度上昇に伴って体積が増えた液体が管を昇っていく様子を目盛りで読み取ります。

電源不要で半永久的に使えるメリットはありますが、物理的に「ガラス管」である以上、衝撃に弱く、割れれば中の液体やガラス片が製品に混入する(コンタミネーション)重大事故に直結します。

標準的な棒状温度計の場合、1℃刻みの目盛りの中間を読み取る際は作業員の目視判断(目分量)になることや、見る角度によって数値がずれて見える「視差」が発生するのが懸念点です。

そのため、HACCPの観点からも、破損リスクのあるガラス製品を製造ラインに持ち込むこと自体が推奨されないケースが増えています。

アルコール温度計

アルコール温度計は、水銀を使わないため安全性が高い一方、「液切れ(液柱の分離)」が起こりやすく、高温測定や高精度な管理には適しません。

アルコール温度計の中身には、着色された灯油(白灯油など)が使われることが多く、原理はガラス温度計と同じ「熱膨張」です。

水銀に比べて毒性がなく安価ですが、沸点が低いため200℃を超えるような高温測定には使えません。また、衝撃や急激な温度変化で液柱が途切れてしまう「液切れ」が発生すると、正しい温度を示さなくなります。

目安を知る程度なら十分ですが、品質管理記録として残す数値には、より精度の高い温度計の使用が不可欠です。

体温計

体温計は人体測定に特化した温度計であり、現在は短時間で測定できる「サーミスタ式(電子体温計)」が主流です。

現在の電子体温計は、温度によって電気抵抗が変わる半導体センサー(サーミスタ)を使用しており、体温上昇カーブを計算して予測する「予測検温」機能により、数十秒での測定が可能になっています。

出勤時のスクリーニングには早い「非接触式」、体調不良者の確認には正確な「接触式」と、目的に応じて使い分けましょう。

熱電対

熱電対は、工業用温度センサとして最も普及しており、「広範囲の温度測定」と「高速応答」が可能で、自動記録システムへの組み込みに最適です。

熱電対の原理は「ゼーベック効果」に基づいています。種類の異なる2つの金属線を接合し、両端に温度差が生じると発生する電圧(起電力)を温度に換算する仕組みです。

構造がシンプルで耐久性が高く、マイナス極低温から1000℃以上の高温まで測定できる種類(K熱電対など)があります。

IoTによる温度管理システムの導入を検討するなら、まずは熱電対センサが第一候補となります。ぜひ自社の温度帯に対応したものを選定してください。

放射温度計

放射温度計は、物体から出る赤外線を感知する非接触センサです。「触れずに一瞬で測れる」のがメリットですが、「表面しか測れない」点に注意が必要です。

すべての物体は温度に応じた赤外線を出しています。放射温度計はそのエネルギー量をレンズで集めて温度換算します。ただし、金属の光沢面など反射しやすいものは、正確に測れないことがあります(放射率の設定が必要)。

放射温度計は、揚げ油の温度管理や、配電盤の発熱チェック、冷蔵ケース内の商品表面温度チェックなどに最適です。しかし、冷凍ハンバーグの中心温度の測定に放射温度計を使うと、表面温度だけを測ってしまい、加熱不足を見逃す危険があります。

測定対象が「表面温度」か「内部温度」かを明確にし、内部温度の測定が必要な場合は必ず接触式と併用してください。

温度計の種類|接触式と非接触式の特徴と使い分け

 

温度計は「接触式」と「非接触式」の2つに分類されます。対象物に触れて測るのか、離れて測るのかという違いは、単なる使い勝手の問題ではなく、採用されている温度計の原理の違いそのものです。この章では、それぞれの方式が得意とするシーンと、使い分けのポイントについて、具体的な仕組みを交えて解説します。

接触温度計の種類と特徴

接触式温度計は、対象物の内部まで熱を伝えて測るため、「最も信頼性が高い測定方法」ですが、応答速度と衛生管理の手間が課題になります。

接触式の温度計は、熱伝導によってセンサと対象物が同じ温度(熱平衡)になるまで待つ必要があるため、正確な数値が出るまでに数秒〜数十秒かかります。しかし、食品の中心温度管理など、安全性の根拠(エビデンス)が必要な場面では、「接触測定」が必須です。

食品工場における加熱殺菌工程(例:中心温度75℃で1分間加熱)の確認には、針状の熱電対や白金測温抵抗体などの接触式センサを用います。使用後は、交差汚染(コンタミネーション)を防ぐためにアルコール消毒などの洗浄が必要です。

手間はかかりますが、最終製品の品質保証には接触式での記録が欠かせません。温度管理をシステム化し、記録の手間の削減を検討するのがおすすめです。

非接触温度計の種類と特徴

非接触温度計は、「衛生的かつ一瞬で測定できる」ため、検品やスクリーニング作業に最適ですが、測定環境の影響を受けやすい点に注意が必要です。

赤外線センサを使用するため、熱平衡を待つ必要がなく、応答速度は1秒以下です。しかし、空気中の水蒸気(湯気)やガラス越しでは赤外線が遮断され、正確に測れません。また、測定距離が離れるほど測定範囲が広がり、ピンポイントの測定が難しくなります。

赤外線センサの使用が適しているのは、入荷時の原材料(段ボール)の表面温度チェック、回転する機械部品の温度監視などです。ただし、光沢のあるステンレス釜の表面などは、放射率を調整しないと実際の温度より低く表示されることがあるため、注意しましょう。

全数検査の「一次チェック」として非接触式を使い、異常値が出た場合のみ接触式で精密測定を行う「ハイブリッド運用」が効率的でおすすめです。

温度計の失敗しない選び方

温度計の種類は多く、どれを選べばよいか迷う場合でも、原理と現場環境を照らし合わせることで、最適な一本を自然に選ぶことができます。

この章では、対象物、設置環境、必要な精度、コストという4つの視点から、後悔しない温度計選びの判断基準を紹介します。温度計に求める精度やデジタルのスピードの必要性なども含めて見極めましょう。

1.対象物と測定範囲で選ぶ

「対象物(液体・気体・個体)」「何度から何度まで(測定範囲)」を明確にし、温度計を選定しましょう。

温度計のセンサにはそれぞれ特性があり、アルコール温度計の場合は高温に耐えられず、熱電対も種類によって測定範囲が異なります。また、対象物が液体なら保護管付き、固体の内部なら突き刺し型、回転体なら非接触型といった形状の選定も重要です。

冷凍食品の温度測定なら、低温対応(-40℃以下)のデジタル温度計が適しており、フライヤー油なら、高温対応(200℃以上)かつ防水性のある接触式センサーがおすすめです。

測定対象の温度帯に最も適した(精度が良い)レンジの製品を選んでください。

2.設置環境と耐久性で選ぶ

工場の環境は過酷なため、「防水・防塵性能」と「耐衝撃性」は、長く使うための必須条件です。

調理現場では水洗いが頻繁に行われるため、防水性能がない温度計はすぐに故障します。また、ガラス温度計は落下すればすぐに破損しますが、デジタル温度計でも落下時にセンサ部が曲がったり断線したりすることがあります。

そのため、温度計の「IP67」などの表記を確認しましょう。IP67は「完全な防塵」「一時的に水没に耐えうる防水」性能を示すものです。また、センサのケーブル被覆も、耐熱性や耐油性がある素材(テフロンやシリコンなど)を選ぶ必要があります。

安物を何度も買い換えるより、現場環境(水・油・衝撃)に耐えうるタイプのものを導入する方が、結果的にコスト削減になります。

3.計測精度の高さで選ぶ

品質管理においては、「必要な精度(許容誤差)」を満たしているか、「定期的な校正」が可能かは重要です。

どんなに高価な温度計でも、経年劣化により数値はずれていきます。正確な数値を維持するためには、基準温度計と比較して補正する「校正作業」が不可欠です。校正証明書が発行できるメーカー品でないと、監査の際に信頼性を担保できません。

重要管理点(CCP)のモニタリングに使う温度計は、年に1回のメーカー校正を実施し、証明書を保管する運用が一般的です。

購入時に「校正対応が可能か」を必ず確認し、管理台帳を作成して定期的にチェックする仕組みを作りましょう。

4.コストで選ぶ

コストを見る際は、本体価格だけでなく、「測定・記録にかかる人件費」や「ミス対応コスト」を含めたトータルコストで判断してください。

アナログ温度計は導入費が安いですが、「人が移動して、測って、紙に書いて、入力する」というランニングコストが毎日発生します。さらに、記入ミスや改ざんが発覚した場合のリスク対応コストは計り知れません。

初期費用がかかっても、自動記録システムを導入すれば、検温にかかる作業時間をゼロにでき、ミスも撲滅できます。半年〜1年で見ればシステムの方が安上がりになるケースも多いです。

「見えないコスト」を可視化し、長期的な視点で投資対効果(ROI)の高い選択をしてください。

まとめ

本記事では、温度計の原理や仕組み、接触式と非接触式の特徴と使い分け、選び方について解説しました。

測定原理を知れば知るほど、現代の厳格な品質管理(HACCP等)において、アナログな温度記録や測定の依存に、潜在的なリスクが潜んでいます。

「原理的に正確な測定を行い、かつ管理の手間やミスをゼロにしたい」場合は、タイムマシーン株式会社の温度管理システムの導入がおすすめです。当システムでは、サーミスタ・白金測温抵抗体・放射温度計などのセンサを使用しています。

高精度のデジタルセンサーが自動で計測し、データを改ざん不可能な状態でクラウドに記録します。原理的な「正確さ」と、システムによる「効率化」を同時に手に入れ、現場の温度管理を次世代のレベルへと引き上げたいとお考えなら、ぜひご相談ください。